・・・・・・あわぞうの覗き穴・・・・・・

気が向いたときに、覗いてご覧ください。
何が見えるかは、覗く方々のお眼め次第です。

いちばん上を眺めてみると:10:肉:2

2014年01月16日 | つぶやきの壺焼

昨日は高値に目がくらんで、いきなりハンバーグのほうにそれてしまいました。
本来の肉のほうに戻りましょう。

肉にもいろいろありますが、やはり牛肉でしょう。
ギュウと言わせない松阪牛は、A5レベル12サーロインが 20kg 100万円、100g 5000円を超えます。

A5というのは、もちろん紙の大きさになぞらえたのではなく、歩留等級がAクラスの最上位ということ、肉の味とは関係のない商売上の階級のようです。
しっかり肉がついているかどうか、高値で取引ができる、だいじなことでも、食べる側にはそれだけのことです。
レベル12は、肉質等級のうち牛脂肪交雑基準(B.M.S.)ビーフ・マーブリング・スタンダードの12段階の最上位であるということなのでしょう。
「交雑」とは、ハイブリッドと間違えそうな、命名の苦心が想像できそうな名称ですが、マーブリング、大理石模様、つまり霜降り模様がどんな具合か、サシはどうか、それが12段階と、これ以上分けようがないほど細かく刻んだ等級で、12はその最上位です。

肉質には、B.M.S.以外に肉色基準の B.C.S. 脂肪色基準の B.F.S.という等級があって、こちらはそれぞれ7段階になっています。
模様と肉の色、脂の色、肉質は見る人が見ればわかるのでしょう。

肉質等級は、歯ざわり舌ざわりの感触が、上位ほどよいことがわかります。
しかし、味には等級の付けようがなく、食べてみなければわかりません。
単価 5,000円の肉が、2,500円の肉の 2倍の美味さがあるなどという計算はできません。
ものを食べながら、これはいくらのものだからなどと勘定していたのでは、たちまち味が落ちますから。

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いちばん上を眺めてみると:9:肉

2014年01月15日 | つぶやきの壺焼

食べもののことなら、魚の次は肉の話になります。

世界でいちばん高価な、超希少な肉から作られた 3,700万円のハンバーガーというのがありました。
肉は生きている動物からいただくものですが、このハンバーガーに使った肉は、そうでないらしいのです。

 世界中の話題が集まるエンターテイメントニュースサイト  「エンタメウス」より
 ⇒ http://entermeus.com/24244/

牛を育てるためには、肉 1kg に対し 10kg の植物飼料と燃料が必要ですが、培養肉なら各 2kg ずつでよいと、この研究者は言っています。」
この人工肉が世の中へ流通すれば、家畜を殺さなくても肉を得られるというのですが、流通できるまでに、どのくらい高価なハンバーグを食べなければならないかわかりません。
それよりも、人工の肉をどう造るのか、その工程のほうが大いに気になります。
もとが食肉のものでさえ、加工途中で毒薬が紛れ込みます。それを肉から造るのでは、何がどうなってもさっぱりわからないでしょう。
動物が飼育されて育っても、それを食べるときは気にならず、人間が考えて造ったものが気にかかるのです。

人間は、信じあわない動物である、という奇妙な定義ができてしまいました。

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いちばん上を眺めてみると:8:魚

2014年01月14日 | つぶやきの壺焼

珍味には魚の卵が多いことにあらためて気付くと、その親の大きさを知りたくなります。

現存の魚で最大のものは、体長 14m 近くにもなるジンベエザメのようです。
どこかに同名の日本人がいそうなこの名は、体の模様が着物の甚平に似ていることから付けられたという説があります。

しかし、ジンベエザメと説明臭い呼び方をするのは、TV、画集、水族館だけでしょう。
海人の呼び名ではなさそうで、鹿児島では「くじらぶか」と大きさが名前に、千葉から静岡あたりでは「えびすざめ」と姿かたちが名前になっているようです。
ベトナムで呼ぶ「カー・オン」は、「魚の翁」という尊称の意味をもっていて、これが呼び名としては最上でしょう。

ジンベエザメのヒレは、最高級のフカヒレで、天頂翅と呼ばれて珍重されるそうです。ゼニスの翼、天に羽ばたくような優れものという意味でしょうか。

ジンベエザメの類は、生物個体ではいちばん小さく弱そうなプランクトンが主食で、小さいものを食べて生き延びると、大きい生きものとして種が保存されていくという、自然の摂理を違えない生き方のように見えます。

