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(旧:アヴァンの物語の館)ギリシア神話的世界観で人魚ナオミとヴァンパイアのマクミラが魔性たちと戦うファンタジー的SF小説

第一部 第2章−3 アポロン最後の神託

2019-07-12 00:00:00 | 私が作家・芸術家・芸人

 アポロニアの息子たちは招集令状を受け取った時、ただならぬ運命を予感して、祖父アポロンとの別れを思い出した。予言の神でもあったアポロンは、最後の場面において彼らが人間界に送り込まれる運命についてもすでに語っていた。
 自由奔放な性格と輝く美貌で男女を問わず神々の憧れと嫉妬の対象となってきたアポロン。禍々しい暗黒のオーラにつつまれた星団が太陽系に近づいた時、神界でも対応を巡って議論が絶えなかった。このままでは太陽は暗黒星団に飲み込まれてしまうであろうとはっきりした時、彼はあっさり我が身を犠牲にして太陽の力を増大して、暗黒のオーラをはじき飛ばすことを選択した。
 ユピテルが光の化身であれば、アポロンの灼熱の化身であった。三最高神を除けば、神界でも最高の権威と実力を兼ね備えていた彼は常に黄金色に輝くマントをまとっていた。
(シリウス、アンタレス、ペルセリアス、コーネリアスよ。我は太陽系を守るため太陽と合体する。さもなくば、この空間に居住する生物すべての精神は魔界とつながってしまう。だが、もし我が身を犠牲にするなら太陽惑星の生物はさらに六十億の時を永らえよう)
(アポロン様、暗黒星団と一戦交えてみてはいかがでしょう? 我らは天界の三軍の長。光と雷と天使の軍団を率いて戦えば、勝利は必ずや我らの手に)シリウスが思念を伝えた。「輝けるもの」は思念も比類なき輝きを放っていた。
(暗黒星団を指揮する者たちは、かつてユピテル様が遥か昔に打ち滅ばしたものどもの子孫。恐れるには足りませぬ)アンタレスも抗戦論に傾いている。
(私も同意見です。こうしたときのために天使軍団は厳しい訓練を行ってきたのでありませんか)ペルセリアスも続いた。
(コーネリアスよ、お主はいかに考える?)
(己自身を知れですな)
 一体、何のつもりかとアポロン以外の三人が怪訝そうな表情を浮かべる。
(その通り。「己自身を知れ」、デルフォイのアポロン神殿に刻まれた言葉を思い出すがよい。果たして己自身を知るほど難しいことがあろうか。お主たちは功成り名遂ぐ我が自慢の孫たちじゃ。だが立場やメンツにとらわれてはおらぬか。それぞれが百万の部下を従えているうちに自らを過信するようになってはおらぬか。冷静に考えれば一人の神が犠牲になることで皆を救えるのなら、多くの犠牲者を出してまで戦うよりもよいのは明らか)
 三人は、自らを恥じる気持ちでいっぱいになった。
 それでもシリウスが思念を伝えた。(思慮が足りませんでした。ただ、将来の最高神の座が約束されたアポロン様が犠牲になると思うと・・・・・・)
(お主たちが、功名心から徹底抗戦を唱えたのでないのはわかっておる。我はよろこんで太陽惑星と合体するのじゃ。我はあまりにも永き時を神として過ごしすぎた。この倦怠から逃れてガイアのようにひとつの惑星になれると思えば、初めて神と呼ばれる存在になった時以来の興奮を感じる)
(まだまだ、わたしたちは考えが足りませんでした)アンタレスが伝えた。
(よい、よい。それこそ若さというものじゃ。だが、今回の暗黒星団の危機を乗り越えたとしても四人がいつか力を合わせて戦わねばならぬ日が必ず来る。それも遠からずに・・・・・・)

     

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