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フジノキシノブ

 ウラボシ科ノキシノブ属の「フジノキシノブ(富士軒忍)」。ツクシノキシノブとノキシノブの交雑種で、クロノキシノブよりも分布域は限定されており関東地方中心に見られるようだ。葉身はノキシノブよりも幅広の広披針形で質感は柔らかく葉身下部の鱗片は長三角形になる。パッと見ただけでは同定は難しいが、ノキシノブと合わせて触ってみると本種のほうが薄く、前述の藤原講師の言葉を借りれば『葉身は何となくやる気が無さそう』という感じが良い得て妙ではある。
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ヒメノキシノブ

 東京都立大学キャンパスの高木に着生している「ヒメノキシノブ(姫軒忍)」。ウラボシ科ノキシノブ属の常緑シダ植物で東北地方以南に分布している。葉身は5~7センチで根茎は長く横に伸び葉身はやや疎らに出る。ノキシノブは市街地の樹木や石垣でも良く見られるが、本種は山地の樹幹や岩肌などに着生している。

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クロノキシノブ

 東京都立大学キャンパスの高木に着生している「クロノキシノブ(黒軒忍)」。ウラボシ科ノキシノブ属の常緑シダ植物でノキシノブとナガオノキシノブとの雑種に由来する4倍体種で北海道から屋久島まで広く分布している。葉身は暗緑色で葉柄が黒くなるが、稀に葉柄が緑色になる種も存在するようだ。
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ノキシノブ

 ウラボシ科ノキシノブ属の「ノキシノブ(軒忍)」。人家近くの石垣や苔の生えた古木の幹などに着生する常緑シダ植物でかつては茅葺屋根の下や軒下で良く見られたことから名付けられている。葉は柳の葉のように細く長さは10~30センチになる。
 さて先日、東京都立大学牧野標本館の知人から『シダ植物倍数体種の種分化と分類について』の講演会の案内があり参加してきた。当日は昭和大学富士山麓自然・生物研究所講師の藤原泰央氏による主にノキシノブの倍数体種についての説明とフィールドでの実際のノキシノブ観察が行われた。ノキシノブは2倍体や4倍体がありそれぞれが交雑して3倍体や6倍体などの多種になりまた地域性も大きくそれらの見分け方を興味深く拝聴した。ノキシノブ類の分類ポイントは①葉身の形・厚さ②葉柄③葉の付き方④胞子嚢群の位置⑤根茎鱗片⑥葉身下部の鱗片などがあり、例えばノキシノブの葉身は狭披針形でやや厚く葉身下部の鱗片は卵形になるなど実物を見ながらの解説はとてもわかり易かった。
 ちなみに令和6年度から東京都と東京都立大学とで協定締結し、東京都の植物目録策定を牧野標本館が担うことになったそうだ。今後、既存文献・標本調査、現地調査などを行い令和10年度に植物目録を公表する予定になっている。楽しみではある。
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ウラジロ・3~奥高尾2

 奥高尾の南斜面には“大平林道”や“高尾林道”がある。自動車が通れる道幅だが轍には草が伸び自動車が通るのは緊急時など年に数回だけだろう。この林道を歩く人は少なく日によっては誰とも出会わないことがある。高尾山のメイン登山道は休日ともなると登山者が押し掛け、平日でも小中学生や高校生の課外授業なのか、奥高尾“小仏城山”あたりまで若い声が響き渡ることがある。そんな混雑を避けてのんびりこの林道を歩くのは落ち着く。ところが林道の途中で『クマ目撃情報』の看板があると気分は突然緊張モードになる。それまでやや控えめに鳴らしていたクマ除け鈴を手に持って間断無く鳴らし前方や後方を十分に注意しながら進む。トレイルランナーや登山者と出会うと一瞬安心するが彼らが視界から消えるとまた不安になる。
 高尾山系では景信山や一丁平でツキノワグマの目撃情報があリ去年は八王子市役所付近の浅川にも現れていた。日本各地でクマ被害がニュースになっており高尾山系でもいつ起きても不思議ではない。ツキノワグマは人を食べるために襲ってくるのではなく、人を怖がっており自分が逃げるために攻撃するので抵抗せずに数分耐えれば逃げていくと言われているがこれはあくまでも一般論。クマがパニックになれば何をするのかわからない。やはり山歩きの際は最悪の事態を想定して細心の注意を払って臨みたい。
 写真は“大平林道”の斜面に生えている「ウラジロ(裏白)」。ウラジロ科ウラジロ属の常緑性シダ植物で暖地の山地の山肌などに生育している。ウラジロは1年目は渦巻き状の芽が1対立ち上がる。2年目は前年の2枚の葉の間から葉柄を伸ばしその先端から新たに2枚の葉が出る。3年目も同じように葉が出て積み上がっていく。そのために段の数を数えればその株が何歳なのかわかる。確かここでは2年前に同じ株を見ていたがそれよりもずいぶん大きくなった。
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ツルチョウチンゴケ

