Pa'Lante!(パランテ!)

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76年と81年の太田裕美「君と歩いた青春」を聴き比べる。

2009-04-17 21:35:52 | 日本のロック・ポップス
名曲です。
作詞・作曲は伊勢正三。

裕美さんは何故か全く同じオケで、1976年と1981年のアルバムに収録してます。
オケは同じですが、歌は録り直してます。で、コレが面白いんです。


『12ページの詩集』(1976)


『君と歩いた青春』(1981)

まぁ、「面白い」と言っても、ガハハ、という事ではなく、
「う~ん」と言うコトですが、いや~、ぜひ聴き比べて欲しいですね。

さて、その、違いですがね。
基本的な歌い方は変ってません。
どちらも、正攻法で真面目に歌ってます。
だから、印象はほとんど変りませんね。

違いはディテールにあります。
そして、ディテールと言っても、小手先で変えられるディテールではなく、
基礎力の圧倒的向上がないと変えられないディテールが変った事が聴き取れます。
具体的には、出力の低い部分(つまり小さな声って歌ってるトコ)や、
低域でのコントロールが格段に向上してますね。
低い音量で途切れさせずにビブラートを掛けられるようになった。
そして、低い音域での下降フレーズで音程をきちんと下げられるようになった。
これによって、85%の仕上がりが95%になった感じです。
冒頭の「君がどうしても帰ると言うのなら」の「帰る」の「え」の部分を聴けば、
分かる人には分かると思います。

76年ヴァージョンだって、85%の歌唱力ですから、かなり「上手い」です。
でも、81年ヴァージョンの95%の歌唱力は「もの凄い上手い」です。

95%って、ほぼパーフェクトです。

で、この85%から95%への、10%の向上に大きく貢献したのは、
これ、恐らく、訓練と集中力の向上によるものですが、
間違いなく「聴き取るチカラ」だと思います。
なぜなら、鈍い人はこの10%の違いを聴き取れないから、
当然、表現なんて変らない。変えられるなんていう発想すらナイと思う。

「上手い」から「もの凄く上手い」に変えられるヒトというのは凄いと思います。
自転車でいうなら、平地で巡航速度42km/hから50km/hにアップするようなモンです。
並大抵なコトじゃないでしょ!

正直言って、81年の『君と歩いた青春』はアルバムとしては、
特に前半はあまり好きじゃないです。正直ダサさを感じます。

でも、それでも、このアルバムは聴きます。
このアルバムでの裕美さんのヴォーカルはそれだけの価値があると思います。

あと、そうだ。

「罰当たりさ ぼくは」という歌詞のとこの、「ぼくは」の「ぼ」のトコでの
感情の溢れさせ方は、81年ヴァージョンは、さりげなく凄いです。
76年ヴァージョンは、ココのとこ、あっさりやっちゃってますが、
81年のは見事です。ここも、聴き逃しちゃダメなとこですね。

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コメント
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