ジャズ・ピアニストは星の数だが、これほど多くのファンを持つ人もいないのではないかと思う。
私もその一人で、レッド・ガーランドはジャズの楽しさを教えてくれた愛すべき人だ。たぶんあなたも頷いているのではないかと思う。
彼がピアノの前に座り一旦弾き出すともう夢心地だ。
コロコロと小気味よく転がるシングルトーン、全体を牽引する重厚なブロックコード、どちらも彼ならでは弾き方で実におしゃれだ。彼でなければこの音は絶対につくり出せない。正にワン・アンド・オンリーである。
時としてそれはピアノでなく、ヴァイブを軽く叩いているような音に聞こえることがある。彼の指先はきっとマレットのように弾力があるのだろう。ジャズ・ピアニストになる前はボクサーだったというから、それも多少は影響しているのかもしれない。
さてこのアルバムだが、出だしは静かなブルースナンバーでスタートする。ポール・チェンバースとアート・テイラーのコンビネーションもバッチリ。改めて聴くとこの3人は当時最強のトリオだったことがわかる。マイルスのクインテットではアート・テイラーでなくフィリー・ジョー・ジョーンズとコンビを組んでいるが、よりサポート意識の強いアート・テイラーの方をガーランドは好んだのだと思う。正解だ。
以前、ピアニストに生まれ変われるのなら誰になりたいか、という質問を受けたことがある。
しばらく考えてみたがレッド・ガーランド以外には思いつかなかった。
私は『グレン・グールド』以外に思いつかない・・・
もう一度バッハの(ゴールドベルグ変奏曲 Ⅲ)を・・・
春の夢です???
クラシックにしてあの奇っ怪な出で立ちの方ですね。今度じっくり聴いてみます。