夢のあと

釣りには夢があります。夢を釣っていると言っても過言ではありません。よって、ここに掲載する総ては僕の夢のあとです。

アカムシ・タイリクバラタナゴ Part.9  自然に逆らわない

2015年10月27日 16時35分55秒 | 社会
僕の場合、ただ“釣りが上手くなりたい”というたった一つの衝動で釣りを続けて来ました。決して沢山釣りたいとか大きいのを釣りたいとか、そういう釣りではなく、ただ単に上手くなりたいだけです。でも、その表れが数だったり型だったりしますので鬱陶しく感じる事もあります。

 今回チャレンジしているアカムシでタイリクバラタナゴを釣る、つまりアカムシ・タイリクバラタナゴ釣りはタイリクバラタナゴたちの小さな口を思いっきり広げさせて、その口に思いっきりアカムシを突っ込んで鈎まで口に入れるという釣りです。この釣りに初めて出会ったのは2007年3月のことでした。霞ヶ浦の○○ドッグでタイリクバラタナゴを釣っていた寒い日。軽装の人が来て挨拶をしてくれました。『寒いのに頑張りますね。ここでやっていいいですか?』って。3月といえば一年のうちでもとても寒い時期ですから釣り人も少なく、この日も一人でポツンと釣っていたところです。断る理由はありません。僕もボチボチ釣れてましたがその人も同じくらいに釣っていました。で、しばらく竿を並べて釣っていたのでその人の釣りが否応なしに目に入ってきます。僕の目にその釣りはとても奇妙に映りました。そしてそのようなタナゴ釣りを初めて見ました。とにかく竿を止めていることがないのです。誘って誘って誘いまくって釣るのです。それまでの僕はタナゴ釣りというと葦に囲まれた止水でじっとウキを見つめている・・・そんなイメージでした。しかしその人の釣りはそのイメージを完全に壊してくれました。面白い釣り方だったので見ていると、明らかに僕よりも型の良い魚を釣っています。しかも外道が僕よりもずっと少ない、つまりは効率的な釣りをしていました。この時点で“この人は尋常ではないナ”と感じました。“釣りが上手くなりたい”ただそれだけで釣りをしている僕ですから、こういう人を見るとその場で別れてしまうのはもったいなくて・・・。早速竿を置いてその人のところに行って色々とお話しを聞かせていただきました。その人はその誘いの釣りについてとても詳しく話してくれました。誘いを掛ける関係上、餌はアカムシ。誘いは外道を避け、尚且つタナゴ族に興味を引くようにする・・・等々。そしてそれを聞いた僕は、その釣りが理想的だという結論に達しました。その釣りに感動した僕は、初対面なのに根掘り葉掘り質問をぶつけました。こんなチャンスは二度とないと思えたのです。そうしたら『こんどちゃんと教えてあげるから○○日の○○時にここに来て下さい。』と誘われてしまいました。私的にぶっ飛んじゃいました。嬉しくて嬉しくて。そしてその日、1時間も前から指定場所で待ち、1時間遅れで現われた彼。着くなりいきなり竿を出して・・・早速一匹掛けて魅せてくれました。マタナゴでした。『見てないでやってごらん?』って言うので、僕もアカムシで思いっきり誘って・誘って。なかなか魚信が出ませんが、その人は次々に魚を掛けてます。本湖でしたのでオオタナゴが主体でしたが、マタナゴを多く釣っていました。そしてやっと僕にもマタナゴが来たのですが、残念ながら♀でした。一匹釣れると要領が判るので、その後は20匹くらい釣ることが出来ました。でも、なぜか全部♀。ところがその人は8割がたが♂。この違いについて聞いてみると“誘いの違い”だそうです。同じようにやっているつもりなのですが、その人から見るとかなり違うらしいのです。あまり♀ばかり釣っている僕に見かねた彼が来て『ちょっと竿を貸して』って。僕の竿でクイッ・クイッ・クイって誘ったらウキが消し込まれて・・・すかさず合わせた仕掛けの先に、確かにマタナゴの♂が!『ハッハッハッハ』と笑いながら自分の釣り座に戻る彼・・・これには参りました。こうして僕のアカムシ・タナゴがスタートしたのです。その後もこの人とお付き合いをさせていただき、その人の釣りの上手さは雲の上でしたので、勝手にお師匠さんと呼ばせていただいています。
 あれから4年間、このアカムシ・タナゴをやってきた僕でしたが、どうしても上手く行かないことがありました。それがこのアカムシ・タイリクバラタナゴです。お師匠さんは『3㎝くらいあればアカムシで釣れる』と言いながらも、僕の前で2㎝くらいのをバシバシ掛けてたこともあります。僕はどうしてもこのタイリクバラタナゴだけはアカムシで掛けられず、偶然に釣れる感じで釣れるだけでした。目の前で展開されるアカムシ・タイリクバラタナゴ釣りに、どうしてもそれが上手くできない自分に腹を立ててました。そして、この釣りをモノにしようと何度もチャレンジしたのですが、結局出来ず終い。完全に諦めていました。その後、釣り場を新潟に移した僕は、携帯に便利な黄身練りでの釣りになり、アカムシとはご無沙汰になっていました。しかし、タイリクバラタナゴを楽しく釣る必要性が出てきたので、敢えてアカムシでタイリクバラタナゴを釣ろうと考えました。タイリクバラタナゴ釣りにはタマムシやグルテンを餌にするのが定番ですが、あの頃のお師匠さんの釣りを思い出しながらあの釣りにチャレンジしてみたくなったのです。『グルテンを使えばバカでも釣れる。技術なんて何にも要らない。』このことはタナゴ釣り始めての4歳と6歳の子供の釣果からはじき出された結論です。両人とも僕の道具を貸したらほぼ僕と同じだけ釣ったのですから。グルテンは釣れはしますがこれでは面白くありません。『仕掛けを入れる、魚が掛かる、鈎を外して魚篭に入れる、そしてまた餌(グルテン)を付けて仕掛けを入れる。』の繰り返しで魚篭の中はタナゴだらけになってしまいます。何も考える事がありません。ただ、バカの一つ覚えのように単調な作業を続けるだけです。こんな釣りでは何十匹か釣れば飽きてしまいます。ところがアカムシ・タイリクバラタナゴはそうは行きません。じっとさせておけば外道のばかり釣れて来ます。誘い過ぎればアカムシがタイリクバラタナゴの口から出てしまうので掛かりません。要は絶妙な誘いが要求される釣りです。でも、このことが不可能でない事はお師匠さんが目の前で実証してくれていますので理解しています。ところがそれがどんな誘いだったのか?は記憶の片隅に僅かに残っているだけですので、ここを開発する必要がありました。そしてチャレンジを続けて来たのですが、先日、普通なら釣りを休むような強風の日に無理して出掛けた僕に、風がその誘いを教えてくれました。そうです、風にヒントが隠れていたのです。そのヒントを元にその動きを竿で再現すると、なんと良型が連発。これが前回です。しかし、それは偶然かもしれません。そこで、今回再びその誘い及びその誘いの拡張型の誘いを使って攻めてみました。そうしたらまたまた型モノが揃って・・・63匹でした。

 もしかしたら、これが僕が諦めていたお師匠さんの釣りなのかもしれません。はたまたまったく別物かもしれません。でも僕にはどちらでもいいです。要は僕が望んでいたような釣果を出せたという喜びに変わりはありませんから。

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