面白草紙朝倉薫VS安達龍真

夢と現実のはざまで

稽古は終わっても

2008年03月31日 | Weblog
 午前2時、稽古を終え、朝までやるらしい新人とスタッフを残して帰宅した。GPまでに外見的な役作りをしなくてはならない。何しろ38歳の役だ。体力は自信があるが、見た目の若さはなかなか誤魔化せるものではない。どこまでやれるか、挑戦してみますので是非とも冷やかしにお越し下さい。初日は4月2日、千秋楽は5月4日の35公演、アトリエ公演を始めて以来のロングランです。

 本来なら僕が68歳の博士で、安達竹彦が38歳のボス役だったのだが、昨日もブログに書いたように、突然の配役変更。今日も思いっきり汗をかいてきた。僕は1週目と4週目の出演なので、ご予約の場合はお間違えのないようお気をつけ下さい。

 さあ、それでは、先ずは髪の色から変えてみますか。

芝居の台詞に込めたものは

2008年03月30日 | Weblog
 子供の頃から、芝居の台詞を覚えるのが得意だった。母が芝居好きで、覚えた台詞を言うと喜んでくれた。長じて自分が芝居を書くようになったら、途端に覚えが悪くなった。それでも、自分の書いた芝居の台詞は何とか覚えている。

 今回、8年振りに「桃のプリンセス」を上演するが、昨夜、例によって直前の配役変更、博士を安達竹彦、ボスを朝倉薫が演ることになった。通し稽古に入ったら、何の違和感もなく台詞が口をついたので安心した。

 中でも、警察に囲まれ「手を上げて出て来い」と呼びかける拡声器に向かって言うボスの台詞「手を上げるくらいなら、ハナっからギャングはやってねえ」は、14年前に戯曲を書いた当時のことを思い出して胸に来る。可愛がっていた俳優が劇団を辞めると言い出した時、「辞めるくらいなら、ハナっから役者はやるな!」と、叱ったことがあるのだ。

 芝居には、現実ではいざとなったら難しい思いが込められたものが多くある。忠臣蔵然り、死を覚悟してのあだ討ちだからこそ美しい物語となり、離脱者の苦悩が人間ドラマとなる。ハムレットが、やたら計算高く蓄財に長けていたら「なすべきか、なさざるべきか」などとは悩まず、悲劇の幕切れは無かっただろう。

 青臭いと言われようと、僕は今でも思う。「芝居がしたかったら、死ぬまで続けろ」と。「一緒に」と、言いたい処だが、2度も人生の伴侶と生き別れた僕はその言葉を口篭もってしまうのだ。しかし、人生の残り時間が少ない今は安心して言える。死ぬまでやるのも大したことではない。

小鯵の南蛮漬けが食べたくなる理由

2008年03月29日 | Weblog
 季節に関わらず、無性に食べたくなるのは小鯵の南蛮漬けである。子供の頃に感動した味は、年月を経て増幅される。母の手料理の味を頼りに、食材を仕入れて料理に挑戦してみるのだが、なかなかその味は再現できない。巻き寿司や稲荷寿司はかなり近い味をだせるのだが、小鯵の南蛮漬けは難しい。小麦粉で薄く衣を付けて油で揚げるところまでは上手くゆくが、酢の味付けが良くないのか、香ばしい味が出ない。作り始めて10年になるが、まだ思考錯誤の最中である。

 新人公演の初日まであと5日、芝居作りに熱中しながら小鯵の南蛮漬けが心にちらついて、これはどうしても今夜にでも作らねばならない。夜中に小鯵を捌くのもどうかと思うが、決行しよう。などと、考えていたら今日も7時半になってしまった。少し眠ろう。

 で、小鯵の南蛮漬けがこうまで食べたくなる理由だが、子供の頃、魚の骨が苦手だった僕は、母の作った、骨までサクッと柔らかく、なのに香ばしさが口中に広がる、小鯵の南蛮漬けという料理に感涙した記憶をよみがえらせたいからに他ならないのだ。

 

 

ハーフムーンの夜更けに

2008年03月28日 | Weblog
 夜も更けて3時半に稽古場を出たら、南方の中天にハーフムーンが浮かんでいた。悠久にも思える宇宙の営みに比べたら、それこそ瞬きに過ぎないのが僕らの人生だろう。が、それはそれで、悩みは尽きる事がない。今年の新人公演も、昨年同様、かなり重要な役で登場することとなった。一日の半分以上を稽古場で過ごしている。

 バスタブにお湯を張り、最近は入浴剤を入れることにしている。色々効用の異なる入浴剤を試しているが、まだこれは、というのにめぐり合っていない。部屋を片付けたり、ブログを書いたり、食事を作ったり、資料を読んだりしていて、気付けば7時、8時になっていて、慌ててベッドに入る日課を繰り返している。

 芝居が始まると妙に興奮してテンションが高くなり、眠らない夜が更に続く。今回は1ヶ月公演なので、体力が少し心配だ。しかし、栄養をつけようと思って無理に食事を増やすと、かえって良くない時もあるので、なすがママのキュウリがパパである。御免。

四月になれば!

