財部剣人の館「マーメイド クロニクルズ 第三部」配信中!「第一部 神々がダイスを振る刻」幻冬舎より出版中「第二部 完結」

(旧:アヴァンの物語の館)ギリシア神話的世界観で人魚ナオミとヴァンパイアのマクミラが魔性たちと戦うファンタジー的SF小説

マーメイド クロニクルズ 第二部 第8章−8 格差社会−−上位1%とその他99%(再編集版)

2017-02-10 00:00:15 | 私が作家・芸術家・芸人
 ある日、アストロラーベがマクミラに尋ねた。「富とは何だ?」
「冥界では、お金を使うことはなかったものね。富を持つとは、たくさんのお金やお金に換えられるものを持っていること。人間界では、お金さえあればなんでも手にはいるし、なんでも人に言うことをきかせられる」
「お金があるとは、魔法が使えるのと同じようなものか?」
「たしかにお金は、人間にとっては魔力があるようね」
「そうだな。人間も、心の底ではその魔力をおそれているのではないか?」
「そうかも知れないし、そうでないかも知れない。皮肉ね。冥主の本当の名を口に出すことは、何人たりともはばかられる。それゆえ人間共が苦し紛れに、お追従で呼ぶようになったのが『富めるもの』というのは」
「プルートゥ様とお呼びするのだ」アストロラーベが、いらついて続ける。「プルートゥ様が宝物殿に人間たちの執着をたくわえるように(第一部第2章、参照)、人間たちも富をたくわえるのか?」
「少数はね。たとえば、わたしたちがいるアメリカでは上位1パーセントの富裕層が国の総所得の17パーセントを占めている。さらに上位0.1パーセントの超富裕層が全体の7パーセントを占めている。レーガン大統領登場前には、上位1パーセントが占めていた総所得は8パーセント、上位0.1パーセントの総所得はわずか3パーセントだったから短期間で、格差社会が急速に進んだことになる。もっと興味深いのは、1970年代には、この国の代表的大企業102社の経営トップの年俸はそうした企業で働く労働者の平均給与の40倍だった。でも、今や300倍以上になっている。冥主の富は、あさましい人間共の富を宝物殿におさめることで暗黒面とのパワーのつながりをふせぐため。でも人間共の富は、ためこむことで力を得て、他人を支配し、自然を破壊し、おろかにもより深く暗黒面に近づくため」



「我には、わからぬ。冥界では、プルートゥ様の富はきらめく金銀財宝の形であった。人間界では、富はどのような姿を取るのか?」
「数字だわ」
「はあ?」
「正確に言うと、人間がため込んだ富はお金の残高で表されるの」
「そんなものが何の役に立つのだ?」
「何の役にも立たないわ。東洋には、『座って半畳、寝て一畳』ということわざがあるわ。生活に必要以上のお金を持とうとするのは、まるで差をつけること自体が目的のゲームに参加しているようなもの。誰かが自分以上に持っていれば、その人間を追い抜くために血道を上げる。人類最高の富を得たとしても、今度は昨日までの自分以上に得ようとする。お金を持てば持つほど、持った者は財力の虜になる」
「では人間界における最大の力が財力なのか?」
「権力かしら。中途半端な財力など、巨大権力の前ではたかが知れているから」
「権力とは何だ?」
「政治によって生み出される支配力、とでも言えばいいかしら」
「政治とは何だ?」


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