せつなく朽ちた鉄扉

雑草地帯・日記部門。硬軟色々取り混ぜて、よろず話題の書き捨て場。
なおAdsenseはgooが勝手に出してるだけ。

はやぶさ2のリュウグウ着陸によせて

2019-02-22 23:34:47 | 宇宙、航空系

 ●小惑星探査機「はやぶさ2」第1回目タッチダウン成功について (JAXAプレスリリース)

大変、大変、大変久しぶりのblog更新ですが。
以前ここではやぶさ後継を支援したりしていた関係上、やはりここにも書くべきだろうと。

はやぶさ2の着陸、サンプル採取成功の報を受けて、やっぱり思い出したのは、初代はやぶさのときのことでした。
いつ何が起こるのか、今何が起きているのか。驚きと不安と祈りと、そんなものがごっちゃになったあの頃のことを。


正直に言います。
はやぶさ2、実は余り好きじゃなかったです。

蓮舫議員はすっかりダメな人になってしまいましたが、「2番じゃダメなんですか」って言葉が、実は私は大好きです。

体育会系と理学系の人は、何でも一番を狙うんですよね。それはいいんですけど、凄く目の前の一番ばかり狙う傾向があるのが、工学系の自分には、どうしても馴染めないんです。

工学の場合、一番最初に発明した人がイノベーションを起こすとは限らないんですから。電子レンジだって特許が切れてから家庭に普及したわけだし、iPhoneなんか当時の技術の寄せ集めでしかないのに熱狂的に受け入れられた訳だし。

長期的に見て、最後に一番高い山に登った人が勝ち。
低い山に争って登っても、誰も評価してくれない。
そういう世界もあるんです。

で、はやぶさの後継機には、そういう視点を期待していました。

本当に初代はやぶさの衛星バスでいいのか。
本当に目的地はリュウグウでいいのか。
もっとじっくり考えて、見直して、より大きい成果を狙った方がいいんじゃないか。

はやぶさ2は、私には稚拙なプロジェクトという印象でした。
その思いは、アメリカのオシリス・レックスが具体化すると、さらに強くなりました。

だから、あんまり好きじゃなかったんです。


でも、いざリュウグウに近づいてくると、やっぱり気持ちも盛り上がってくるものでして。
初めて見るリュウグウはイトカワとは全く違っていて、あそこに降りるのかというわくわく感がわいてきて、あの初代はやぶさの頃を思い出すようになって。

あんまり好きじゃなかったけど、やっぱり好きだったんですよ。
悔しいけど、やっぱり気になって仕方なかったんです。


そして今日。

かつて、あれだけ不安と祈りとで押しつぶされそうになってタッチダウンを、今日、はやぶさ2は、完璧に、いとも簡単にこなしてしまいました。
そして、それを指揮し、監視し、成功にわく管制室とスタッフを見て、ようやく私の印象も変わることができました。

はやぶさ2は、稚拙なプロジェクトじゃない。

与えられた条件の中で、最大限の成果を得られるよう、充分に練りに練られた逞しいプロジェクトだ。理想のプロジェクトではなかったかも知れないけど、そんな事をものともしない、トップランナーの貫禄がある。


ようやく今日、素直に、はや2くんが好きになりました。

あと2回のタッチダウンを残していますし、うち1回は対戦車砲、じゃないインパクターを使う危険な運用になるので、まだまだ安心は出来ません。
でも、とにかく無事に帰ってきて欲しい。もうこのままあと2回パスして帰ってきちゃってもいいんじゃないかと思うくらい(笑)、無事に帰ってきて欲しいという気持ちが強いです。


はやぶさ2と、その運用チームに幸運あれ。
残りのミッションも、無事にこなしてプロジェクトが完遂できることを、期待しています。


寄付で宇宙開発は余り喜べない

2012-04-08 21:55:52 | 宇宙、航空系
JAXAが宇宙開発の直接的な資金の寄付を制度化したらしいんですが……。
自分としては、あんまりいい事じゃ無いと思うんですよねこれ。

 ■JAXAがネット経由で寄付金募集、「はやぶさ2」開発などに充当 (Internet Watch)
 ■<JAXA>一般からの寄付 ネットで募集開始 (Yahoo!ニュース:毎日新聞)
 ■JAXAがインターネットからの寄付受け付けを開始 (Engadet JP)

 ■インターネット等からの寄附金募集の開始について (JAXA:プレスリリース)
 ■寄附金 (JAXA:JAXAについて)


毎日の記事にありますけど、以前から寄付は受け付けていたというのは全然知りませんでした。
件数と額からすると1件100万円以上になるので、関係する企業等からの寄付だったんでしょうか。