強いものに立ち向かうのは、別の意味でよいとしても、欲望を満たすために同じ種を食いものにすることを始めたとき、その生物は、「大きい生きもの」としての資格をすでに失っているのでしょう。

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いちばん上を眺めてみると:7:珍味

2014年01月13日 | つぶやきの壺焼

酒の友は珍味、これも付いている値段で比べるしかありません。
日本の三大珍味が、うに、からすみ、このわた、世界の三大珍味が、キャビア、トリュフ、フォアグラ、などと並べてみても、飲む酒との相性、どこで飲むか、誰と飲むか、いつ飲むか、どんな気分でとなれば、計数比較対象は値段だけになります。
この値段も、買う人がいるから付くので、取得コスト+生産コストとの比例関係も怪しいものです。

ざっと眺めた結果では、六大珍味のなかで、カザフスタン産の天然ベルーガのキャビア 500g 28万円 が公開されている最高値のようです。

カザフスタンは、世界最大、軍艦がいるほどの大きな湖カスピ海の、北東岸4分の1に接した国です。
海と名の付く湖、水は塩水、しかし塩分は海水の3分の1です。ベルーガというこれまた世界最大の淡水魚が棲むにはちょうどよい塩加減なのでしょう。
ロシア語で「白い」を意味する名のベルーガは、日本名オオチョウザメ、体長 8.6m、体重 2,700kg のものもあり、死ぬまで大きくなり続け、118年まで生きたのもいるそうです。体の大きさは実測できますが、年齢はおそらくご名算の答えでしょう。

大珍味も、パーティー用の小さなカナッペに、もったいぶって載っているぐらいでは、ああキャビアだで終しまいです。
ライ麦のロシアパンにベタッと塗りつけて、ガブッといかなければ、多分味はわからないでしょう。

珍重されるのは高価だからで、高価なのは売買制限のおかげ、売買制限は「絶滅の危機に瀕する種の保存に関する法律」によるもの、つまり人類の智恵が値段を吊り上げていることになります。
絶滅の危機に瀕する種に、ヒトは入っているのでしょうか。

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いちばん上を眺めてみると:6:強い酒

2014年01月12日 | つぶやきの壺焼

ビールのアルコール度に驚いたあと、こんどは、いちばん強い酒は何度ぐらいなのかと、また「上」が気になりだしました。
強烈な酒、飲んでみようとは思いませんが、口に入れてみたい気はあります。
銀座で見かけたウオッカを売る店で、唐辛子入りのウオッカの、キンキンに冷えたのを小さなちいさなカップですすめられ、香にくわれて買ってしまったことを思い出します。
強さには冷たさが合うようです。強くてもなまぬるいのはいけません。

【スピリタス】名前からして強そうな、ポーランド産の酒があります。
アルコール度 96、 500ml 1,350円、主原料は穀物とジャガイモで安価です。
70回を超え、これ以上はやるだけムダというところまで蒸留を繰り返して造られます。

ポーランド語の spirytus は、ずばりエチルアルコール、酒精、広義には蒸留酒全般のこと、酒というより消毒薬としての利用価値のほうが高そうです。
これに梅を漬けたら、「梅バタン」などというものすごいのができるでしょうか。

なめても舌がしびれるといいますから、時代劇の傷の手当てで焼酎を口に含んで吹きかけるような、あんなことはできません。
タバコや焼肉はもってのほか、たちまちテロと間違われます。

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いちばん上を眺めてみると:6:ビール:2

2014年01月11日 | つぶやきの壺焼

寄り道は楽しいものです。まだ口に入っていないビールに酔って、少し寄り道をしてみます。

上を見るといえば、つい値段のほうだけに気を取られますが、酒の話ならアルコール度の上下もあるのでした。
味の上下は趣向と環境にかかわるので、比較は野暮ということになりますが、アルコール度は数字に表れ、これなら最高をとらえることができます。

スネークヴェノム Snake Venom 蛇毒という恐ろしい名のビールがあります。
アルコール 67.5度 275ml 50ポンド:約8600円
ボトルネックに黄色い「危険」シールが巻かれた、札付きのビールです。
普通のビールの 10倍をしのぎ、テキーラを上回る超度数なのですが、「非常に飲みやすく、麦芽が薫る良いビール」と宣伝されています。
Supersonic Beer と言われ、美味いからといって、一気飲みするとたちまち昇天しそうです。35ml が限度と警告も出ています。

