古今東西、数多ある兵法書の中でも、最古にして最高の水準を誇るのが「孫子の兵法」。今も世界各国で愛読されているこの古典には、あらゆる「戦い」の機微が書き尽くされている。現代においても、ビジネス競争、受験戦争、出世競争、スポーツ、恋愛などさまざまな「戦い」がある。そうした場面にも十分に応用できる「知恵」がここには凝縮されているのだ。本書では、イラスト、図表をたっぷり使い解説。また「実践・孫子の兵法」もあわせて紹介する。裏表紙より。
元の本は2011年1月。
「三国志」を読んでるところ(現在白帝城)だったから目に入った。「損して得取れ」ならぬ「孫子で得取れ」ばりに出てくるからサ。
第1章 孫子の兵法とは何か孫子に影響を受けた・孫子を評価していた人々の例その1。
歴史上の偉人と孫子の兵法
ナポレオン、ヴィルヘイム2世、ヒトラー、毛沢東、ホー・チ・ミン、マハティール。
戦国武将も愛した孫子の兵法孫子に影響を受けた・孫子を評価していた人々の例その2。
楠木正成、毛利元就、武田信玄、織田信長、明智光秀、豊臣秀吉、山本勘助、徳川家康。
ビジネスマンたちのバイブル孫子に影響を受けた・孫子を評価していた人々の例その3。
松下幸之助、本田宗一郎、ビル・ゲイツ、孫正義。
・・・後光効果半端ねぇな!
「孫子の兵法ってどうなん?」と軽い気持ちで手にした人間を完全に捕獲するための構成。
こいつはちょっと危険な本だぜ・・・と思ったところに追撃が!
ビジネスで役立つ孫子の兵法うっはwwwこれが第1章の締めwww
力の浪費を避ける
孫子の兵法の中でもこれほど有名な一文もないだろう。「兵とは詭道なり」…戦うこと、それはつまり敵をだますことだ。サービス残業を押し付けてくる上司…これは間違いなく敵。しかしそのまま戦っても勝ち目はない。そこで「故に、能なるもこれに不能を示し…」これが役に立つ。出すべき時にパワーを出せるよう温存するため、可能なことも不可能なように見せる。これも立派な兵法のひとつだ。
思わず笑っちゃうくらい、「絶対に逃がさん!」という意志が感じられる。
この時点でもう大好きだ。
第2章 あらゆるものに「勝つ」ための心がまえ
交戦せずに勝利を目指す
必ず全きを以って
天下を争う
故に、兵、頓れず、
しかして而して、利を全うすべし
此れ謀攻の法なり
(謀攻篇)
解説 傷を負うことなく勝てばともにダメージは少ないワタミ()
名将は自軍の兵を疲弊させない
およそ名将と呼ばれる者は、戦わずに敵軍を屈服させ、城を攻めずに落城へと導く。敵を撃破するにしても、短期戦である。
なぜなら、自軍の宝でもある兵を疲弊させたくないからだ。交戦すれば傷を負うし、疲弊する。名将は戦が長引けば、兵だけでなく国家までが疲弊することを知っている。
第5章 人望を得て優秀なリーダーになる
敗北をもたらすリーダー
将に五危あり
必死は殺す可し
必生は虜とす可し
忿速は侮る可し
廉潔は辱む可し
愛民は煩わす可し
(九変篇)
あらすじ
「必死」は、必死になりすぎて引き際を知らないこと、「必生」は、臆病すぎて前進できないこと、「忿速」は、短気で敵の挑発に乗りやすいこと、「廉潔」は自分の名誉にこだわるあまりすぐ傷つきやすく、そのため自分の任務を全うできないこと、「愛民」は慈悲深いが、それゆえに小を殺して大を活かすことができず決断できないことである。
解説 優れたリーダーは柔軟性に富んでいる『必死』『必生』『忿速』『廉潔』・・・「将」にはまだまだなれそうにないな・・・。
こだわりすぎることの悪影響
これら5つの特性がないというのであれば、慎重で勇敢といった矛盾した性格になるようにも思えるし、美点に思える性格もある。だが、何にせよ、将軍がひとつのことにこだわりすぎることは敗北につながるといっているのであり、将たるものは柔軟性を持って臨機応変に対応することが望まれるのだ。
『愛民』は心配要らない。殺す時は全部殺すから。(きりっ)
第6章 応用力でピンチを乗り切る
敵の力をじわじわと奪う
敵、佚すれば
能く之を労し、
飽けば能く之を飢えしめ、
安ずれば能く之を動かす
(虚実篇)
解説 補給路を断ち休みを与えるなこのあとの実践例がこの本で1番衝撃的だった。
不利な事態を打開する方法
有利な状態の敵をそのままにしておけば、いつまでたっても自軍は不利なままで、いつかは敗北することになる。だからこそ、一見遠回りに見えても、自軍を有利な状態にするように、相手の戦力を忍耐強く削る必要があるのだ。
実践孫子の兵法同じ町に歯医者が3軒あって、その中でAは1番劣勢だった。Aの策略とは・・・!?
歯医者Aの策略
ある時、AはB、Cに先駆けて夜間営業を始めた。すると、B、Cも負けじと同じように夜間営業を始めた。すると、なぜかAはすぐに夜間営業をやめてしまい、現状の患者のケアに集中した。一方、B、Cは長時間営業を行うために安い賃金で経験不足の歯科医や歯科衛生士を雇ったため、治療が荒くなったと悪い評判が立ち始めた。そして、次第に客足は減っていき、その客はAに流れることになった。「戦略」ではなく「策略」と表すにふさわしい・・・おそろしい子!
全て「孫子の言葉→簡潔なあらすじ→わかりやすい解説→実践例」という明快な流れ。非常にわかりやすく読みやすい。これは定価で買っても満足できたんじゃないかと思う。