何にせよ、1000円単位での少額寄付っていうのは初ということのようです。
あ、そうそう。ネットから募金だけでなく、JAXA施設の展示館では募金箱で募金できるそうなので、ネットはちょっと、という方はそちらを利用するのも良さそうです。募金箱なら1円単位でも受け付けてくれそう(?)ですし。


しかし、市民カンパって、聞こえはいいけど問題ありですよやっぱり。
何が問題って、これが上手く行っても行かなくても、いずれにせよ困ることになるって点でしょう。

まず、もしこの寄付制度が上手く行ってプロジェクトが回るようになったら、「じゃあもう予算は要らないな」と更に予算削減されるかも知れません。
こうなるとJAXAの活動は大衆に支持されるか否かで決まるようになり、地味な基礎研究系のプロジェクトは育ちにくくなります。こうなると長期戦略性が低下し、将来の開発力低下に繋がります。

かといって、寄付制度が全くの成果無しとなると、今度は宇宙開発への感心の低さ、支持の低さと見られかねません。結果、予算の削減、活動自体の縮小、なんてことにもなりかねません。

ということで、どっちに転んでも面倒な事になりそうな気がするんですよね。
だから、余りいい感じがしないんです。


この場合、多からず少なからず、丁度いい位の額ってどのくらいでしょうね?
ちょっと見当つきませんけど、とにかくそのくらいは集まって欲しいものです。


日食網膜症を防ぐために・CP+で聞いてきた事いろいろ

2012-03-25 11:38:01 | 宇宙、航空系
2012年5月21日の朝7時台、金環日食がある訳ですが、これに関して網膜症予防のための注意喚起が出ています。
ただ、報道では表面だけの説明になっているのが正直不安です。

 ■金環日食、肉眼で見ないで=網膜障害の恐れ、専用グラスを―あと2カ月・天文協議会
  (Yahoo!ニュース:時事通信)
 ■金環日食を迎え撃つ -日本史上最大人数が観察できる金環日食を安全に-
  (2012年金環日食日本委員会・2012年春季年会記者発表)
 ■日食の安全な観察推進ワーキンググループ 日食情報 (天文教育普及研究会)



YouTube:国立天文台科学文化形成ユニット作成の解説動画
4分辺りから注意事項です。一度見ておくことをお勧めします。


実はこの話、今年のCP+の大西浩次副委員長のセッションでもやっていました。
その時の話と比べると、報道では内容が大幅に削られているようですので、氏が語っていた注意点について、覚えている限りを以下に書いておこうかなと。


【1.この日食は暗くならない!】

まず大前提として、この日食は暗くなりません!
金環日食は皆既日食と同じ位置関係ですが、明るさとしては部分日食と同じです。普通にまぶしいです。普通に昼間のままです。食が最大なら日食グラス要らないとか、そんなことはありません。



CP+より、そこら辺を説明しているスライド。上が皆既日食、下が今回の金環日食。
で、この演者が報道記事にも名前が出ている大西浩次副委員長。



【2.太陽光はあっという間に目を焼く!】

太陽を裸眼で見てはいけない、とはいっても、誰でも見たことありますよね?
朝日、夕日は当然として、昼間でも視界の中に偶然入ってしまうなんて良くあることですし。

ところが、この経験の延長で日食を見るのが、物凄く危ないんだそうです。

太陽光のうち、特に網膜を傷つけるのは青色の光だという調査結果があります。朝日、夕日はこの成分が少ないので大丈夫なのですが、高く昇ってしまった太陽は非常に危険です。

その破壊力、今回の日食の高度で計算すると……

網膜が破壊されるまで約1秒(!)




そこら辺を説明しているスライド。
「1日あたり」のトータル時間である点にも注意。


人は通常、視界に太陽が入ってもピントを合わせませんし、すぐに視界から太陽を外して、何度も見ることはありません。ところが日食はその太陽を注視するイベントですから、裸眼では容易に網膜を破壊してしまうのです。


【3.日食グラスを持っていても、裸眼で見てしまう事が!】

前回の日食での視覚障害について調査した結果によると、
日食グラスを持っていたのに、障害を発症した人がかなりの割合で存在しています。

話によると、日食グラスって太陽以外は何も見えませんから、太陽の方向が分かりにくいそうで。
まして途中で雲が通ったりすると、容易に太陽を見失ってしまうんだそうです。

