「老人タイムス」私説

昭和の一ケタ世代も高齢になりました。この世代が現在の世相をどう見て、考えているかーそのひとり言。

            お日さま、軍艦、飛行機の時代

2012-06-21 06:36:46 | Weblog
土用の虫干しには季節的には早いのだが、先日屋根裏のわが家の古文書を整理していたら、僕が幼稚園の年長組だった昭和11年6月描いたクレオン画が出てきた。写真のように当時の時代を反映して、戦艦が威風堂々と行進して、その上を日の丸をつけた飛行機が勇ましく飛び、お日さまが赤々と輝いている。昭和11年は、2.26事件のあった年で、翌12年7月7日には日支事変が始まった。

僕は亡父の48歳の時の子供だったためか、人一倍僕が可愛がったのであろう。色々と僕の幼少時の頃の文書や写真を残してくれている。その中の一つ「自動車と船」という一章には”息子は2,3歳の幼い頃から自動車と船が大好きであった。鳥や動物や刀などにはまったく興味を示さず、おもちゃ箱は自動車と船ばかりであった。起きてから寝るまで”ブーブー”と”ギッコ”と言い続けている”

幼稚園時代の「自由画帖」を見ると、確かに自動車と船の絵が多い。それにほとんどの絵に赤い太陽が描かれている。赤い太陽の周りに御光が線で示されているあの太陽だ。今の子供たちも絵を書くと、この絵を画くのだろうか。それともあの時代だけのものだったのであろうか。

僕は80歳を過ぎた今でも、ろくに絵が描けない。だから絵については語る資格はないのだが、75年前の僕の絵はあまり色彩が豊かでない。なぜなのかなあと今考えてみたら、あの時代は貧しかったこともあって、ほとんどの家庭では、幼い子供には何色も入ったクレオンを与えなかった。下手な76年前の絵の下手なことの言訳に一言。