キョウコの携帯電話に一本の非通知表示の着信が鳴った。
「もしもし…?」
いつもと違う着信メロディに、戸惑いながらキョウコは恐る恐る電話に出た。
ガサガサと、受話器に何かが擦っているような雑音が続いた後に、
小さなスピーカーからは、音楽が聞こえてきた。
どこか聴き覚えのあるメロディ、緑の草原が頭の中に広がるような、
唯一無二のやさしい歌声、ほんの数ヶ月前まで毎日聞いていた。
あの曲が電話口の向こうから流れてきた。
微かな音だったが徐々に脳裏に甦ってくるようだった。
キョウコは目をつぶり、自分の頬を流れ落ちる暖かいものを感じた。
その時、部屋にチャイムの乾いた音が響いた。
キョウコは電話を放り出すと、急いで玄関に向かいドアを開けた。
そこにはすべてを許し、変わらないために変わり続けたケンが、
やさしい笑顔で立っていた。
end
「もしもし…?」
いつもと違う着信メロディに、戸惑いながらキョウコは恐る恐る電話に出た。
ガサガサと、受話器に何かが擦っているような雑音が続いた後に、
小さなスピーカーからは、音楽が聞こえてきた。
どこか聴き覚えのあるメロディ、緑の草原が頭の中に広がるような、
唯一無二のやさしい歌声、ほんの数ヶ月前まで毎日聞いていた。
あの曲が電話口の向こうから流れてきた。
微かな音だったが徐々に脳裏に甦ってくるようだった。
キョウコは目をつぶり、自分の頬を流れ落ちる暖かいものを感じた。
その時、部屋にチャイムの乾いた音が響いた。
キョウコは電話を放り出すと、急いで玄関に向かいドアを開けた。
そこにはすべてを許し、変わらないために変わり続けたケンが、
やさしい笑顔で立っていた。
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