そうなると人はどうするか。

日食グラスを外し、裸眼で見当をつけてから、日食グラスをかけようとするんだそうです。
凄く自然な行動ですけど、でもこれが危ない。これでやられちゃうらしいです。


【4.ではどうすればいいか?】

個人での日食観測の方法について、日本天文協議会、日本眼科学会、日本眼科医会が共同で安全啓蒙のパンフを作成しています。

 ■学校向け資料 2012年5月21日(月) 日食を安全に観察するために
  (2012年金環日食日本委員会・PDFファイル)

この資料の6ページ目によると、

  • 太陽をさがすときは、いきなり太陽の方を見るのではなく、太陽を背にして(または顔を下に向けて)日食グラスを正しく顔に当ててから、太陽のほうを見るようにしましょう。
  • めがねをかけている場合は、日食観察グラスと顔とのすき間が大きくなるので、手ですき間をおおうようにして、周囲からの光が直接目に入らないようにしましょう。
  • 望遠鏡や双眼鏡などと組み合わせて使うことは絶対にしてはいけません。
  • ときどき目を休めながら観察し、長時間ずっと太陽を見続けることは避けましょう。
  • もし目に違和感があったり疲れを感じたりした場合は、すぐに観察を中止しましょう。


だそうです。

実はこの資料では、日食グラスではなくピンホールで太陽の影を見る方法を第一に推奨しています。
特に子供はやるなと言ってもやってしまう生き物ですから、本当に安全を確保するなら、確かに下を向いて観測する方法が一番なんですが……個人的には、賢い子にはちゃんと日食グラスで上を見て観測させてあげたいです。





ピンホールでの観測方法については、「日食を安全に観察するために」の5~6ページに書いてありますけど、一応それ以外の情報も下に載せておきます。
まー出所は殆んど同じ団体ですけど。

 ■日食の楽しみ方 ピンホール工作の例 (世界天文年2009 日食観察ガイド)



で、最後にもう1つだけ注意喚起。

【オマケ:日食グラスは3月中に買っておくべし!】

これはCP+のケンコーのブースで聞いた話ですが、3月中には買っておいて欲しいそうです。
はっきりとは言ってくれませんでしたが、3月で出荷が終わってしまうような、そんな雰囲気みたいなものを感じました。なんせ今を逃したら全く売れない商品ですから、多少市場で不足してでも売り切ろうと考えるのも仕方ない話かもしれません。

というか、ケンコーのサイト、もう商品紹介が削除されているんですが。(!)
お。ビクセンのサイトはまだありますね

とにかく日食グラスを持っていないけど、日食見たいなぁという人、今買わないと品切れします!
日食までまだ2ヶ月ありますけど、今のうちに買っておくことをオススメしておきます。



オマケ。写真撮影用のNDフィルタを裸眼観察に使用するのも危険だそうです。



#あ、ステマじゃないよ。(笑)
#自分が前回の日食で買いそびれたクチなので。今回はもう買った。


ラジ館に153キロジュールの未来は来るか?

2011-09-23 22:41:30 | 宇宙、航空系
ネタにしようしようと思っていたらあっという間に再突入日になってしまいましたとさ。
やはりBlogのネタは新鮮さが命と改めて思う今日この頃。

 ■米国衛星「UARS」の落下に関する情報について (文部科学省)
 ■文部科学省 MEXT (Facebook)
 ■UARS Mission Section (NASA)

今一番の驚きは衛星落下よりも文部科学省がFacebookやっていたことなんだけど、まぁそれは置いておくとして。(笑)

って訳でさあいよいよ落っこちてきますUARS。確かバッテリがぶっ壊れてコントロールできなくて放棄されたんでしたっけ? そんなこんなで上層大気観測衛星として役目を終えて放置生活6年弱、低軌道だった割には良くもったというべきでしょうか。

最低26個の破片が燃え残る可能性があるらしいですが、有人ステーションならともかく観測衛星が落下して燃え残るような設計ってのは何とかならないもんでしょうか。
ちなみに何が落ちてくるのかという予想もNASAに載ってます。英語のPDFですけど。

 ■Re-entry and Risk Assessment for the NASA Upper Atmosphere Research Satellite (UARS)
  (NASA:PDFファイル)

チタンチタンベリリウムベリリウムとまぁ確かに溶け残りそうなモノが並んでます。(笑)
そんな中で一番インパクトがあるのはアルミニウム製のSSPP構造体というモノ。なんでも158キロの物体が秒速44mで落ちてくるらしいです。エネルギーが153.38kJって書いてありますけど、それって昔の小型砲クラスなんですけど。こんなのが来たらラジオ会館もひとたまりもありません。

