SENTIMENTAL JAZZ DIARY

感傷的ジャズ日記 ~私のアルバムコレクションから~

TRIO PIM JACOBS 「Come fly with me」

2010年04月11日 | Piano/keyboard

昨日は友人の結婚披露宴に招かれた。
盛大な披露宴は終始喜びに包まれており、新郎新婦の幸せそうな姿に感動されっぱなしだった。
お陰でこのところの忙しさも忘れて、ゆっくりとした時間を楽しめた一日となった。

最近の結婚式は、ホテルやセレモニーホールのような場所で行われることが多くなったが、今回は格式高い老舗料亭がその会場だった。
障子に写るキャンドルの灯もなかなか風情があっていいものだ。
会場では新郎が入場するまでの間、ピム・ヤコブス・トリオの「カム・フライ・ウィズ・ミー」が流されていた。
このアルバムは以前からの愛聴盤だったのですぐそれと気づいて、一人耳を澄ませて聴いていた。
キラキラと輝くような粒立ちのいいピアノタッチは、こういうシチュエーションにはもってこいだ。
しかも適度なスイング感が心地よさを倍増させてくれる。
選曲したこの料亭のセンスにも拍手したい気持ちであった。

私の好きなジャズは、本来「楽しさ」よりも「哀しさ」の中に多く存在している。
いつも切ないばかりの憂い盤がないかと探し求めているといってもいい。
しかしこの「カム・フライ・ウィズ・ミー」を聴いていると、そのどちらの範疇にも入らない「嬉しさ」を心の底から感じるのである。
こんなアルバムは本当に数少ない。
これは「I'VE GOT THE WORLD ON A STRING」や「COME FLY WITH ME」、「WHO CAN I TURN TO」という喜びに溢れた曲が随所に配置されているからかもしれないが、本来は悲しみの代表曲ともいえる「AUTUMN LEAVES(枯葉)」でさえも、その心地いいスイング感からか少しも暗く感じないことに驚いてしまう。
しかもそこにはちゃんと哀愁が漂っているから、「悲しさ」と「哀しさ」の違いは大きいことにも気づくのである。

私はこのアルバムが気に入って、その後ピム・ヤコブスのアルバムは細君のリタ・ライスのものも含めてずいぶん買いあさった。
またオランダのジャズにも興味を持つようになった。
さらに「嬉しさ」が表現されたジャズも探し求めるようになった。
私にとってはこれこそ最高のピアノトリオである。



最新の画像もっと見る