夢のあと

釣りには夢があります。夢を釣っていると言っても過言ではありません。よって、ここに掲載する総ては僕の夢のあとです。

ハリガネムシ

2014年08月10日 19時41分35秒 | 渓流釣り
ちょっとグロですがハリガネムシ・・・。
基本的には水棲生物ですが、その生活において一時は陸生昆虫に寄生して陸上で生活する虫(?)です。ハリガネムシは9月から10月が産卵期です。よってその前の夏~秋にかけて寄生していた宿主(カマキリやバッタ)から水中に帰らなければなりません。そこで彼らは宿主(カマキリやバッタ)の脳をコントロールして水辺に行かせて水にダイブさせ、水に入ったら腹を突き破って水中に出、再び自由に泳ぎ出し再び産卵するという恐ろしい生き物です。本当に脳を支配しているかどうか?は現在解ってはないようですが、ハリガネムシが寄生したカマキリの脳からある種のタンパク質が見つかっており、それが脳になにかしらの影響を与え、水辺に向かわせているらしいのです。そして宿主を水に入れ、ハリガネムシは体内から無事脱出をするわけです。カマキリやバッタが好んで水にダイブすることはないでしょうから、理屈はさておいても宿主が自身の行動をコントロールされているのは確かだと思います。何も考えずにただまったりと動いているだけに見える生物ですが、こんな恐ろしい(他の生命体の脳を支配して自殺させる)ことが出来るなんて恐過ぎます。

 以上のように恐ろしい寄生虫ではあるわけですが、この世に無駄な生物は一つもいないと言われるように、この恐ろしきハリガネムシにも良いところもあるようです。京大の研究ではハリガネムシが河川の生態系に大変貢献しているというのです。それは『ハリガネムシ(類線形虫類)という寄生虫(写真参照)が、宿主であるカマドウマ・キリギリス類(陸生昆虫類)の行動を操作して河川に飛び込ませることで、渓流魚に大きな餌資源(河川に飛び込んだ宿主)をもたらすという現象を発見し、そのような宿主が、渓流魚の年間摂餌量の6割をも占めることを明らかにした。』というのです。加えて『このような寄生者を介した渓流魚への陸生昆虫の供給が、渓流魚による水生昆虫類の摂餌量を低下させ、その影響が藻類やさらには河川の生態系機能(有機物の破砕速度)にまで波及することを大規模な野外実験によって実証した。』とのこと。もしかしたら案外いい奴なのかもしれません。

画像は2014年8月7日に釣った尺ヤマメの肛門から出ていたハリガネムシです。