せつなく朽ちた鉄扉

雑草地帯・日記部門。硬軟色々取り混ぜて、よろず話題の書き捨て場。
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お手並み拝見、としか今は言いようがない。

2008-05-09 23:37:34 | 宇宙、航空系
なんか成立するっぽいですね。

 ■<宇宙基本法案>衆院内閣委で可決 (Yahoo!ニュース:毎日新聞)
 ■第一六六回 衆第五〇号 宇宙基本法案 (衆議院:ちと古い)

軍事利用云々ばかりが注目されていますけど、それに関しては取り合えず自分としては放置。事実の後追いでしかないし。そりゃ平和利用に限定できればそれが一番なんだけど、そうも言っていられない御時世だし。
どちらかというと、非常にお荷物な情報収集衛星の予算を防衛省が受け持ってくれるなら、その方がありがたいという気もするし。

ともかく、この法案の肝は軍事利用じゃなくて第四章にある訳です。

> 第二十五条 宇宙開発に関する施策を総合的かつ計画的に推進するため、
> 内閣に、宇宙開発戦略本部(以下「本部」という。)を置く。

これが全てみたいなもんです。
掲載されている法案は今回民主党が加わった修正案かどうかは分からないので多少文面は違うかもしれませんが、旧通産省出身で妙にこの法案に御執心な民主党の藤末議員が本法案と同じような考えの持ち主なんで、恐らく肝は変わってないでしょう。


何が変わるか。
JAXAの独立性、ですかね。

今までは、実質的にはJAXAが決めたことを宇宙開発委員会で検討するって形でしたけど、今度は逆に政府与党がJAXAの運営の決定権を握ると言う形になります。
まぁJAXAはその独立性故にGXだの準天頂衛星だのと垂れ流し系プロジェクトを複数抱える団体となっていますんで、荒療治としてアリといえばアリです。


でもね……不安ですよ。


まずは1つは政治家の資質。
長期戦略型の開発である宇宙開発を、政治家に任せていいのだろうか、という不安は非常に強くあります。

だって、誰も選挙の時に宇宙開発なんて考えて投票しないでしょ?(笑) 内政とか外交とか、直近の国家運営に対して投票するんですから、そんな基準で選ばれた人、選ばれた与党が決める宇宙開発計画なんて不安極まりないです。


第2は政治の道具にされる可能性。

かつて国内の宇宙産業はスーパー301条発動回避の生贄としてアメリカに食い殺された訳ですが、同じような利用をされそうな気がします。
あの頃程あからさまじゃないでしょうけど、例えばアメリカが「共同で月基地を作ろう、だから金を出せ。」とISSのようなことを再び言われたら政府はどうするか……きっと尻尾振って参加するんでしょうね。そういう不安があります。


3つ目は、成果に乏しい研究が見捨てられる可能性。

JAXAは宇宙開発に関する応用から基礎研究まで何でもやる団体ですが、応用は産業だから良いにしても、基礎研究は明確に学問の世界です。まして科学探査なんて学問そのものです。
文部科学省から出るという事で、産業に繋がらない技術に関して、今より査定が厳しくなるんじゃないかという不安があります。


何にせよ、今後は組織の構造が宇宙開発の長期戦略を守る事も阻害する事も無くなるわけです。
良くも悪くも政府の判断がダイレクトに効いて来くようになるので、今まで以上に、政府の宇宙開発への理解、態度に注意を払う必要がありそうです。


#ISS新幹線な福田息子にはあんま期待できないような……。