せつなく朽ちた鉄扉

雑草地帯・日記部門。硬軟色々取り混ぜて、よろず話題の書き捨て場。
なおAdsenseはgooが勝手に出してるだけ。

欧米でAKBがウケないから、ガンダムもウケない。

2012-06-10 22:57:29 | 雑談雑感
久しぶりに長文。なんか納得行かなかったので。
日本が世界をこんな風に見ているうちは、絶対に海外で勝てないでしょう。

 ■なぜガンダムは海外で人気がないのか(4/4) (Business Media誠)
  ※4ページ記事の最後の4ページ目にリンクしています。
 ■米国でガンダムよりトランスフォーマーが売れるワケ (1/4) (Business Media誠)

記事へのリンクはトップが基本ですが、今回のみ例外的に途中にリンクを貼っています。
理由はちょっと冗長だから。まぁ人の事は言えませんけどね。
時間が許す方は8ページ分読んでみて下さい。

で、ガンダムが海外で売れない理由を、この記事の筆者はこうまとめています。

キリスト教圏、つまり西欧では“フランケンシュタイン・コンプレックス”(「ロボットが人間に反逆するのではないか」という機械嫌悪に基づく不安。SF作家のアイザック・アシモフが唱えた)がロボットキャラクターの普及をさまたげている
(「米国でガンダムよりトランスフォーマーが売れるワケ」冒頭より抜粋)


いやー、それは違うのでは。
それならトランスフォーマーなど「意思を持つロボット」の方が反逆しやすいわけでして。

単純に、海外(というか欧米ですね)の人たちにとって、「つまんない」からだと思いますよ。


まずもって、欧米では日本よりアニメの視聴者層が少し低い。そして、何より「ヒーロー志向」なんですよね。「かっこいい」「こうなりたい」と憧れるべきキャラ像が必要なんです。そしてそのためには、「何だか知らないけど凄い力を持ってる」というキャラ付けが一番手っ取り早い。
ここら辺を上手く突いたのが、パワーレンジャーだったり、セーラームーンだったり、ドラゴンボールだったり、ナルトだったりするわけです。

そして、戦争モノはアニメのメイン視聴層にはマッチしません。見せてもらえないんです。
故にハイティーンから大人向けとなりますが、この層は普通に映画やドラマを見る層なので、海外ドラマよろしく、大人のヒーロー像、リーダーやプロフェッショナルという感じの「理知的」で「行動的」で「精神的に強い」キャラを好むようです。攻殻機動隊とかはコッチですね。

ガンダムは、どっちにも入らないんですよ。

幼児向けとしては話が複雑ですし、何よりかっこいいヒーローが一人もいない。一応「モビルスーツに乗ってみたい」と思ってくれるかも知れませんが、レイティングの関係で継続して見てもらえるかというと、ちょっと辛い。
他方、大人から見たらあんなもん薄っぺらい茶番です。宇宙で二足ロボットで戦う無意味さをすぐに理解し、バカにします(最近のガンダムはミノフスキー粒子という大前提が無いからなぁ)。そもそも、戦場で敵と人生相談やら自分探しやらしているような話の何処にヒーローを探せばよいのか。

対して、トランスフォーマーは、子供向けとして上手くロボットをヒーロー化したと言えます。
組織化して、リーダーと各分野のスペシャリストという形にして、戦闘は悩む事無く単純にぶつかり合う。子供とか出てきても、それは視聴者層と作品を繋ぐ「トモダチ」的な要素でしかなく、あくまで非戦闘員。戦闘はプロの仕事であり見せ場だから絶対に出てこない。何よりレイティングの問題がない。

フランケンシュタイン・コンプレックスなんて言葉とは違う、具体的なローカライズがあるんです。


#他にも「日本アニメは展開が遅い」という問題があるんですが、そこは今回は割愛。


ここで話はガンダムからAKBにちょっと飛びます。
AKBについてこんな記事がありまして。

 ■AKB狂騒曲どこまで 未完成に萌える文化 将来は宝塚のように? (Sankei Biz)

欧米は大人と子供を峻別(しゅんべつ)し、アーティストに完成品を求める。その中間にいる少女たちの成長過程を見守るのがAKB
(上記リンク先記事より抜粋)


同じことが、アニメにも言えるんですよ。
ミドルティーンの生長モノ、というジャンルへのニーズが、欧米には無いんです。

AKBとガンダム、両方とも主役が未完成な故にストーリーが出来て行くのですが、そこにニーズが無いんじゃどうしようもありません。


結局、ガンダムに限らず、アニメを売り込みたかったら、作品自体を売り込む地域向けに根本的にローカライズしないといけないってことです。
といっても、国内向けを否定する訳じゃないです。国内向けは国内用、海外向けは海外用、と同じ作品でもシナリオやキャラを変える必要があるという意味です。例えるなら、自動車の国内モデルと海外モデルみたいな感じですかね。

もしくは、日本と比較的近い価値観を持つ東アジアに市場を絞るか。
AKBは欧米ではウケませんが、代わりに東アジア圏ではかなりの人気です。同じように、大体同じ価値観が受け入れられそうな東アジア圏のみをターゲットにして、最小限のローカライズでアニメ作品を売り込むというのも、アリじゃないでしょうか。これも例えるなら、関西と関東でどん兵衛の味が違うようなものかと。


どちらにしろ、日本コンテンツの海外への売り込みには、現地のニーズ把握とローカライズが必須でしょう。

日本らしさを消さず、でも現地で受け入れられる姿を作り出す。
難しい作業ですが、これが出来るか否かが、今後を占うのではないでしょうか。

日本の家電が世界で負けた歴史を、アニメでも繰り返しては欲しくないです。