月の女王・ディアナと瓜二つな少女キエル・ハイム。ディアナはほんの悪戯心で服を取り替えることを思いつく。二人が共に行動しているところへ、ミリシャが最大・最悪の反攻作戦に転じてきた。その騒ぎの中、二人は離ればなれになってしまった。キエルはディアナとして、ディアナはキエルとして入れ違ったまま・・・・・・。裏表紙より。
富野由悠季監督TVアニメ作品のノベライゼーション緊迫の第三弾!
『千年女王』ディアナ様をはじめ、様々な人物の悲哀がこれでもかと詰め込まれた巻。
恋という古代文学に不可欠な生殖衝動の心理的昇華、あるいは脳生理学的な生殖誘因作用は万物に等しく作用するらしいと近ごろ思い至る。はぁ。
しかしそれはディアナ・ソレルという役割には無用なものである。・・・んん?
生殖とはまさに死の受容である。遺伝子の伝承という生体の究極目的は、ディアナに求められる永遠性と相反する。子孫を残すために成熟し老化し死する生体がすがるべき永遠性。ディアナにはその役割を担ってもらわねばならなかった。なんだかイラッとくるAMの記録から3巻スタート。
だからあの時も苦労して月に連れ帰った。
しかし今回はそのよな俗な苦労は考慮しないでよい。ディアナ体制という名の停滞システムはもはや人類史上淘汰されるべきと思い至ったのであるから。
記録者・AM
一:休戦( ゜д゜)!?
ノックス・クロニクル一面に、白い機械人形が大きく両手を広げて空に向かって叫んでいる写真が掲載されている。
月と地上の平和の掛け橋
ミリシャの機械人形のパイロットはムーンレィス
なぜばれたし・・・
理性を失い暴徒化し、フェンス越しに攻撃しはじめた農夫たちに対して、ローラは次のように半ば叫び告白した。ロラン・・・
「私はミリシャのパイロットです。でも本当は月で生まれ育った月の人間で、地上であろうと月であろうと、人の命を大切にしない人と戦うつもりです」
月と地上の休戦と和平交渉が難航する中、ミリシャにいながら本当の平和を願う月の人間がいるというこの信じ難く奇跡的な事実に、我々はもう一度この戦争について考えねばならないのではないか?
月であろうと地上であろうと、お腹が減り、病気になり、嬉しい時は笑い、悲しい時は涙するのだから。みんなでテイルズオブリバースをやれば(読めば)いいと思います!
行き違いロランに対して激おこぷんぷん丸なキース。
「親方は怪我して、パン屋はめちゃくちゃ。行商で何とか生活しようと思ったのに、あんなことがあってノックスにもいられなくなって、知り合いの粉屋を頼ってビシニティに疎開してみれば・・・・・・。正体がばれたのに呑気な顔してるムーンレィスが一人!」
ロランにはホワイトドールがあるから余裕がある、かのように見えるだろうしね・・・。
グエンもキエルも、驚きつつもロランがムーンレィスであることを認めてくれた。
しかしソシエは・・・・・・。
「嘘つき!」
そう泣き叫んでロランを激しく平手打ちした。
近ごろは何とか口をきいてくれるようになったが、ロランはソシエの気まずさを隠すはしゃぎ方やわがままな物言いが心苦しかった。
憎いムーンレィスなのに、憎めば憎むほど、気になっている自分に気づいた。ロラン「は」いい奴だとわかっているからこそ、簡単にいかないのなぁ・・・。
「ディアナ・ソレル陛下があなたと二人きりで話がしたいのだそうです」キエル、ディアナ様にお呼ばれされるの巻。
「わたし・・・・・・とですか?」
ソレイユハリーあんた・・・誰でもいい類の人間なのか!w
ディアナ・ソレルに似過ぎている。どうしても緊張し、他人の空似と自分に言い聞かせると、今度はただの女ならばと抱きすくめたい衝動を覚える。
ディアナが少し悲しげな微笑みをキエルに投げかけた。「ミラン! ハイム嬢と湯浴みをする! 粉まきの介添えも不要! ところばらいを!」陛下、蛮族の前で戦闘服をお脱ぎになっては危険でございます。
よってわたくしがお供させていたd(ry
「わたくしもキエルさんの話を聞きたいと思って、ここにお呼びしたのです」要するに、陛下は女子の恋バナをご所望であらせられたのであります。
ディアナがキエルの濡れた髪をくしけずるように撫でて言った。「・・・・・・地球のこと、あなたの家族のこと。・・・・・・それから、あなたの恋のことを教えてください・・・・・・」
不穏キエルからキエルの両親の現状を聞き、今度はディアナ様がハイム家を訪れることに。
親衛隊が来る。つまり・・・・・・ディアナ・ソレル本人が視察に訪れるのだ。
ロラン的には憧れのディアナ様に近づくちゃーんす。
