「老人タイムス」私説

昭和の一ケタ世代も高齢になりました。この世代が現在の世相をどう見て、考えているかーそのひとり言。

昭和も遠くなりけり 日の丸も鯉のぼりもみられない

2016-04-29 05:40:24 | 2012・1・1
4月29日は国民の祝日「昭和の日」である。大型連休が今日から始まるが、毎日が日曜日の老人にとっては、これといった感慨もない。「昭和の日」は平成19年(2007年)「みどりの日」にかわって名前を変えたが、もともとは昭和天皇の誕生日で、戦前は「天長節」戦後、昭和天皇存命中は「天皇誕生日」の祝日であった。9年前、「昭和の日」に変更になるに当たり、その制定の趣意は”激動の日を経て復興を成し遂げた昭和の時代を顧み国の将来に思いをいたす”とあるが、僕には今一つピンットこない。

僕ら昭和1ケタ世代にとって4月29日はやはり戦前の「天長節」である。”今日の佳き日は大君の生まれたまいし好き日なり”と学校で式歌を歌い、紅白の饅頭を貰った日を想い出す。数えてみたら昭和12年から18年まで6回の「天長節」だったのだが忘れられない。

昭和の時代に”明治は遠くなりけり”という俳人、中村草田男の句をよく聞いた。草田男が昭和6年の大雪の日、東京の母校を訪れた際詠んだもだが、明治の御代からまだ、19年目しかたっていなかった。今は昭和からすでに28年たっており、”昭和も遠くなりにけり”になるのも当たり前だ。

「天長節」の日は何故か天気の良い日が多かった。町の家々の門ごとにはには「日の丸」が掲げられ、青空には鯉のぼりが泳いでいた。僕の子供の時の原風景だが、”昭和も遠くなりにけり”である。僕が住んでいる東京の町には「日の丸」も鯉のぼりも見られなくなった。