スコットランドのアバディーンシャーにある Brewmeister醸造所の産で、この位置がデンマークの最北端とほぼ同じ緯度にあることを思えば、こんな強烈なビールをなぜ造ろうとするのかも察せられます。

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いちばん上を眺めてみると:5:ビール

2014年01月10日 | つぶやきの壺焼

ヴィレ・ボン・セコーという酒、ワイン系かと思ったらビールでした。
イングランド産、アルコール度数 7.5、750ml 61,000円、ロンドンに行かなければ飲めません。

エビスの「超長期熟成2009」というビールがアルコール度数 6 でしたが、それより強く、飲んだ気がするビールなのでしょう。

いろいろな名前で、ビールをたまに買う人には見分けの付かない、飲んで吐き出すわけにもいかない、困った飲み物がたくさん出ています。
税率の低いものは歓迎、しかし味も一緒に低くなって、それが売り場で区別しにくいのはいただけません。
ビールとその他の飲み物とは、缶の形を変えるのがだめなら、ラベルの印刷にひと目でわかる帯の目じるしでも入れるようにして欲しいと思っています。

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いちばん上を眺めてみると:4:泡盛

2014年01月09日 | つぶやきの壺焼

ウイスキーの次に頭に浮かぶのは泡盛です。
いまいちばん高そうな泡盛は、沖縄本島のX頭先端、美ら海水族館のある本部町の山川酒造が造る
【かねやま 40年古酒】 41度 720ml 税込 30万円
「ほのかでさわやかな香りと、やわらかな味わいが楽しめる日常酒にピッタリの泡盛」という宣伝文句が書かれていますが、値段だけは日常酒にピッタリとは言えません。

洗米の段階から八重岳の湧き水をたっぷり使って、静かに寝かせておき、香りと味を調えたのでしょう。
たしかに、よい泡盛の香りと味は、台湾で飲んだ本もののウーロン茶と、違うものでありながら共通の、毅さと静けさをもっている、そんな感じがします。

味覚は不思議なものです。
習い事などは、何度も何度も繰り返し覚え込むものですが、味覚は、繰り返せば繰り返すほど記憶が薄れるように思うのです。
ただ一度の味は、いつまでも忘れません。味だけでなく場所さえも記憶に残ります。
そういう機会には、これまでに 20年に一度ぐらいしか巡り会ってきませんでした。
もう一度、あるかないか。
「今ひとたびの」という、五所平之助監督、高峰三枝子主演の映画があったのを思い出しました。

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いちばん上を眺めてみると:3:ウイスキー

2014年01月08日 | つぶやきの壺焼

いまいちばん高そうなスコッチウイスキーは、1850年に造られたボウモアのシングルモルト、オークションで日本円換算690万円の値がついたものだそうです。
 ⇒ http://p.tl/1wUS

1850年、イギリスとフランスの国際的な発言力が強まり始めた時代です。
3年後には、アメリカからペリーが、浦賀にやってきています。メキシコからアリゾナ、コロラド、ニューメキシコ、ワイオミングの広大な土地、メキシコ領の3分の1をぶん取った米墨戦争で功績のあった、アメリカ艦隊の司令官です。


洋酒というものは、飲まれずに残ると値打ちの出てくる不思議な飲み物です。

外部と絶縁されたあの液体は、160年も経ったいま、どういうものになっているのでしょうか。飲んでみなければわからず、飲めばなくなってしまうから飲まずに持っている、そうなったときには、もう酒ではなくなっているのでしょう。

熟成といっても、それが永遠に続くはずはありません。
素直に想像をめぐらせば、12年か、15年か、最高の味に達した後、きっと衰えていくでしょう。

いつだったか、帰りの機内でCAの営業に協力したバランタイン17年、値ごろ味ごろの、あれは美味かった。
ウイスキーも、いったん上空に昇ると、味も上がるのでしょうか。