まー、これが人の住む範囲に落ちてくる危険性なんて論じる意味すら無い程低いのですが、なんせ今年は災害続きの日本列島。何があるか分からないって気がしないでもありません。

ということで、本当にラジオ会館に落ちてくるかも知れませんよ?(えー


で、そうなるとやはり一言いいたいのは5pb。
なんで5pbが何のイベントも打たないわけよ。もったいない。

 ■ミールが的に命中なら全米でタコス無料 アメリカのタコスチェーン (AstroArts)

ミール落下の時なんか割と盛り上がる人は盛り上がっちゃって、こんなイベントが勝手に打たれたり、挙句は飛行機で落下を見学するツアーまで企画される始末。
ならばラジオ会館に衛星落としたSTEINS;GATEも何かすべきだろうと思うのですよ。(笑)

ほら、ちょうどいい事に元祖ラジ館は解体工事でもう無人だし。


「ラジ館にUARSが当たったら、8bit版シュタゲ無料!」



とか是非ともやって欲しかったんですが。
不謹慎だと騒ぐ連中も……まぁいるだろうけど少ないんじゃないかなぁ。


14日はスペースシャトルと同じメニューを(?)

2011-07-12 23:23:14 | 宇宙、航空系
スペースシャトル最終ミッション。
ウチではすっかり無視状態ですが、個人的には一応ちゃんと注目してますよ?

 ■STS-135: Final Launch of the Space Shuttle Program (YouTube:NASAtelevision)

シャトルの歴史と伝統を尊重し、最終フライトも絶対打上げ延期だろうと勝手に予測してさっさと寝たら予定通り打ち上がっていてびっくりがっくり。まぁとにかくスペースシャトル最終ミッションSTS-135、現在までのところ何事もなく順調そうで何よりです。

#しかしYouTubeのNASA画像、Blog埋め込み禁止になっているとは思わなかった。ちぇ。


で、その最終ミッションの宇宙食ですけど、実は7日目(米国7月14日)の夕食に「All American Meal」なるスペシャルメニューが設定されています。一応NASAが言うには「最終ミッションのシャトルクルーのためにスペシャルメニューを用意したから、地上でも一緒に同じメニューを食べましょうよ。」って話みたいです。

 ■Special American Meal Planned for Final Space Shuttle Crew (NASA)
 ■↑のGoogle翻訳 (NASA via Google)

宇宙食の画像だとさっぱり分かりませんけど、一応NASAによると、

クルーのアメリカンメニューはクラッカー、ブリーチーズ、ソーセージで始まります。
アントレ(メインディッシュ?)はグリルしたチキン、SouthwesternCorn、Baked beansです。
この食事は典型的なアメリカンデザート、アップルパイで終わります。

だそうです。なかなか立派な食事じゃないですか。
※どうでもいい註:ISSクルーはグリルチキンの代わりに牛肉のバーベキュー味らしいです。何故だろ。


で、この話の微妙に面白いところは、このメニューについてかなりぶっちゃけちゃってるところでして。

クラッカー、ブリーチーズ、ソーセージとアップルパイは、
通常の市販品を宇宙飛行用に再パッケージしたものです。

ヤマザキのようかんみたいなもんですかね?
つまりここら辺は普通のを買えばいいらしいとNASAお墨付き。(笑)
ちなみにブリーチーズってのはカマンベールチーズの親戚らしいんで、日本だとカマンベールチーズでOKかと。

そして市販品でないものはご丁寧にレシピも(NASAのサイトに)載っているんですが、これはさらに何か変。

 ■"Formulations" (NASA:PDFファイル 37KB)

一応レシピのファイルが↑。「Beef Brisket」、「Grilled Chicken」、「Baked Beans」、「Southwestern Corn」の4つのメニューが載っているんですが、これがガチの宇宙食レシピ。まさかレシピがパーセント表記だとは誰が思うか。(笑)

さらにその材料の書き方もなんか凄い。

  ●エデンフーズの白インゲン豆の缶詰
  ●ハインツのトマトケチャップ
  ●クラフトのバーベキューソース

まさかのメーカー指定。流石の再現性重視。日本じゃ実際に使っていても書かないわな。
そしてその一方で猛烈に対極な表記も。

  ●Cumin, ground

自信が無いので英語のままですけど、これ「(庭あたりに)生えてるてきとーなクミン」って事ですよね?
なんでこれだけこんないい加減。(笑)


まーなんにせよ、こんな感じでかなりNASAの本気レシピを見せてくれている本企画。
日本では正確には7/15早朝ですけど面倒なんで7/14の夕食辺りが頃合いでしょうか。
Baked BeansやSouthwesternCornは日本だとちょっと馴染みの無いメニューですけど、おまめさんにケチャップかけて、コーンサラダにタバスコかければ何となく似ているかも知れません。(えー

スペースシャトルの最後のミッションを記念して、シャトルクルーと気分だけでも同じメニュー。
日本でやってみるのも、面白いかも知れませんよ?




