「老人タイムス」私説

昭和の一ケタ世代も高齢になりました。この世代が現在の世相をどう見て、考えているかーそのひとり言。

イエメン ”秘境"地でのサッカー

2006-09-06 06:02:28 | Weblog
アジア杯予選イエメン戦がきょう6日、同国の首都サヌアで行われる。
サッカーについては”ド素人"の僕だが、試合の結果とは別に、かって
若かりし頃苦労して訪れた国で行われる試合だけに、格別な関心と興味
がある。

昭和37年(1962年)秋、僕は新聞社の正月企画をかねて、王制革命
直後のイエメンを訪れた。といってもアデン(当時は英国保護領)が
中心で、南部のタイズに一泊したに過ぎないのだがー。革命政府第一
便に乗った僕ら報道関係者は首都サヌアへ向けて出発したが、なぜか
途中でタイズで降ろされてしまった。

タイズでの印象はただ驚きだった。独特の民族衣装をつけた小柄な
男たちが腰に刀をさし、なにか麻薬っぽいガートという草を口中で
噛んでいる。貨幣は「マリア・テレサ・タラール」という古い磨耗
したオーストリア銀貨が通用していた。僕らはこれまた前世紀に建て
られたような迎賓館に宿泊したが、飲料水用に貯めていたバス・タブ
の水の中に飛込んだ米国人がいて使用人を嘆かせた。

昭和30年代には、まだ「世界の秘境」といった雑誌が売れていた。当時の
日本人から見ればイエメンは”秘境”の一つだった。タイズから僕らは
四輪駆動車で砂漠の中の道を、途中エンコした車を押しながら8時間
かかってアデンに帰った。あれから44年、サッカーのアジア予選がイエ
メンで行われるー時の流れを感じる。感無量である。