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いちばん上を眺めてみると:2:日本酒

2014年01月07日 | つぶやきの壺焼

いまいちばん高そうな日本酒は、山形の地酒「十四代」の最高峰といわれる、
「十四代 龍泉」  720 m l  126,000円 のようです。

【酒造好適米「龍の落とし子」を高精白し、限界低温発酵後、雫取り、斗瓶囲いしたものを氷温貯蔵し熟成させた純米大吟醸酒】と紹介されています。

酒の紹介が米のことから始まるのは、米と銘柄が緊密にリンクしているからでしょう。
そこには、ブラックタイガーを車えびと呼ぶようないい加減さはありません。

美味い酒は、造り方に合ったよい米から生まれます。
農産物規格規程という決めごとがあって、そこでは酒を造るための米を一般用のうるち、もち米と分けられています。
しかし、一般用の米で酒を造ってはならないというバカげたしばりは、さすがにありません。杜氏の腕次第で、一般用の米からも美味い酒は出来ます。

米の紹介に書かれている「酒造好適米」は、醸造適性が規格とよく合っている米なのですが、ここでまた醸造適性の低い米はどうなのかという疑問が出てきます。
これもまた杜氏の技量でよい酒は出来るのです。
「酒造好適米」ではないけれども一般の米とは違う、区別したからには、それにも呼び方がなければ困ります。名づけて「酒造適正米」、好適ではないけれども適正であるというわけです。

♪ お酒もいろいろ お米もいろいろ・・・

ああ、美味い酒を呑みたい。いいや、美味い酒が呑みたい。

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いちばん上を眺めてみると:1

2014年01月06日 | つぶやきの壺焼

いまいちばん高いクルマはと探ってみたら、2億円にもう少しというところでした。
 ⇒ http://p.tl/hZFg
ブガッティヴェイロン____1億7900万円
ラ・フェラーリ_______1億6000万円
マクラーレン P1_______ 9661.5万円
メルセデスベンツ S63 AMG_____ 2340万円
ポルシェパナメーラターボ_____ 2481万円

最高値のブガッティヴェイロンは、イタリア生まれのエットーレ・ブガッティがアルザスに設立したブガッティの商標権・販売権を、フォルクスワーゲンが獲得し、フランスに本社を置いて創業したブガッティオートモービルが生産しているという、国籍のややこしいクルマです。
混血は英才を生むといわれますから、すごいクルマなのでしょう。

世界最速の 407km/h、シリンダーを扇状に配置したW型16気筒、4個のターボチャージャーを使った8リッターエンジンが、発進から 100km/h まで 2 . 5 秒という加速性を生んでいます。
トップスピードモードでは、地上高が通常の半分 60mm にまで下がる仕掛け、何か踏みつけでもすれば、おそらくアウトでしょう。二人乗りですから、そのときはそのカップルだけでことが済みますが。

高速で、体を前に持っていかれるような感覚までは味わっても、加速のときに背もたれに貼り付けられるような気分は未体験です。
クルマはやはり早く走るもの、それなのに、なぜ止まる車を作りたがるのでしょうか。

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人間はなぜいつまでもバカなのか

2014年01月05日 | つぶやきの壺焼

1月5日、1964年のこの日に、ローマ教皇パウロ六世とコンスタンディヌーポリ全地総主教アシナゴラス一世が会談し、東西教会が分裂以来千年ぶりに和解したと伝えられています。
千年もいがみ合いが続けば、みな和解などありえないと思い込むでしょう。しかし、「ない」こともあるのでした。

今の世界は、乱調主義社会の人々が、知的未開社会をかきまわしている、スクランブル状態にあるようです。

知の喪失は、人々がそれを疎んじるようになることから起こります。知識人がバカにすり寄ってバカにされるようになり、それを自ら愉しむようになれば、知は溶けて流れていきます。
自業自得ではなく、共業共失の状態です。
それこそが力の顕れであると言われている「継続」にしても、その状態を保っているものは、低俗性をどこかに温存保菌しています。継続には低俗の安楽さが必要だからです。

どうでもよいことの勝った負けた、なぜかそこには熱中が見られます。
そして負けた後は、行き逢うはずのないチャラのきっかけ探しをずっと続けるのです。
新興国や開発途上国と呼ばれる国の人たちは、繰り返し負けるように仕組まれた社会で、すぐにチャラのきっかけ探しに走り、競争に駆り立てられます。

