安心のできない安全点検があります。
安全証明のための安全点検がそれです。
おまかせで作らせてしまったものが、安全ではなさそうと言われたとき、出来上がったものが安全であるという証明がほしくなります。
安全を証明するには安全点検が必要になりますが、いちばんの危険が、安全点検の方法に潜んでいます。
安全点検にはチェックリストが用いられますが、困ったことにこのチェックリストに頼ることがいちばん危険なのです。
チェックリストには、通常これを見ておけば安全であるという項目が羅列されます。
目で見てわからない危険は、チェックリストには載りません。
チェックリストの効用は、それを残しておけば、これだけ手を尽くしたという証明ができるということです。
危険のないことを、よく確かめたかどうかとは、あまりかかわりのないものです。
チェックリストは、もちろん危険物ではありません。
点検対象の実際の状況に、危険が潜んでいないかどうかを考えることもなく、項目との照合だけで終わってしまっても、点検を実施した当事者以外にはわからない、それがいちばん危ないということなのです。