財部剣人の館「マーメイド クロニクルズ 第三部」配信中!「第一部 神々がダイスを振る刻」幻冬舎より出版中「第二部 完結」

(旧:アヴァンの物語の館)ギリシア神話的世界観で人魚ナオミとヴァンパイアのマクミラが魔性たちと戦うファンタジー的SF小説

マーメイド クロニクルズ 第二部 第9章−7 魔女たちの正体(再編集版)

2017-02-19 00:00:02 | 私が作家・芸術家・芸人
「ダブル・ヴェール」(“Double veil”)が流れ出して、マーメイド役の夏海にとりついたドルガが、中央に現れた。金色のフォルスターネックとスパンコールブラとマーメイドスカートが、本物の人魚のような雰囲気を醸し出している。ドルガは、扇子の先に薄手の布がついたファンベールを右手に持っており、ひらひらと炎のような動きをさせる。
 その美しさに気を取られた次の瞬間、観客は驚愕した。ドルガが、ターンを繰り返すと悪魔姫の本性を現したからだ。彼女は、巨大な翼竜の羽を持っており、羽ばたきのたびに小さい竜巻が起こる。
 今度は、氷天使メギリヌも本性を現して、美しい16枚の黒い羽を広げる。外面の気高さと内面のサディストは、大魔王サタンになってしまったかつての天使長ルシファーの両面を表していた。
 次に、蛇姫ライムが、本性を現して母エウリュアレ譲りの青銅の腕と黄金の翼を左右に広げる。怒りに身をまかせた、青銅の顔にイノシシの牙と髪のすべてが蛇になって口から長い舌が垂れ下がった醜い姿には変身しない。その姿には、仲間でさえ血も凍る恐怖によって石になってしまうが、まだ美しかった頃の叔母メデゥーサにうり二つの姿を見せている。
 最後に、唄姫リギスが本性を現して、優雅にコウモリのような羽を動かす。
 観客は、恐怖を感じ震え上がっているが、まだ演出だと思って席についている。
「待つがよい。魔女たちよ、思いっきりやりあえる闘いの場を用意してやろう」アストロラーベが、声をあげた。「いざ、時空変容ミラージュの儀式を始めん。この日、この時、この場に集りしすべてのものよ。もしも我らと前世よりのなんらかの縁あるならば、共に精神世界へ赴きアポロノミカンに予言された闘いに加わらんことを願う。もしも汝らになんの縁もなかりせば、この場にとどまりすべてを忘れるがよい」
 アストロラーベが、左右の手のひらを下に向ける。「吹き出す蒼き炎よ、この場のすべてを覆い尽くすがよい! 吹き出す蒼き炎よ、選ばれしものにふさわしい闘いの時と場所を与えんことを祈らん! 吹き出す蒼き炎よ、このふさわしきものどもに名誉と祝福を与えん!」手の平から吹き出す蒼い炎は、自らの意志を持つように会場を覆っていた。だが、その見た目の激しさとは裏腹に、まったく熱さを感じさせなかった。
 バルコニー席から見ていたナオミは、最初、舞台が動き出したのかと思った。
 しかし、動いていたのは舞台ではなく観客席の方だった。回転するスピードはどんどん早まっていった。
 アストロラーベのセリフは、まだ続いている。

   大いなる時よ、しばしその歩みを止めよ
   大いなる時よ、しばしの眠りに就き
   大いなる時よ、我らの行いを静かにながめるがよい
   大いなる場よ、しばしその動きを止めよ
   大いなる場よ、しばしの眠りに就き
   大いなる場よ、我らに精神世界の闘いを許すがよい
   ドルガ、メギリヌ、ライム、リギス、アルトロラーベ、スカルラーベ、マクミラ、ミスティラ、そしてすべてのこの場に居合わせし神界に所縁あるものたちよ
   いざ、我とともに精神世界へゆかん!


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