撮り旅・ヨーロッパ

ハンガリーを拠点にカメラ片手に古い教会を主に写真撮影の旅を楽しみ、そこで拾った生活、文化情報を紹介します。

ウィーンの街と教会(1)

2018-02-04 10:58:58 | 旅行

 ウィーンを舞台にした映画と云えば、昭和の世代人には何と言っても、「第三の男」が

頭に浮かんでしまう。しかし、その映画に出演した主役たちは全て他界しており、もはや

風化するのも風前の灯火のような気もしないではない。

主演のオーソン・ウェルズは1985年70歳で、ジョゼフ・コットンは1994年89歳で、

女優のアリダ・ヴァリは2006年に85歳で亡くなっている。

風化する前に、一度、その舞台になった場所を訪ねるのも、旅の的が絞れて面白いのでは

ないかと思った次第である。

ストーリーはあえて、この場では詳細は割愛するが、簡単に触れておくと、クランクイン

されたのは、1948年のウィーンの街であったこと、その当時は、ウィーンは第2次世界

大戦の敗戦でベルリンと同様に、連合国軍(米、英、仏、ソ)に分割統治されていた。

敗戦国共通の混沌とした世情の中でペニシリンの闇商売に手を染めた米人を追うという

サスペンス映画で、犯罪者(第三の男)の旧友(三文作家)と恋人(ウィーンに不法入居)

の心の葛藤を描いた素晴らしいアカデミー撮影賞作品である。

もう一つのこの映画の根強い人気を保っている理由としては、誰もが一度は耳にしたこと

のあるアントン・カラスのチター(楽器)に載せた哀愁のメロディーが、同じ敗戦境遇の

の国民として共感するものがあり、日本中を風靡したものと推察する。

参考の為、映画が作られた1948年は、小生の生まれた翌年であり、正直なところ、

小生も映画の再映でしか知らない世代なのである。

 

 映画では、冒頭にウィーンの中心にあるステファン大聖堂が映し出される。

ほんの数秒、外観が登場し、ナレーションでウィーンの現状が語られる。

個人的な嗜好としては、この世界三大教会の一つを外観だけで終わらせたく

ないので、この章ではステファン大聖堂に徹したいと思う。

 

● ステファン大聖堂外観;

   

 何と言っても、ウィーンのシンボルである。 塔は4本建っているが、1359年に最も

高い南塔(137m)が最後に完成した。 写真は最も観光客を集めるケルントナー通り

(メイン)から来て、ステファン広場の南西方角からの眺めである。

 

● 教会西側ファサード;

 

東の方角より眺めた大聖堂、屋根にはカラータイルを使ってオーストリア共和国とウィーン市

の紋章を描いている。 右側が北塔で高さ68m。エレベーターで上まで登ることが可能。

 

● 北塔からの眺め; 

  写真手前の塔は大聖堂正面の北側リンデン塔。 向こうの緑色ドームはペーター教会。

 

北塔からは、ウィーン市街地の北東区域が望める。 写真中央はイエズス会教会。

 

● 大聖堂正面(西側);

 左右対称の南北リンデン塔(バジリカ)

  

 

 正面ファサード

  

 

正門入り口(リーゼン門)(1230~1250年に建立)

 

● 主内陣;

   正門を入ると、奥行き100mの内陣(身廊)

  

  脇廊を仕切る柱に、装飾された小さな祭壇が設けられている。

  左が聖セシリアの祭壇(下の写真)、右が聖ヨハネの祭壇である。

  

 

● その手前にある説教台; 15世紀後半の作品

 

 説教台の彫り物(聖人3名の彫像有り) 

 

 

● 主祭壇;

 

● 左脇祭壇; 聖母マリアの生涯を描いた「ウィナー・ノイシュタットの祭壇」

        1447年の作品で皇帝フリードリヒ3世の寄進物と云われている。

  

 

 左脇側廊の壁には、大聖堂製作の棟梁アントン・ピルグラムが小さい窓から覗いている。

  

 

● 右脇祭壇; フリードリヒ3世の棺が安置されている。

 

● 正門入口側; 聖歌隊席

 

● 支柱を飾る聖人たちの彫像の数々;

  

 

● カタリーナ礼拝堂(洗礼堂); 南塔の下部にある、写真は洗礼盤。奥は祭壇。

  

 

    これにて、「ウィーンの街と教会」はお終いです。

 

<追>

 実は過去に何回もウィーンには訪れているが、クルマ以外で行った試しがなく

読者への情報提供という意味もあり、一度、公共機関を利用してみようと思った。

利用したのは鉄道で、IC(Inter City)、ブダ側から行く場合は、ブダペスト東駅まで

行かずに、ひと駅手前の Kelenföld が良いだろう。ブダペスト南駅は頭端方式で

通り抜け出来ないので、Kelenföld 駅が西欧への通過駅となっている。

ウィーンは、ウィーン南駅(今はウィーン中央駅が正式名)が中心街に近い。

・ 運賃は往復で 10,230 HUF (自由席券)...指定席もあるが、自由席で座って行ける。

・ 切符は購入当日限りでなく、購入日から往路、復路を含め4日間有効である。

・ 今回は、出発がam7:55、ウィーン着がam10:21で2時間半の道中、列車内に走行

  表示ディスプレイがあるため安心。(写真参照)

・ パスポートチェックは、往路は国境を越えたら直ぐに車内であったが、復路はなかった。

・ 以前は、パスポートチェックの煩わしさと治安も良くないということで敬遠されて

  いたようだが、食堂車、車内販売もあり、快適、速い、安いで、愛好者になりそう。

・ ウィーン中央駅に着いたら市内観光用の足を買う。24時間、地下鉄、バス、トラム

  乗り放題切符がお得(8ユーロ)。

  通路に置いてある自販機の画面で、24と書いてあるボタンを押して画面に表示された

  金額を投入するだけ。 

<乗車した IC (Rj60)車両>

    

<2等自由席車内>

 

<走行表示ディスプレイ>