華氏451度

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『沖縄は基地を拒絶する』から

2006-02-01 02:21:57 | 本の話/言葉の問題

昨年10月、日米両政府は在日米軍基地の再配置計画の中間報告について合意した。その計画のひとつが、普天間基地(飛行場)を名護市のキャンプ・シュワブ沿岸に移設するというもの(再配置計画、とりわけ普天間基地移設計画の問題については、既に大勢の方がブログに書いておられる)。これに真っ向から抗議して緊急出版された、『沖縄は基地を拒絶する――沖縄人33人のプロテスト』(発行・高文研)を読んだ。執筆者は沖縄で平和運動に取り組んでいる人達33人。「手にとって実際に読んで欲しい」というお勧めの言葉に代えて、ほんの一部を紹介する(執筆者の肩書きは省略)。

「沖縄はしょせん日本の軍事植民地だという思いを、なかば遠慮がちに書いてきたが、それほど遠慮するにもおよばないか、と思うようになったのは、新任の麻生外相の堂々たる発言を得たときである。(略)麻生外相は、沖縄の地理的な特殊性をあげ、日米安全保障のためには沖縄を基地に提供することがぜひ必要だ、と明言した。沖縄に人間が住んでいるという認識がそこにはない」(大城立裕)

「1800メートルの滑走路、しかも大きく海に突き出た飛行場の図面を新聞で見た時、思わず息を呑んだ。『ひぇー、こんなの誰も認めてないよ。勝手に決めるなー』。あきらめてなかったのね、日本政府は。そんな長い滑走路をほしがったのは米国政府で、しかも日本政府が、私たちの税金を使って造ってあげるんだってさ」(石川真生)

「小泉純一郎様は、ジョージ・W・ブッシュ様がお見えになると、しっかりと手を握られ、『中間報告の実現に最大限努力する』と誓いましたね。そして言われました。国民に向かって、国の安全保障のためには『代価』を払うべきだ、と。(略)『代価』とは、辺野古の海を殺すことでございますか。辺野古の海がジュゴンの血で染まることでございますか」(糸数慶子)

「これまでは“県外へ移設せよ”との要求は遠慮がちでした。基地は沖縄にあるから駄目なのではない、どこにあっても認められない、だから基地を撤廃せよと言うべきであって、県外へ移設せよという考え方は正しくないとの指摘もありました。しかし今はあからさまに“県外移設”が要求されています。(略)基地を押しつけられ、抱え込まされ、基地被害の生活を強要されることがなければ、ヤマトの平和ぼけはいつまでも目を覚ますことがないでしょう。他者(沖縄)の痛みを感じることも無い非人間的生活、日米軍事体制を自然のことと錯覚する軍事力信者に退廃しきってしまうことでしょう」(平良修)

「石原東京都知事は『日米安保下で沖縄が最初に核の標的になる』とワシントンで講演している。(略)沖縄基地は本土の通常基地と違い、核基地があり、海外で唯一の海兵隊基地となっていることが特徴だ。基地が平和を維持することはありえない。23万人の命を奪った沖縄戦は、日本軍基地があったからターゲットにされた」
(福地曠昭)

「まるで無人島に基地を建設するかのような決定であった。(略)沖縄に米軍基地が新設されれば、犠牲になるのは沖縄人だけで、東京を中心とした日本国は安泰だと思っている人が多いのではないか」(宮城晴美)

「今回の中間報告は、まぎれもなく『憲法改正案』と連結している。(略)自治体や個人の権限を制限し、『公の秩序』を維持するというこの論理は、特措法によって公有水面使用権限を県知事から国に吸い上げるという現在の動きに明白な形で表れている」(比屋根照夫)


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