SENTIMENTAL JAZZ DIARY

感傷的ジャズ日記 ~私のアルバムコレクションから~

GEOFF EALES TRIO 「Master of the Game」

2010年05月09日 | Piano/keyboard

いつ誰が決めたのかは知らないが、今日は母の日である。
私の母も未だ元気ではあるが、昨年暮れに80才になった。

先日、私の東京にいる友人から連絡があり、今度「土佐源氏」という一人芝居が近くであるからぜひ観てほしいというお誘いがあった。
この「土佐源氏」は宮本常一の書いた「忘れられた日本人」という本に掲載されている盲目の乞食のお話しだ。
ひどく興味を持ったので、母に一緒に行かないかと誘ってみたところ、二つ返事で行くという。
もともと私の母は、こうした演劇やコンサートなどは大好き人間で、どちらかというと遊び上手な人なのである。
というわけで、今日は雲一つない青空の下、母を連れて会場となった旧庄屋の古民家まで出かけた。

会場の座敷は全て暗幕で閉じられており、蝋燭一本で一人芝居が始まった。
盲目の乞食が登場する瞬間から立ち去るまで、息を飲むような迫力があった。
ストーリーはあえてここでは書かない。文章にしてしまうとせっかくの感動が陳腐化しそうだからだ。
母もこの芝居を食い入るように観ていた。
この乞食が80才という設定だったので、母はどんな気持ちでそれを受け止めたのだろうと思っていた。
帰り際、「どう、よかった?」と聞くと、
母は「うん、よかった、ありがとう」と一言いった。

母を実家に送り届けてから、自宅に戻り部屋に入って、ジェフ・イールズ・トリオの「Master of the Game」をかけた。
4曲目の「Song For My Mother」がやたらと胸に響いた。
こんなに優しいメロディをもった曲も数少ない。
ジェフ・イールズの人柄が滲み出ている。
誰にでも母がいて、みんな母に感謝しているのだと思った。


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