撮り旅・ヨーロッパ

ハンガリーを拠点にカメラ片手に古い教会を主に写真撮影の旅を楽しみ、そこで拾った生活、文化情報を紹介します。

ハンガリー北東部国境の教会スケッチ(2)

2020-10-04 19:18:38 | 海外生活

 前稿に引き続き、次の教会から、

 ● サロンナ (Szalonna) 改革派(カルヴィン派)教会

  

 

 ● ルダバーニャ (Rudabánya) 改革派(カルヴィン派)教会

  

 

 ● ツボジィ (Zubogy) 改革派(カルヴィン派)教会

  

 

<ロケーション>

 

◆ サロンナ (Szalonna) 改革派(カルヴィン派)教会

  教会はアルパード王朝時代からの石造りの教会である。 1562年にオスマン帝国軍

 によって、当時、壁面に描かれていた壁画は白い漆喰で上塗りされ、廃墟化していた。

 1589年にカルヴィン派の所有となり現在に至る。

 

 教会の入口

 

 教会の裏側(祭壇側)

 

 ● 内陣

 

  1970年に上塗りされていた壁を削り取って、絵を復元した。

 「聖マルギットの伝説」という名の貴重な壁画であるらしい。

    

 

 内陣の入口側(天井には絵板パネルはないが、階上礼拝席の側面パネルが存在)

 

◆ ルダバーニャ (Rudabánya) 改革派(カルヴィン派)教会

  教会は14世紀にゴシック様式で建てられたが、オスマン帝国の襲撃によって

 破壊され廃墟化していた。 オスマン帝国の撤退後 1758~1762年に再建された。 

 

  左側が内陣で、右側が離れている鐘楼(1896年の増築で古い物ではない)

 

 祭壇は内陣の中央部にある。

 

 ゴシック様式の典型的な窓と大きな壁画が一枚

「聖ゾフィアとその子」(左の絵)、そして右が「聖イロナと十字架」.... 1430年作 

 

 信者礼拝席の側面パネルと天井絵板パネル

 

◆ ツボジィ (Zubogy) 改革派(カルヴィン派)教会

  教会は15世紀にゴシック様式で建立。

 

 鐘楼

 

 

 ● 内陣

 

  信者礼拝席の側面パネルと天井絵板パネル

   ローマ帝国時代に描かれた天井絵板で 1726年に改修された。

 

     これにて「ハンガリー北東部国境の教会スケッチ」は、すべてお終いです。

  本ブログへのご訪問、有難うございました。

    


ハンガリー北東部国境の教会スケッチ(1)

2020-10-04 00:49:07 | 海外生活

ハンガリーの北東部ではアッグテレク・カルスト台地 (Aggteleki-karszt) を

スロヴァキアと共有しており、地下では国境もなく繋がっている。 両国合わせて

1200もの洞窟があると云われており、1995年にユネスコの世界遺産に登録された。

全長25Km に及ぶバラドラ洞窟はヨーロッパ最大の洞窟である。

 

 バラドラ洞窟 (Baradla barlang) 入口               Aug. 15 2007

 

 何億年もの歳月で出来た石灰岩の自然の造形には、各々名前が付けられている

   

 

  この地域は外部からの侵略者も触手を伸ばさなかった秘境であった為か、

 幸いに古くからの教会が破壊されることなく残っている。

 先を急ぐ必要もないのだから、古き、貴重な物にちょっとばっかし多くの紙面を使わせて

 戴こう。 アッグテレク国立公園の麓にある5つの教会を紹介したい。

 

<ロケーション>

  山と湖はやはり人を魅了する。 この辺りの景勝地ラカツァ (Rakaca) 湖

  

 周りには何もなく、ただひたすら国境の山岳地帯まで続くハンガリーの原風景。

                                Aug. 18 2008

 

<教会のスケッチ> ... 北から順に

 ● トルナ・セント・アンドラーシュ (Torna-szent-andrás) R/Catholic 教会

  

 

 ● ラカツァセンド (Rakacasend) 改革派(カルヴィン派)教会

  

 

 ● サロンナ (Szalonna) 改革派(カルヴィン派)教会 

  

 

 ● ルダバーニャ (Rudabánya) 改革派(カルヴィン派)教会

  

 

 ● ツボジィ (Zubogy) 改革派(カルヴィン派)教会

  

 

この地域の古い教会の特徴が見えてきた。

 ① 改革派(カルヴィン派)教会が非常に多い。

   (理由はチェコスロヴァキアに吹き荒れたヤン・フスの宗教革命が大きく影響)

 ② 屋根は板葺き屋根がほとんど。

 ③ 石造りの塔ではなく木製の鐘楼が多く、大きな教会は本堂から離れた別棟の鐘楼。

 ④ 外部侵略者からの襲撃が少なかったのでオリジナルのロマネスク様式が残っている

  ので、内陣の壁画や天井の絵板(パネル)が多く残っている。

 ⑤ 祭壇は内陣の中央に配し、両サイドに信者席を分ける構造が多い(改革派の特徴?) 

こんな予備知識を頭に入れて、写真を観て戴くと興味が湧くのではなかろうか。

 

◆ トルナ・セント・アンドラーシュ (Torna-Szent-András) R/C 教会  

 12世紀にロマネスク様式で建立されたのが右側の小さい内陣、

 左側の大きい方は14世紀に追加拡張されたゴシック様式である。

  今日見られる姿は18世紀に改修されたものである。

 

 ● 鐘楼

 

 ● 内陣

  内陣は国内では珍しいツイン祭壇構造で、真ん中の柱で祭壇が仕切られ、柱には

 聖人(?)の画が描かれている。

  

 

  壁面のフレスコ画

 

 

   天井の絵板(パネル)と2階礼拝席の側面パネル

 

◆ ラカツァセンド (Rakacaszend) 改革派(カルヴィン派)教会

 12世紀に上記写真で見えている半円形の祭壇部と四角い内陣が建てられた。

 13世紀には右側(樹で隠れている)の内陣が追加拡張された。

 

 ● 内陣 .... 中央部に配置されている祭壇

 

  壁画 ... 後で追加された内陣の壁面に描かれたフレスコ画(15世紀の作)

  

 

  内陣の天井に貼られた絵板(パネル)

 

                         次回に続きます