ジャケットだけを見て退いてはいけない。
何しろこのトリオ、メンバーがすごいのだ。ピアノは先日ご紹介したロイ・パウエル、ベースはヘルゲ・リエン・トリオのフローデ・ベルグ、リーダーはドラマーのエリック・スミス。それぞれの出身は違っていても今をときめくノルウェーの精鋭たちだ。
このメンバーなら何も躊躇することはない、東京のCDショップで速攻ゲットした。
演奏内容は「生きがいい」の一言に尽きる。ノルウェーだからといって暗く寒々しいイメージは感じられない。全員が自信を持った演奏をしている。
曲の構成はというと、全10曲中ロイ・パウエルが5曲、フローデ・ベルグが1曲、その他はアントニオ・カルロス・ジョビンやリチャード・ロジャース、マイルス・デイヴィスの曲をそれぞれ1曲ずつ取り上げている。
この中で特に印象に残るのがマイルスの「ALL BLUES」だ。エリック・スミスのドラムスがすばらしくいい。バスドラムからスネア、タムタム、ハイハット、クラッシュシンバルに至るまでそれぞれのパーツがくっきりと浮かび上がっている。スティックの太さや材質まで手に取るようだ。これはもうドラムによるオーケストラといっていい。
このアルバムはガッツ・プロダクションからの発売によるものだ。
このレーベルはシンプル・アコースティックトリオやコニー・エヴィンソンなど北欧モノに力を入れている日本のレーベルだ。音にもかなり迫力があって私の好きなレーベルのひとつである。デジパックが豪華なのもいい。
但し惜しいかなジャケットデザインが今ひとつなのだ(このアルバムは今ふたつ)。
せっかくいい内容なのにこれでは売れそうもない。下手な写真はやめて無地にした方がまだ救われる。