華氏451度

我々は自らの感性と思想の砦である言葉を権力に奪われ続けている。言葉を奪い返そう!! コメント・TB大歓迎。

「よりマシ」はない――いっそ「さらに最低」が出てもいいかも知れない

2006-06-27 02:10:43 | 現政権を忌避する/政治家・政党

 ポスト小泉として名前の挙がっている政治家達のうち、誰がマシであるかという話があるが、そんなことは議論するだけムダだと私は思っている。私達はしばしばろくでもないものを複数並べられて「どちらが(どれが)マシか」と迫られるが、相手の土俵に乗ってはいけない。そういった意味のことを6月20日のエントリ「どちらがマシかの話ではない」の中に書いたところ、お玉おばさん が次のようなコメントを入れて下さった。

【ただ、お玉は護憲のための「時間稼ぎのため」には少しでも「マシ」な人を総裁に据え置きたいです。だって、そうしないと国民が気がつく前にみ~んな決まってしまいそうで・・・少しでも国民に気を遣う人材に総理をやってもらう。そしてその間に、国民みんなが「怒り出すための」ゲリラ戦を続けていきたい。】

 さて……どうなのだろう。モノゴトはすべて、一足飛びに理想に達することはできない。したがって何であれ、「当面は少しでもマシな方を選」ばざることを得ない場合も多いのは事実である。時間稼ぎのために少しでもマシな人を国のトップに据えて置きたい、という意見もよくわかる気がするのだ。しかし「いま在る中」から選ぶ必要はないとも私は思う。ポスト小泉として数え上げられている政治家はむろんのこと、広く「自民党の中」で誰がマシだろうかと考える必要もない、と。

 現実には(それこそ秋までに天変地異や流行病で国会議員の半数が死ぬとか、クーデターが起きるとか、何か特別なことがない限り)次期首相は自民党の中から選ばれる。だから「少しでもマシな人材」と言うと自民党の中では誰が?――という話になるわけだが、私は実のところ、誰が選ばれても五十歩百歩、に思えてならないのだ。

 アメリカの腰巾着になるのが日本の生きる道と信じるのも、格差があるのは当然とみなして弱者を切り捨てるのも、何も小泉首相の専売特許ではない。このところ多くのブロガーの方がリハビリテーションの日数制限の問題をはじめ、医療や福祉制度の改悪に触れておられるが、「弱い者まで抱え込んじゃおられねぇ」的な発想は随分前からあり、少しずつ目立ち始めていた。たとえば――少し前の話になるけれども、介護保険が創設されようとしていた時、私は「医療・福祉の分野に受益者負担の思想を持ち込むな」と言ってそれに反対の意思表示をし、ささやかながら運動も展開した覚えがある(ちなみに介護保険というもの自体に反対したわけではない)。あの頃すでに、この国は露骨に格差を擁護し始めていたのだ。

 ある意味で、小泉純一郎なる人物は「出るべくして出て来た首相」のようにさえ思えてならない。小泉首相が特殊な人間・変人であり、たった一人で「この国を悪くした」わけではない。

 よりマシ?と思える人物は、もしかすると小泉純一郎のような(ついでに言うと我らが都知事のような)暴言は吐かないかも知れない。靖国参拝も控えるかも知れない。しかし私は、妙にソフトでものわかりよさげな首相が出てくるのも実は怖いのだ。庶民の感覚を逆なでしないように巧く言いつくろい、陰で時計の針を逆戻ししようと画策する政治家の方が、露骨に牙を剥く政治家の何倍も恐ろしい。

 ……トンデモナイ暴君が出てくれば、庶民もさすがに耐えかねて一揆を起こした。だが鞭とアメを巧妙に使い分ける名君?の治世化では、庶民はおとなしく飼い慣らされた。

 いっそ「最悪、最低」の首相(最低と言われている人は何人もいたが……まだまだ下がいるというのはほとんど怪談)が出てくればいいとさえ、時として私は思ってしまう。安倍晋三でもいい。えーい、石原慎太郎でもいい! 「自民党支持です」「私は保守です」または「穏健派です」という人でさえ眉をひそめる政治家が首相になってくれれば、日本にも初めての革命が起きるかも知れない……。セルゲイ・ネチャーエフは、もっともっと社会が悪くなればいい、さもなければ民衆は立ち上がらない、という意味のことを言ったけれども、私も時折そんな気分になることがある……(いかん。酔っているので頭が妄想の世界に偏ってきた)。

◇◇◇

やや唐突ですが――おもしろい画像を見つけたので転載させてもらいます(作者はヘンリー・オーツさん)。なぜか字の部分の背景が黒くなってしまう。やり直しても同じで、どこにミスがあるのか私の能力ではわからない……すみません。

コメント (2)    この記事についてブログを書く
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 国家の殺人――死刑に関する覚... | トップ | 勝ち組になりたいと思いなが... »
最新の画像もっと見る

2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (じゅん)
2006-07-02 12:32:27
ネチャーエフが出てきましたか。以前なら候補の片隅に登場した、竹中平蔵は死んで?しまったかのよう。

 誰であるにせよ、小泉前のこれまでの選出家庭を繰り返す退屈さを、マスメディアは許さないでしょうし、擬せられる候補者は、いずれも凡庸です。

 誰が?で在るにせよ、対外的緊張の高まりの中で、小泉登場時の錯乱とは違った、筋書きで始まる、そんな気がしています。
おっさん (ハイハイハ)
2006-07-10 19:42:20
もうがんばんないでいいから、働けなくなった団塊は早く死ね

コメントを投稿

現政権を忌避する/政治家・政党」カテゴリの最新記事