SENTIMENTAL JAZZ DIARY

感傷的ジャズ日記 ~私のアルバムコレクションから~

FRANCK AVITABILE 「RIGHT TIME」

2007年07月22日 | Piano/keyboard

ジャケットに写る写真がどことなく友人に似ているので妙な親近感がある。
フランク・アヴィタビレはフランスの若手実力派ピアニストである。ミシェル・ペトルチアーニが彼の才能に惚れ込んで、デビューアルバムをプロデュースした話は有名である。
そんな経緯もあってか彼のピアノはペトルチアーニからの影響が強い。一言でいえば一音一音のタッチが固いのだ。ただ鍵盤を叩く指はとても正確なので、時にはチック・コリアにも似て音に輝きが感じられる。これが彼の特徴である。

このアルバムに厚みを持たせているのが、ベースのニールス・ヘニング・オルステッド・ペデルセンの存在だ。
彼のことは今更私がいうまでもないが、ベースの巨人としてジャズ界に君臨した人だ。彼は惜しくも2年前に亡くなってしまったが、ここではアヴィタビレとの熱をこもった共演が聴かれ、その存在感を充分に示している。

アヴィタビレはこのアルバムで98年に亡くなったペトルチアーニを意識してかタイトな曲を中心に選曲している。
ここでの個人的なベストは7曲目の「Cherokee」である。
この曲はどちらかというと最初からハイスピードで高らかに歌い込むような曲だと思っていた。しかしながら彼の曲に対する解釈はちょっと違っていた。スローテンポでゆったりと入り、徐々にスピードを上げていき、思い切り盛り上がったところで最初のテンポに戻りエンディングを迎える。実に感動的な構成だ。
彼は間違いなくこの曲に惚れ込んだペトルチアーニのことを想って演奏している。その感情がこちらにも伝わってくるのだ。
彼の硬質なタッチが空中に漂ってキラキラしているような感覚さえある。
やはり作品づくりには強い想いを持つことが何より大切なのだと思う。またそれを冷静にコントロールできれば一流になれる。
彼の「Cherokee」を聴くとついついそんなことを考えてしまう。


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