夢のあと

釣りには夢があります。夢を釣っていると言っても過言ではありません。よって、ここに掲載する総ては僕の夢のあとです。

スズメバチの巣

2008年03月26日 09時20分49秒 | 火事
あまり願掛けなどしない僕ですが、スズメバチの巣は幸運のお守りと聞いたことがあるのでずっと一緒でした。
 思い起こせば、このスズメバチの巣は、僕が小学校4年生のとき、ここに引っ越してきて見つけたものです。当時はこの近辺も森だらけで、夜になると歩くのが恐いくらいでした。当然、その頃はクワガタやカブト虫を追って、森の中を歩き回ったものです。そんな中、偶然にこの蜂の巣を見つけました。
 普通、僕らがの蜂の巣というと、それはアシナガバチの巣でした。ところがこれはスズメバチの巣です。こういう蜂の巣を見たのは初めてだったので、取りたくて仕方がなくて・・・。でも。大きな蜂が巣の周りをブンブンやっているものですから怖くて・・・。でも諦められずに(色々と調べた挙句)、とうとう『蜂は煙に弱いから、煙を当てると逃げていく』と書かれた本を見つけたのでした。
 そして、家からマッチを持ち出し、風向きを考えて少しだけ枯葉を燃やしてみました。そして、良さそうな場所を決定して、沢山の枯葉を集め(森の中でしたので簡単に集められました)その周りの燃え移りやすいものをすべて排除して(こちらは大変でした)、マッチを擦りました。この時の心臓の高鳴りは今でも覚えています。そして枯葉が燃え出すと、最初は慌てて巣の周りを飛び回っていた蜂がだんだんと少なくなって、しばらくすると一匹の蜂も見当たらなくなりました。本に書いてあったことは本当でした。そこで、家から持参した柿を取る為の先が割れた竹の棒を取り出し、スズメバチの巣が付いている枝を挟もうとしました。しかし、興奮で手が震えて首尾よく事が運ばなくてもどかしく思ったのを覚えています。そして何度もチャレンジして、やっと枝を噛んだと思った時、一気に巣の中から沢山の蜂が出て来たのです。そして次の瞬間、その一匹が僕の竹の棒を一気に伝って降りて来て、僕の顔にくっ付きました。一瞬の出来事でした。その瞬間、強烈な痛みが走った。しかし、持つ手を離す気にはなりませんでした。蜂を顔に付けたまま、僕は一気に竹棒を回して巣が付いている枝を割ったのです。そして、その蜂を左手で叩き殺して、蜂の巣を竹棒の先にぶら下げたままその場をから逃げ出しました。自宅まで約100m、森の中なので、立ち木に蜂の巣が当ってしまったら台無しです。傷む顔と、次々と巣から出て来る蜂に恐怖を抱きながら立ち木に当らぬよう、できるだけ森を早く抜けました。そして我が家に着いて、蜂の巣は竹棒につけたまま垣根に立てかけ、誰に向かってでもなく『蜂に刺されたぁ~~ッ!』と叫びました。すぐにオフクロが出てきて、僕の顔に吸い付いた。もし、誰かが見たら、親子で何してるんだ?と、変態親子に見えたに違いない。アシナガバチならこれである程度腫れを少なくすることができるのですが、相手はスズメバチ、これくらいで腫れが抑えられるハズがありません。みるみる腫れあがって左目はすっかり閉じてしまって手でマブタを上げないと見えなくなってしまいました。そして、医者に行きました。医者に『刺されたところがあと1㎝ずれていたら失明した所でしたよ!』と言われながら注射を打たれたのですが、腫れは引かず、歩くだけでも顔が痛くてじっとしていました。2日後くらいに蜂の巣があった場所を見に行ってみました。子供ながらに『家を奪って申し訳ない』という気持ちがあったのです。しかし、そこに蜂たちはおらず、唯一、僕を刺した蜂の死骸がころがっていただけでした。結局、腫れは約一週間続き、その間、目は開きませんでした。目が開いて見えるようになって、捕った巣を見に行きました。垣根に立て掛けられたままの巣から、時々蜂が出入りしていました。蜂の出入り間を突いてビニール袋を掛けて挟んだ竹を切り、場所を自宅内の僕の部屋に移しました。その後も蜂が出て来てビニール袋内でブンブンやっていましたが、逃がすわけにも行かないので、そのままにして全員が死ぬのを待ちました。まだ、巣内には子供や卵もあると考えて、翌年までそのままにしておきました。そして、2年の月日が経って、蜂が出なくなったのでガラスケースに入れました。
 こんな大変な思いをして捕ったスズメバチの巣でしたので、捨てることができず、しかも縁起物と聞いていたので捨てられず、ずっと僕を見守ってくれていたのですが、今回の事件からして、きっと効力も薄れたものと考え、処分しようと思っています。実際、長期の保存で、下のほうが壊れてきてしまっていますし・・・。
 蜂の巣・・・今まで僕を守ってくれてありがとう。