高尾山“1号路”に生育している「フジキ(藤木)」。マメ科フジキ属の落葉高木で樹高は20メートルほど。奇数羽状複葉の小葉は長さ10~15センチで互生している。花期は6~7月だがフジキは5年に一度くらいしか花が咲かないという。何とかその花を見てみたい。
ラン科ヨウラクラン属の「ヨウラクラン(瓔珞蘭)」。宮城県以南の暖温帯の樹幹や岩に着生する常緑性多年草で人里近くでも見られる。やや多肉質の葉の間から長さ4~5センチの穂状花序を出し、直径3~4ミリの小さな花を多数付ける。花期は4~6月だが肉眼で見ても咲いているのかどうかわからないほどとにかく小さい。世界最小のランは“プラティステレ・ユンゲルマンニオイデス(Platystele jungermannioides )”や“プラティステレ・ステノスタキア(Platystele stenostachya)” などだが、これも最小部類と言えるだろう。これは裏高尾“駒木野公園”のもの。
ラン科ムカゴサイシン属の「ムカゴサイシン(零余子細辛)」。草丈は5~6センチで初夏に花茎を出して小さな花を咲かせ花後に5角形の葉を展開する。昨夏にその葉を見ていたので開花を待っていた。花は長さ1センチほどで唇弁と側花弁は白色で紫色の斑点がある。
東京都立大学東交差点付近の道端に咲いている「アイイロニワゼキショウ(藍色庭石菖)」。アヤメ科ニワゼキショウ属の多年草で「ルリニワゼキショウ(瑠璃庭石菖)」とも呼ばれている。普通のニワゼキショウと異なり花被片の先端が更に細くなり糸状になっている。当地では長池公園、大塚東公園などでも見られる。
長池公園“里山”の田の脇に生育している「ツルウメモドキ(蔓梅擬)」。ニシキギ科ツルウメモドキ属のつる性落葉木本で雌雄異株。春に葉腋に集散花序を出し数個の花を咲かせる。写真は雄花で直径7~8ミリ。花は淡い緑色で葉に隠れて目立たず、雌花は秋の派手な果実でその場所を覚えておけば花期に見られるが、雄花はその気になって探さないとなかなか見つからない。
長池公園“見附橋”で見られる「イトツメクサ(糸爪草)」。ナデシコ科ツメクサ属の越年草でヨーロッパ原産。昭和17年(1942年)に広島県で発見され、その後各地で帰化が確認されている。草丈は4~5センチまででアスファルトの隙間などに直径5~10センチのクシャクシャとした株を作っている。同属のツメクサの花期は春~夏であるのに対して本種は春しか見られない。閉鎖花が多く5枚の萼片は長さ2ミリほどで表面には微細な毛がある。
標高599メートルの高尾山頂から尾根道を進むと、標高554メートルのもみじ台、標高578メートルの一丁平と続き標高670メートルの小仏城山に着く。高尾山頂からはわずか70メートルほどの標高差だが、尾根道らしいアップダウンが続き日差しが強いと汗が噴き出してくる。
そんな急坂の道端に咲いている「エビネ(海老根)」。基本種よりもややピンク掛かった色合いだったのでカメラを取り出し一息ついた。園芸品種ではもっと濃い色のものもあるが、野にあるもので見つけるのは楽しい。エビネはラン科エビネ属の多年草。
ラン科アツモリソウ属の「クマガイソウ(熊谷草)」。先日その開花を見たところだが、再び訪れると花はすっかり終わっていた。花の基部にある蕊などの様子を改めて確認しておこう。写真は花を後ろから見たもので、背萼片をめくっている状態。左右の枯れた2枚が側花弁で奥の枯れたものが花の正面になる唇弁になる。この唇弁の中央には昆虫が入る穴が開いていた。中央部分最下部の紅色の部分が仮雄蕊でちょうど昆虫が乗っている部分が雄蕊の葯になる。写真中央の舌のような部分が柱頭だろう。見えている昆虫はマルハナバチではないが、マルハナバチは写真後方の唇弁の穴から侵入し雄蕊の葯で花粉を付けて柱頭の上部から脱出する。これを複数の花で繰り返すことで受粉が行われる。ちなみにクマガイソウの結実率はかなり低いようだ。これは奥高尾のもの。
奈良ばい谷戸の道端で見られる「ホラシノブ(洞忍)」。ホングウシダ科ホラシノブ属のシダ植物で崖地を好みここでも崖から何枚も生えている。冬緑性だが寒い冬には右側のように綺麗に紅葉し春になると左のように新緑の葉が伸びてきて古い葉と交代する。
マメ科サイカチ属の「サイカチ(皂莢)」。山野や河原に生育する落葉高木で樹高は20メートルにもなる。その種子が生薬の“皀角子(さいかくし)”になり利尿や去痰に薬効がある。写真は若葉の様子で枝には去年の果実の殻が見える。以前、軽井沢で見たサイカチの若木には強烈なトゲがあったが、老木になると無くなるようだ。初夏に開花し秋に長さ20~30センチの長い豆果が出来る。これは高尾山“いろはの森コース”のもの。