「老人タイムス」私説

昭和の一ケタ世代も高齢になりました。この世代が現在の世相をどう見て、考えているかーそのひとり言。

         ホワイトハウスの"勝利農園”

2009-03-23 06:00:16 | Weblog
ミシェル・オバマ大統領夫人が娘二人に新鮮な有機野菜を提供しようとホワイト
ハウスの芝生の一角に"家庭菜園”を作り、クワ入りしている画面をテレビで見た。
ホワイトハウスに農園が出来るのは1943年(昭和18年)、当時のエレノア・ルーズ
ベルト大統領夫人が"勝利農園”を作って以来との事だ。

昭和18年といえば、日本でも戦争が激化して銃後では食糧難が始まっていた。米
などの主食は配給制になり、都会では野菜不足から家庭菜園をつくるよう奨励され
た。東京では昭和通りのような大通りでも一部が農園になった。

ルーズベルト夫人の"勝利農園”では何が栽培されたのであろうかー。日本では空
腹を満たすため,ハラにたまる芋類やカボチャ、とうもろこしなどが多かった。わが家
でも母親がなれぬ手で垣根にカボチャの蔓をはわせたが、うらなりで水っぽく不味か
った。それでも当時としては重要な栄養源であった。

オバマ夫人の菜園作りの目的の一つは、米国の"ファーストフード”文化への警鐘の
意味もかねられているのだという。クワ入れにはワシントンの子供たちも招かれて参
加している。植えられる野菜も芋やカボチャではない。ホーレン草やレタス、ブロッコリー
人参など薬草もあるという。平和な時代である。中学生であった僕らは多摩川の
河川敷の学校農場で"欲しがりませぬ勝つまでは”と、肥ダメの樽をかつぎながらトウモ
ロコシつくりに励んでいた。"敗戦農園”であった。