オマケ。
本当はこのメニュー、7/4を狙っていたらしい。(笑)
スケジュールが変わっても企画だけそのままだったから、7/14なんて半端な日にSpecialMealするみたい。なんという泥縄感。

アクアミーとかどうだろう(古すぎ

2011-07-03 21:07:49 | 宇宙、航空系
またまたまたまた愛称募集です。
たまには昔みたく独断で花の名前つけたりする事は無いんでしょうか。

 ■GCOM-W1愛称募集キャンペーン (JAXA)

水循環観測衛星GCOM-W1。
何をするかと言うと、かなり単純に訳しちゃうと、地球温暖化で地球は今どうなっているのかを、宇宙から全地球的な規模で調べようっていう企画の1つです。
二酸化炭素排出量を監視する「いぶき」や、雲・ちり・植生などを観測する予定の「GCOM-C1」とセットで全地球的な気象の現状把握とメカニズムの解明をしようという、日本にしては(?)割と大規模な地球観測プロジェクトになっています。

で、こいつはその中でも、地上の水分量やら海の水温やらをひたすら観測し続けるという、割と地味な役目でして。元々地味なプロジェクトの中でも、一番とらえどころの無い衛星という気がしてならないのは自分だけでしょうかね?(笑)


だからねー、こいつの愛称募集、って言われてもピンと来ないんですよ。
以前の空飛ぶベッド以上にピンと来ません。

※関係ないけど「飛翔」ってFTBにはもったいない名前だと思った。(笑)


水なんで「あじさい」かなぁと思ったんですが既にミラーボールの名前に使っちゃってますし
水神様ってことで「くらおかみ」もありかなぁと思うんですが、別に雨乞いしている訳でも無いですし。まして神様の名前つけて打上げ失敗した日にはもう。(苦笑)

はっきり言って今回だけはネタすら全く思いつきません。
一体どんな名前が集まって、どんな名前に決まるのか。ちょっと楽しみではあります。

ということで、誰か良さそうな名前が思いついた方、是非応募してあげてください。
今回は「ひらがなカタカナ混じりも可」で、かつ文字数指定も無いので、かなり自由度は高そうですよ?



ところで、

ちなみにGCOM-W2が出来たときには、「○○○2号機」って感じになるんですかね?
HTVというか「こうのとり」の時も思ったんですが、そこら辺も先に決めておいてくれると良いんですが。


お疲れさま、ディスカバリー。

2011-03-10 23:04:29 | 宇宙、航空系
スペースシャトル・ディスカバリー。
昨夜、無事に帰還し、ついにその役目を終えました。

 ■ディスカバリー号、最後のフライトを無事終了 (AstroArts)
 ■野口さん「頑張ってくれたなぁ」 ディスカバリー引退 (asahi.com)

現役シャトルはこのディスカバリーと、アトランティス、エンデバーの計3機でしたが、やはり3機中で一番印象深いのが、ディスカバリーでした。
朝日の記事にもあるように、何かと日本人飛行士と縁がありましたし、ISSに初めてドッキングしたシャトルだったり、2度の大事故の後の「絶対に失敗できない」という状況下でミッションをこなしたシャトルということもあるので、何度も何度もニュースになって、何度も何度も名前を聞いたシャトルでした。


そんな印象深いディスカバリー。
その最後のミッション、STS-133ですが、まー猛烈な延期延期の連続でしたねー。もはや延期はシャトルの名物とも言えますけど、まさにそんなシャトル人生を象徴するかのような、総決算の延期っぷりでした。

  1回目:姿勢制御エンジンからヘリウムガス漏れで延期(2010.11.1)
  2回目:メインエンジンの制御装置に異常が出て延期(2010.11.3)
  3回目:天候不良で延期(2010.11.4)
  4回目:燃料タンクから水素ガス漏れ発生&外部タンク構造部にクラック発生で大幅延期(2010.11.6)
  あやうく5回目:クルーだったコブラ氏が事故で負傷。一時は再度の延期も検討。(2011.1.20)
    → クルー交代で回避。代打のボーエン氏は突貫で再訓練したらしい。

で、昨年11月頭に打ち上がるハズだったのが、ようやく先月22日に打ち上がった訳です。
正直、水素ガス漏れとタンクのクラックが分かった時にはホントに大丈夫かコレ、と相当不安でした。よくまぁ無事に帰ってきたもんです。