 奥高尾“逆沢作業道”で見つけた「ツルチョウチンゴケ(蔓提灯蘚)」。チョウチンゴケ科ツルチョウチンゴケ属の蘚類で山地の湿った岩などに生育する。透明感のある葉は長さ7~8ミリで浅い横ジワがある。蒴柄は長さ1~2センチで蒴はやや下を向いている。この蒴を提灯に見立てたのだろう。

♪♪あのころのふたりのアパートは
  裸電球まぶしくて
  貨物列車が通ると揺れた
  ふたりに似合いの 部屋でした
  覚えてますか 寒い夜
  赤ちょうちんに 誘われて
  おでんを沢山 買いました
  月に一度の贅沢だけど
  お酒もちょっぴり 飲んだわね
(『赤ちょうちん』 作詞:喜多條忠 作曲:南こうせつ
歌:かぐや姫 昭和49年)
(JASRAC許諾第J210129422号)
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ジュウモンジシダ・4~奥高尾

 春になると山地ではシダが生い茂り特に出始めの姿は美しい。写真はオシダ科イノデ属の「ジュウモンジシダ(十文字羊歯)」で根茎から複数の葉身を出しで全体が輪を作るように成長する。葉身は20~50センチで主軸の下部にほぼ直角に左右に伸びる短い軸がある
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トウゲシバ・3~胞子嚢2

 堀之内地区の谷戸の水辺に生育している「トウゲシバ(峠芝)」。ヒカゲノカズラ科ヒカゲノカズラ属の常緑性シダ植物で全国各地のやや湿った林床などに分布している。長い間探していたが、今年3月、当地の専門家情報でやっと見ることができた。各地の杉の植林地に多いと聞き、高尾山系などの杉林を探し回ったことがあったが、そこは林内ではあるものの地面は比較的乾燥した場所が多かった。そもそもトウゲシバは“峠”から連想されるような場所ではなく斜面の下部の水辺など湿った場所を好むので見当違いの場所を探していたことになる。写真は開いた胞子の様子で長さは2ミリほど。既に胞子を出し終えている。
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ハマキゴケ

 奥高尾“逆沢作業道”の岩肌に着生している「ハマキゴケ(葉巻蘚)」。センボンゴケ科ハマキゴケ属の蘚類で、石垣やコンクリートなどで普通に見られ、乾燥すると葉の縁が巻き込むことで名付けられている。
 植物の祖先はもともと水中にいたが、最初に陸上に上がった植物がコケだった。しかしコケは草木のように大きくて生存能力が高い種子を作ることができず、また根を通して土から水を吸い上げ体全体に行き渡らせる“維管束”も無い。その代わり小さくても数多く作れる胞子で繁殖することで生育に適した環境をいち早く見つけることができる。また雨や霧などを葉の表面から直接吸収することができるので土の無い岩肌にも直接生えることができる。写真はハマキゴケの葉の表面に付いた大量の水滴。あまりに小さくてピンボケだが実際は宝石のように美しかった。
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タマゴケ・2~葉

 タマゴケ科タマゴケ属の「タマゴケ(玉蘚)」。山地の岩肌などで見られる蘚類で明るい緑色の葉が美しい。これを敷き詰めて寝転がってみたいが、ここでは直径20センチほどで枕にもならない。葉は長さ4~5ミリの披針形で放射状に拡がっている。葉は乾燥すると縮んでしまう。さてこの写真の中に“目玉おやじ(球形の蒴)”がいるがおわかりだろうか。
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