「ロランの嘘つき! わたしはただの身代わりってわけ?」さらに自分の指示があるまで動かないようにホワイトドールをロック・・・
ソシエがわめいた。「ちょっと武器がどこか教えてよ!」
「立ってるだけでいいんです。ハリー中尉に勝とうなんて考えないでくださいね」
ロランが言いながらVRメットでソシエの顔を包み込んだ。こうすると誰が操縦しているか外からほとんど見えなくなる。
ひwwwどwwwいwww
どんな時も決断が早いなぁロランは。
二:二人夫ディランを亡くしたショックで病んでしまったハイム夫人。
視察
「キエル? キエルかい? 入学の準備は順調かい?」
ベッドの中から細い声がした。
「長いこと、家を留守にしまして・・・・・・娘らしいこともできなくて・・・・・・」
キエルはベッドの上の細い腕を取った。その手が震えているのがわかって、ロランは胸が痛んだ。壊れてしまった母親にどう接していいのか戸惑っているように見えた。
いっそ一緒に・・・と周りの人間は思うことがあるかもしれない。
夕日に照らされた屋敷の外れ。(´;ω;`)ブワッ
ハイム夫人にすがりついて泣き崩れたキエルは、立ち直る間も無く今度は父親の墓の前にも突っ伏し、号泣していた。
その様子にディアナ様も・・・
「ごめんなさい、ただ帰ってきたかっただけなのに・・・・・・」・・・んん?
「もう過ぎたこと・・・・・・ご自分をこれ以上責めても・・・・・・何も戻ってはこないのです」
「どうしたら・・・・・・どうしたら・・・・・・いいのでしょうか?」
「これ以上、戦争を広げないでください・・・・・・」
泣きむせぶその二つの声が時間差を持っている違和感に、誰も気づかなかった。
「どなただったかしら? ・・・・・・すごく優しい方でしたけど・・・・・・」な、なんだってー!?
「・・・・・・お、奥さま・・・・・・」
自分の娘もわからないなんて。ジェシカは顔を背けて流れる涙を拭った。
まさかキエルの服にディアナが着て、ディアナの服をキエルが着ているなど・・・・・・。ハイム夫人以外、誰も気づいていなかった。
服を選ぶのに後姿を確認してみたい・・・という女の子らしいアイデアから始まり、
周りの人間へのちょっとした悪戯心から互いの服の交換に至った2人。
まさかこんな展開になるなんて・・・
でもこの形だったからこそ、ディアナ様の本心がキエルに伝わったと思える。
「ディアナさまは・・・・・・地上が初めてではないのですね?」さらっと重要な事実。
キエルが聞いた。
「そうですね。・・・・・・百年に一度くらいずつ、視察に・・・・・・」
『千年女王』て、文字通りの意味なのか・・・!
「・・・・・・どうして、返事をしてくれないのです?」そりゃあローラがムーンレィスと聞いたら月側だって驚く。
ハリーはなぜか胸が苦しくなった。「同じムーンレィスとして、私はあなたの真意を知りたいのです」
今返事を貰えないのはソシエが寝てるからだけど。
そんな夜に・・・
奇襲偶然ミリシャの部隊を発見して捕まったフランに、ドヤ顔で語るミハエル大佐。
「お嬢さん、我らは最後まで戦うのだよ。そのためのミリシャなのだから・・・・・・」
飛行機やトラック部隊、新たに発掘したカプル、さらに「とあるパン屋」のタレこみで発見したフラットを使った『最大最悪の反撃』が行われたのであります・・・。
領界ミハエル、空気読め!
ロランは突然のことに何が起こったのか理解できなかった。
「卑劣な!」
ハリーが叫んだ。
「今までディアナ様が築き上げてきた地球との信頼関係を、よくぞここまで野蛮に踏みにじった・・・・・・」
・・・分かり合える日は来るのか。
その後月側もウォドムを繰り出しての戦闘になったため、
ホワイトドールで「キエル」を連れてその場を離脱したロラン。
現在『ルジャーナ領との領界と思われるこの岩山』に潜伏中。
領界とは所領の境界に曖昧に広がる領有権の放棄された帯状の緩衝地帯で、荒れ地や谷、湿地帯など農地に向かない土地であることが多い。だそうで。
今日は時間が\(^o^)/
200ページ無い(ここまでで半分)んだけどなぁ。
ディアナ様の人生には色々考えさせられる・・・
そしてこの後ロランとディアナ様が出会う人々の生き方も。
最後には「ディアナ様」として『建国宣言』をせざる得なくったキエルの演説あり。
夕空に、キエル・ハイムの切なる願いが満ち満ちた。この状況でよくぞ・・・と震える演説は、買ってよんでね!
それはキエルだけではなく、ディアナの、そしてロランの願いでもあった。