 ■寿命はどこまで? 老朽化に悩まされるスペースシャトル (WIRED VISION)

上記記事は2005年初出。そんな6年前からポンコツ扱いだったシステムを、長年メンテしながら見事にミッション完遂させたNASAの苦労は相当だったと思います。

ディスカバリー関係の皆様、お疲れ様でした。
そしてあと2機、最後まで、無事故でお願いします。>NASA


あ、ちなみにSTS-133の水素ガス漏れと燃料タンククラックについては、詳細な説明が、何故かJAXAから日本語で解説が出てます。

 ■STS-133(ULF5)ミッション概要 (JAXA:PDFファイル)

上記PDFファイルの41ページ~45ページで解説されています。
NASA行けばどっかに書いてあるんでしょうけど、やはり日本語で、ってのがありがたいです。ありがとうJAXA。

こうのとり、1号がなくていきなり2号機

2011-01-17 23:47:41 | 宇宙、航空系
Blog書くネタが無いんですがあんまり更新しないのもアレなんで。
打上げが近付いてきたHTV「こうのとり」2号機の話でも書いときましょうか。

 ■こうのとり2号機/H-IIBロケット2号機特設サイト (JAXA)
 ■ライブ中継 (JAXA)
 ■「こうのとり2号機/H-IIBロケット2号機 打ち上げ」生中継放送 (ニコニコ生放送)

ISS補給機「こうのとり」ことHTV。打上げ予定は20日15時29分頃。
天気予報では20日はあんまり天気は良く無さそうですけど、今のところは予定通りみたいです。

今回の見所は……まぁ前回のHTV1号機と変わんないんですが、やはり日本最大ロケット、H-IIB。
太いです。でかいです。立派です。恐らくずどんと上がってあっという間に雲に隠れちゃうと思うので、ライブ中継を見る方は打上げの瞬間をお見逃し無く。

あ、ライブ中継と言えば、今回は打上げからHTV分離までが早いです。
予定では打上げから15分11秒後で分離。
「あかつき」では探査機分離まで随分待たされて疲れたよ、っていう方、今回はぱぱっと終わるのでお気軽にご視聴下さい。(笑)


でも、今回の本当の見所は、HTV分離後だったりします。
実は打上げから1時間39分後、H-IIB二段目を再点火し、二段目の制御落下実験を行うんです。

 ■H-IIBロケットの概要/第2段ロケット制御落下実験 (JAXA)

制御落下っていうのは、まぁ言葉の通り、うまく制御して思った位置に落下させる手法です。月探査機「かぐや」の月面落下や、はやぶさの帰還も制御落下でしたね。ちょっと趣は違いましたけど。
どちらかというと、ロシアがミールを廃棄するときに地球に落とした、あんな感じの方が近いかも。

#ちょっと古い?(笑)

実はロケットの最終段っていうのは衛星とほぼ同じ速度が出ているので、放置するとなかなか落ちてこないんですよ。そのままだと見事な宇宙の粗大ゴミなので、制御落下させようよ、っていう風潮になりつつあるみたいです。

で、日本は2段目の制御落下の経験は……確か無かったはず。
初の実験なので、成否が気になるところです。

ただここで凄く大事なこと。

「制御落下のライブ中継はありません」


制御落下するまえにライブ中継終わっちゃうんですよね……。
まーJAXAのwebで発表はあるでしょうから、別にいいんですけど……ううむ残念。



オマケ。
そういえば、HTVの燃料系には「あかつき」と同じ、「あの逆止弁」が使われてたりします。

オマケその2。
同じ逆止弁ですけど、使い方がちょっと違う(1個ダメでも何とかなる構造)らしいので大丈夫でしょう。
正直そんな見所は要らん。(笑)


2011.01.20追記:
延期しちゃいましたねー。打上げは22日14時37分57秒に変更となりました。
それと、HTV2号機の逆止弁はあかつきとは違うメーカーだそうです。



あかつきについて、分からないことを想像すること。

2010-12-30 22:42:17 | 宇宙、航空系
さて、昨日の続き。
オマケとして個人的な予断なぞ。

調査に予断は禁物ですが、外野で眺めている身には予断してナンボというところもありまして。(ぉ
素人なりに、素人ゆえに、色々思うところを書いておこうかと。


【逆止弁について】

「逆止弁の閉塞」って言ってますけど、実は今は開いている可能性が無きにしも。
というのも、2010.12.17配布の方の資料にちょっと気になるデータがありまして。



「あかつき」の金星周回軌道投入失敗の状況について』27ページより。


ありゃ表示が切れちゃうか。記事の下のほうのスクロールバー動かして右端見てください。
特に9660秒後から燃料タンクと加圧圧力が収れんしていくところにご注目。

こういう圧力変化が起きるためには、逆止弁が開いてくれないと有り得ません。つまり、9660秒後に、逆止弁がちょっと動いたんですよ。圧力変化が分オーダーなので、全開ではなさそうですが、開いたのは間違いないでしょう。

