熊本の友人の電話で台風接近を知った。今回は、西から東へ、日本列島を真横に通過するらしい。水不足の四国にとっては恵みの雨をもたらす福の神であろう。
僕のふるさとの村では一昨年の集中豪雨の悪夢がまだ爪あとを残しているさなか、友人の電話からも緊張感が伝わって来た。東京も愚図ついた天気が続いていると伝えると、身体のことを心配してくれた。お互いに身体を労わりあうなど、若い頃には考えもしなかった会話に苦笑した。
色づき始めた柿が強風に耐えてくれることを祈る。自然の営みに抗うことは出来ないが、自然が時々小さな奇跡を起こしてくれることを僕は知っている。それは、恵みの雨であり、果実の豊穣であり、鳥やけものへのいたわりであったりする。
孔子の言葉にもあるが、人間この世に生まれてきて”ああ、生まれてきて良かった”というぎりぎりの幸せだけは確保しなければならない。井上靖は著作「孔子」の中で、”ああ、わが郷里の村にも、いま燈火が入った”という、身分の上下とも無関係、貧富とも無関係、人間なら誰でも持つことの出来る静かな幸せだけはこの地球上から奪りあげてはならぬ、いかに世が乱れようと、人間からふるさとというものを奪りあげてなならぬ。と言わせている。それが政治である。とも書いている。
田舎の村の柿が色づくだけで幸せな気持ちになれることを思えば、自然が起こしてくれる小さな奇跡に気付く心の余裕を持てるだけで充分幸せなのかも知れない。
僕のふるさとの村では一昨年の集中豪雨の悪夢がまだ爪あとを残しているさなか、友人の電話からも緊張感が伝わって来た。東京も愚図ついた天気が続いていると伝えると、身体のことを心配してくれた。お互いに身体を労わりあうなど、若い頃には考えもしなかった会話に苦笑した。
色づき始めた柿が強風に耐えてくれることを祈る。自然の営みに抗うことは出来ないが、自然が時々小さな奇跡を起こしてくれることを僕は知っている。それは、恵みの雨であり、果実の豊穣であり、鳥やけものへのいたわりであったりする。
孔子の言葉にもあるが、人間この世に生まれてきて”ああ、生まれてきて良かった”というぎりぎりの幸せだけは確保しなければならない。井上靖は著作「孔子」の中で、”ああ、わが郷里の村にも、いま燈火が入った”という、身分の上下とも無関係、貧富とも無関係、人間なら誰でも持つことの出来る静かな幸せだけはこの地球上から奪りあげてはならぬ、いかに世が乱れようと、人間からふるさとというものを奪りあげてなならぬ。と言わせている。それが政治である。とも書いている。
田舎の村の柿が色づくだけで幸せな気持ちになれることを思えば、自然が起こしてくれる小さな奇跡に気付く心の余裕を持てるだけで充分幸せなのかも知れない。