先進国を自認する国は、負けを嫌い、とかく勝ちたがります。負けのない闘いを続けるために、手ごろな新興国や開発途上国を競争相手に選んでいれば、力はマイナス側にしか働きませんから、世界はズルズルと後退していきます。
人間はなぜいつまでもバカなのか、それは負けてはならないという一心で、競争相手の選び方を間違えることが多いからでしょう。

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駅伝を見て過ごした2日間

2014年01月04日 | つぶやきの壺焼

昨日、一昨日は、とうとう朝から昼過ぎまで箱根駅伝に気を奪われて休稿。
ひとりひとりが「1秒を削り出せ」と競った東洋大が2014年の勝者となりました。
1、3、5位と奇数位を勝ち取ったチームが喜び、2、4位と偶数位がしょぼんとしていたのが目立ちました。
これが二桁になったところで喜びと悔しさが入れ替わり、10位が万歳、11位はがっくり。

繰上げスタートの冷たさだけが、嫌な印象を残してしまいました。
目の前まで来ているのに、たすきを渡すことが許されず、先に出て行ってしまう、あの悔しさは、あとでバネにもなりません。
たとえ1分遅れでたすきを継がせても、困ることは何もありません。
杓子定規を絵に描いたような、あの振る舞いは、非情さを愉しんでいるようにさえ見えました。
中継点から見通せるところに、前の走者が見えたらそのままたすきを渡させるというルールを決めておけばよいのです。

1.たすきルールの冷酷
2.中継点のガードレールの危険
3.監督の叱咤声のスピーカー騒音

折角の新春の名行事です。楽しい戦いになるよう、次回の改善を望んでいます。

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新年は15年先の15年前

2014年01月01日 | つぶやきの壺焼

みなさん あけましておめでとうございます

散歩の途中で考えておいた、初日の出を風変わりな背景で拝む場所があり、そこに行ってきました。
二つの大きなマンションのある丘が近くにあります。その建物と建物の間の狭い谷間に昇ってくる初日の出が見られたらよいなと考えていたのです。
谷間の風景はそのときどう変わるだろうか、両側の壁面は輝いて見えるだろうか、黒い四角な大きな塊の間に、濃橙色の光の帯が縦長にできて、その間にまん丸の赤い球が見える、球の上空にはポカポカと、壁面と同じ色に縁取りされた雲が見えてくれればなおよい、などと気ままな想像をめぐらせていました。

マンションの裏山はキャベツ畑、いちばん高いところを狙って、歩いて入れるところまで行き、畑道の終点で日の出を待ちます。
風のごく弱いのが幸いですが、じっと立っていると、毛糸ものを着込んできた体にも、じわじわと寒気がしみてきます。
足踏み、駆け足足踏み、また足踏み、駆け足足踏みと交互に繰り返し、時間を間違えているはずはない、今年は日の出が遅いのか、などと過ごすうちに、高い千切れ雲の一つが赤く染まりました。

日が昇って来そうな方角は、マンションの谷間の方向とは60度ぐらいの開きがありました。
見事な方向音痴、これは主要道路が曲がりくねっていても傾いていても、南北か東西かを向いているものと、どこかで思い込んでるところに原因がありそうです。
方向音痴は、南北と東西の区別もつかない、もっと重症になると、全く逆の方向が自分の意図する方向だと思ってしまう人のことですが、60度ぐらいなら、方向錯覚ぐらいのところでしょうか。
初日は思っても見なかった方角に顕れました。

房総の山の端から昇る、雲に邪魔されない初日を見たのは初めてです。
2014年、今年は、危ないおかしいと言って歩く心配商の人がいても、何も考えずに右往左往する人々にとっては、はっきりした方向が示される、多少スカッとした年になりそうです。

日本の大きな意識変化は、およそ15年ごとに起きてきたと言う人がいました。
昭和5~6年、昭和20~21年、昭和35~36年、昭和55~56年、そのあとのずるずる状態が、いま変わろうとしています。
時代には必ず終わりがある。これは名言です。
15年先の15年前である今年は、歴史認識などと、耳障りのよいことがもてはやされるだけでなく、あるいは歴史を他国への言いがかりの材料にし続けるのでなく、時代の終わりの、後の時代のあり方に目を見開かなければなりません。
そのときには、錯覚のない方向の見定めが必要です。
方向音痴症に罹っている論外漢は、空を飛んでまであちこちに戯言を撒き散らさないよう、おとなしくしていてもらいたいもの、これが新春の願いごとです。

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