JAXAは逆止弁の閉塞理由をいくつか想定しています。

 ・シール部分の不良
 ・しゅう動部の不良(設計不良、製造不良)
 ・部品の破損、脱落、噛み込み(バネ破損、想定外の動作頻度等)

ただ、9660秒後にちょっと動いた事を考えると、やっぱ、固着だと思うんですよ。
何か摩擦が大きい箇所があって、動かなくなった感じかと。

そうなると、思いつく原因は
 ・製造不良
 ・粉体のような異物の噛み込み
 ・想定外の動作頻度
ってところですかね。

「想定外の動作頻度」ってのは、何か圧力変化が脈動したような状況が続くと起こりえる訳でして。ぱっと思いつくのは、燃料タンクのダイヤフラムの振動ですかね? ただ、かなり加圧された環境下でそんなに膜が揺れるかは疑問ではあります。

やはり個人的には、製造不良か、細かいゴミの噛み込みって感じかなと思ってますが、そこから先は想像するにもネタが足らない状態です。

まー正直なところ、この逆止弁は今後の探査機開発には重要な問題ですけど、
当のあかつき本体にとっては、全閉でなければ何とかなると思ってます。はやぶさみたく、遠くから少しずつ、時間をかけて減速すれば良いと思うので。凄く面倒で難しそうですけど。



【逆噴射時の姿勢異常について】
【セラミックスラスタ(=OME)は壊れたか否か】

この2つはセットで。

あかつきを傾けるような強い力が働いて、セーフホールドモードに入った事が今回の失敗の直接の原因ですけど、その強い力ってのは逆止弁の異常だけじゃ解明できないんですよね。
「逆止弁の異常により燃料供給が狂ったことにより、OMEで何かおかしなことが起こって傾いた。」と大まかに推測しているだけで、肝心のこの部分が全く分かっていません。

で、そのOMEで何が起こったかについて、JAXAはD1~D5というナンバリングで5つの可能性を想定しています。

 D1) 熱流束過大によるスラスタノズルの破損
 D2) フィルムクーリング噴射方向異常によるスラスタノズルの破損
 D3) スロート後方後燃え
 D4) 不安定燃焼
 D5) インジェクタ噴射方向異常

個人的な感想ですけど、姿勢異常はともかく、この状況でOMEに何か起きたっていうなら熱による破壊を一番に疑うべきでしょう。というか壊れていて当然という気がします。

熱といえば、最も高熱になるのは燃焼室とスロート(一番細いところ)ですが、この辺りは割と肉厚に作ってあるっぽいです。三菱の技報に試験中のセラミックスラスタの写真がありますが、燃焼室やスロートより温度が低いであろう、スロートよりノズル側の部分が一番強く光ってます。この光っている辺りが、熱に対して相対的に一番薄くなっている箇所と言えるんじゃないでしょうか。

やはり、この一番光っている辺りが熱でやられちゃったんじゃないでしょうか。JAXAの想定でいうところのD1ですね。材質の窒化珪素は高温で分解するので、どんどん内側が削られて、穴が開くとかポッキリとか、そんな感じではないかと。

そもそも、熱の影響、突然の横向きの力、推力の減少と、減少した状態で安定した推力を考えると、D1しか考えられない気がするんですが。D2~D5では、もっと色々と不安定な加速度が測定されると思うので。

壊れ方としては、こんなシーケンスですかね?

 1.熱によりノズル上部の内側がどんどん削られて薄くなる。
 2.ある一箇所に穴が開く。
 3.穴からガスが噴出し、横向きの回転が始まる。
 4.穴はどんどん大きくなり、穴からの噴出量が増える。
     --------------
 5.噴出の衝撃で振動が発生し、穴から薄い部分に沿って亀裂が走る。
 6.亀裂からノズル脱落。

4と5の間に線を入れましたけど、もしかしたら4止まりで、5~6はまで発展しなかった可能性もあるので、線入れてみました。
こればっかりは、あかつきで試してみないと分かりません。もし4止まりだったら、OME噴射でまたくるくる回ってしまうという致命的な事態となってしまいますが。

