ヤン・ラングレンは北欧ジャズの人気を決定づけた男だ。
彼のアルバム数はとても多いが、どれもこれも水準以上のものだと思う。あまり駄作がない。
演奏内容も名盤の誉れ高き「SWEDISH STANDARDS」に代表されるスウェーデンのトラディショナルから、「WILL YOU STILL BE MINE」「PLAYS THE MUSIC OF JULE STYNE」のようなトリビュート、「LES PARAPLUIES DE CHERBOURG」における華麗な映画音楽集まで実に多彩だ。
そんな中においても本作は私のお気に入りの一枚。
最初の「Blues for Raz」におけるイントロでもうノックアウトされた。グイグイと引っ張っていくような彼独特のドライヴ感はオスカー・ピーターソン的でもあるし、同じ北欧のカーステン・ダールにも共通性を感じる。
全体を通じて他の作品よりも明らかにメリハリのある作品だ。
きらめくようなシンバルと張りのあるベースの音がバランスよく集音されている点も見逃せない。
北欧ジャズの人気は決して一過性のものではないことを印象づけるアルバムだ。