面白草紙朝倉薫VS安達龍真

夢と現実のはざまで

スキヤキとカレーライス。

2008年08月17日 | Weblog
 朝昼晩、食事は父に任せきりである。94歳の老人とは思えない動きで楽しそうに料理を作る父を見ていると、下手に手出しが出来ない。昨夜は張り切ってスキヤキを用意して待っていたらしいが、帰宅したのは深夜だったので、残念ながら無駄にさせてしまった。

 食道楽の父はカレーライスが唯一苦手だった。子供の頃、学校から帰ってカレーの匂いがすると僕は複雑な気持ちになった。母がカレーを作るのは、決まって夫婦喧嘩のあとだった。確信的な嫌がらせだ。そうすると父は、必ず、料亭かレストランに僕を誘う。母のカレーライスも食べたいが、父と行く店は何処も魅惑的だったので、僕は仕方なさげな態を装って父に従った。

 そんな僕に、母は決してカレーライスを残して置いてはくれなかった。しかも、父がいなくても僕には作ってくれなかった。姉や妹は母の味方だったのでカレーの味を覚えているだろうと思い、母が亡くなった後訊いたことがある。「普通だったよ」と、つれない答えだった。

 新宿に「伊吹」という老舗のスキヤキ屋がある。以前はガスコンロで近江牛専門だったが、改装してモダンな電熱プレートになったので、昭和のイメージは薄れた感がある。そこのスキヤキが、父の作るスキヤキに味が似ている。甘党の父は山のように砂糖をかける。「伊吹」もお好みで砂糖を用意してくれる。関東出身の友人と行くと呆れられるが、味には文句を言われない。

 在熊中は極力カレーを食べないように注意したいと思ってはいるが、あれは無性に食べたくなる魔力を持っているので、耐えられるかどうか自信はない。

腰を据えて

2008年08月17日 | Weblog
阿蘇から帰宅すると、東京から送った机と資料、それに、当面の衣服が届いていた。庭に面した座敷に机を据えてみたら、昔からそこにあったかのようにしっくり馴染んだのでほっとした。阿蘇の友人の別荘は海抜千メートル、美里町の実家は確か海抜80メートルだつた。別世界のような阿蘇に比べると多少は暑いが、熊本市内に比べたらここも別天地である。脚本も小説も、遅れの言い訳は出来そうにない。