で、こんなことを考えていてつくづく思うのは、やっぱスラスタを見るカメラが欲しかったなーということ。
なんせセラミックスラスタは初モノですからね。いくら理学系の探査機といっても、工学検証用のカメラ1つくらいあっても良かったんじゃないかなぁ。



【6年後に逆噴射可能か否か】

逆噴射は出来ると思ってます。
セラミックスラスタのノズルがポッキリして脱落している事が条件ですが、それなりに確立は高いと思ってます。

ただ、金星周回軌道に入れるのは難しいなと思ってます。

推力の70%弱しか出せていないので、単純計算で1.4倍の燃料が必要になります。失敗した逆噴射で既に想定の2割を消費しているとすると、当初予定の1.6倍の燃料を食う事になるんですが、それだけの燃料があるのかどうか。
残燃料のデータはありませんが、自分としては、足らないんじゃないかなと考えてます。


いや、今はここまでしか推測できませんけど、何も手が無いわけじゃないはずです。

なんせこれから6年11回も太陽を周るんです。
まだ検討するネタはありそうな気がします。


あかつきについて分かったこと、分からないこと。

2010-12-29 23:35:53 | 宇宙、航空系
クリスマスと年末と最終回ラッシュに紛れて金星探査機あかつきの関心が見事に下がっている気がしないでも無い今日この頃イカがお過ごしでゲソか。いやイカ娘は置いておくとして。

金星周回軌道投入失敗からこっち、大体1週間おきぐらいでJAXAから調査経過が報告されているんですが、先日よーやく原因らしい原因の言及がありました。

 ■「あかつき」失敗原因はバルブの閉塞 JAXA報告 (日本経済新聞電子版)
 ■あかつき失敗原因断定、6年後の可能性見極めへ (YOMIURI ONLINE)
 ■あかつき失敗はエンジン弁の閉塞 宇宙機構、原因究明へ (47News)

 ■第24号科学衛星(PLANET-C)「あかつき」の金星周回軌道への投入失敗に係る
  原因究明及び今後の対策について (JAXAプレスリリース)
 ※上記ページに3つPDFファイルがありますが、報道内容が載っているのは2番目の
  『「あかつき」の金星周回軌道投入失敗に係る原因究明と対策について(その2)』です。

うーん……なんか今更感が。
先週の段階でみんな「逆止弁のせいじゃね?」って思っていた節もありますけどね。(笑)

ちなみに逆止弁っていうのはガスの逆流を防ぐための弁です。チェックバルブなんて呼んだりもします。
身近なところだと、自転車のタイヤのバルブとか、ビーチボールの空気入れる口とか、布団圧縮袋の空気抜く穴なんかは、構造は違いますけど一種の逆止弁ですね。

まーとにかく逆止弁犯人説がほぼ確定した訳ですが、実はまだ分かっていない事がいくつかあります。
分かったことと、分からないことを整理しときましょうか。

【分かったこと】
 ・金星周回軌道投入失敗の原因は、1個の逆止弁の不具合だった。


JAXA資料『「あかつき」の金星周回軌道投入失敗に係る
原因究明と対策について(その2)』28ページより抜粋。



【まだ分からないこと】
 ・その逆止弁に何があったのか。
 ・逆噴射開始後に発生した姿勢異常の原因。
 ・現在セラミックスラスタは無事か否か。
       ↓
 ・ぜんぶひっくるめて、6年後に逆噴射可能か否か。


ってことで。
要は肝心なことはまだ何も分かって無い状態だったりします。

報道だと原因究明だから何もかも分かったような感じに受け取れますけど、んなことは無い訳でして。まだまだ解析は続きそうです。

ここから先はデータのみでは判断しづらいので、基本的に再現実験が解析のメインになります。
地上での実験スケジュールはこんな感じ。



JAXA資料『「あかつき」の金星周回軌道投入失敗に係る
原因究明と対策について(その2)』32ページより。



どっちみち「あかつき」本体で実験する必要があるはずなんですが、まず地上実験で大まかな状況を掴んでから、って考えなんでしょうか。せっかく取り戻したあかつきを下手をして失うのは避けたいという、慎重さというか恐れが読み取れますね。

取りあえず逆止弁の事以外で今分かることと言えば、
今後新しいネタが出てくるとしても、来年春以降、早くて3月末、遅いと夏辺りになっちゃうって事でしょうかね。
本当に6年後が期待できるのか否か、ちゃんと分かるのはもうちょっと先になりそうです。



#で、これだけで記事が終わっちゃうとつまんないので、後日、素人なりの考察というか想像なんぞもupする予定。