作曲家古関裕而の生涯をドラマ化したNHKの朝のドラマ「エール」から「暁に祈る」のメロデイが流れてきた。懐かしいが悲しい時代の戦時歌謡だ。
♯ 暁に祈る(野村俊夫作詩 古関裕而作曲 昭和15年)あああの顔であの声で 手柄頼むと妻や子が ちぎれるほどに振った旗 遠い雲間にまた浮かぶ
古関には「露営の歌」という別の戦時歌謡もある。♯ 露営の歌(薮内喜一郎作詞 昭和12年) 勝ってくるぞと勇ましく 誓って国をでたからば 手柄たてずに死なりょうか 進軍ラッパ聴くたびに 瞼に浮かぶ旗の波
銃後の小国民だった僕らの世代にとってこの二つの歌と ♯ 出征兵士を送る歌(生田大三郎作詞 林伊佐緒作曲 昭和14年)わが大君に召されれば命はえある朝ぼらけ 讃えて送る1億の歓呼は高く天をつく いざゆけつわもの日本男児-は当時出征兵士を自宅から最寄りの駅まで送るとき歌った定番であった。
理髪店をしていた級友の木村君のお父さんも、ブラスバンドを先頭に歓呼の声で送られた。店先には「出征兵士の家」と名誉ある張り紙が貼られたが,店は閉じられ、やがて引っ越されていった。戦争が激化すると町から小国民の出征兵士を送る風景もなくなった。