2008年03月26日 | Weblog
 何とか、四月の始めに熊本行きが決行できそうです。2月に行くと伝えた友人は呆れていて(僕は狼少年状態だが)生返事だった。兎に角絶対に行くからと、念を押しておいた。八年前に逝った母の命日が四月九日なので、その日を挟めば墓参りも出来そうだ。94歳になる父は佐世保の姉の家に身を寄せているので、会えそうにもない。親不孝の限りを尽くしている。新人公演の初日を見届けて出発する予定です。

 三月も残すは1週間、新人公演の稽古も仕上げに入った。これから、アトリエ公演にお越し下さったお客様に案内状を書く。手書きにすると約束したので、稽古の合間に500枚を書きます。公演前に届かなかった方には申し訳ありませんが、今回は、劇団創立以来初めての1ヶ月ロングラン公演です。詳細が届きましたら、是非、お越し下さいませ。

 熊本から帰ったら、僕も舞台に立ちますので、是非、冷やかしにお越し下さい。若作りして38歳の役を演ります。無理だろうと、ツッコミを入れないでくださいね。劇団の新人公演は、劇団員全員が強力して作るのが、僅か16年ではあるが、劇団員暗黙の結束なのです。

急転直下

2008年03月25日 | Weblog
 来週から始まる十五期生の新人公演の演目が急遽「桃のプリンセス」に変更となった。
司亮のマモル、三田裕子の桃子で、今日初日の稽古からいきなり立ち稽古。ゲストの菅原純さんに博士をお願いして、安達竹彦のボス、片山竜太郎、またか涼のコンビで、岩沢と宮瀬に配したが、素晴らしい出足だった。明日から、合宿状態で猛稽古を重ねます。

 「花衣」は、いずれ必ず舞台にかけたいと思うが、今回はご容赦下さい。すべては、僕が映画脚本に没頭していた所為で、本当に関係諸氏に陳謝します。「桃のプリンセス」は、劇団の「上演したい作品」アンケートで常にトップ3にはいる人気の高い作品です。
自信を持ってお見せ出来る作品でもあります。

 それでは、この1週間、全力を尽くして稽古に励みます。どうぞお楽しみに。

晴れたり曇ったり

2008年03月23日 | Weblog
 脚本の推敲は続く。世界は晴れたり曇ったりしている。崖ッぷちに立って足を踏ん張っているのは、僕だけではないはずだ。頑張れ!崖ッっぷち諸君!どんなことがあっても生きるのだ。七難八苦を乗り越えよう!見えない友にエールを贈って気を紛らわせている。

 16年も続けてきたのだ。あと4年で20年。劇団があったから、僕は生き延びてきたと言っても過言ではない。願わくば、僕が逝っても、続けて欲しい。今年も芝居浸けである。崖ッぷちは続く。少し眠りたい。御免。

南風を待って

2008年03月22日 | Weblog
 午前1時、映画脚本準備稿ひとまず脱稿しました。沢山の励まし、感謝します。ゆっくり風呂に入って、今、おいしい珈琲を淹れたところです。冷蔵庫からアイスクリームを取り出して咥えています。誰からも文句は言われないが、一日、珈琲とアイスクリームでは、決して良い食生活ではない、ということは自覚しています。

 これから朝まで推敲に入ります。原稿書きの実況中継をやったので、貧乏作家の生態がよくわかったと、感想を頂いた。仕事はみな同じです。山登りやマラソンと一緒、日頃の鍛錬が修羅場でものをいいます。コツコツ地道にやるのが一番、羅馬は一日にして成らずの例え通り。

 悟ったようなことを云ったが、先人の受け売りです。皆二千年前に云い尽されているのだが、人間は忘れっぽいのです。それにしても、明日は南風が吹くだろうか。夏型人間としては、この寒さは耐え難い。この1週間、暖房を点けっぱなしだった。

 休憩中に生涯で助けられた数を思い出す限り数えてみた。助けた数とか騙された数よりはるかに多かった。実に幸福な人生であることを知った。愛についても同様である。愛したことより、愛されたことを思い出す方が幸福である。たったひとつで良いのだ。真心から愛してくれる人がいたなら、地位も名誉も富みさえも、生きる価値においては比較にならない。愛して愛される自由を許さない人類など、生きる価値もない。
 人間が地上に存在を許されるのは、何よりも弱者だからである。奢ってはいけない。と、睡眠不足で朦朧としている貧乏作家のたわ言、聞き流したまえ。

彼岸を過ぎても北風は強く

2008年03月21日 | Weblog
 彼岸を過ぎても春の陽気どころか強い北風が吹き続けている。昨夜の稽古場は賑やかだった。今回特別出演して下さる劇団新宿ブルドッグの菅原純さんもみえて、新人公演の稽古も厳しさを増した。16期生志望の新人たち、毎度差し入れを下さるFさん、H監督、右の耳、左の耳、目も使って同時会話。睡眠不足で朦朧としながら、メモを取った。

 稽古場を出ると、真冬を思わせる強い北風。坂上もビルが増えた。谷間をぬって家に帰った。風呂に湯張りをしたが、ベッドに倒れこんで眠ってしまった。明け方、風の音に起こされたが、まだ朦朧としている。坂新のてっぽうに昼飯に行きたいのだが、風が止まないので躊躇している。熱い珈琲を2杯飲んだ。

 そうだ、昨夜Fさんから「ブログを書く時間があったら原稿を書きなさい」と、叱られたのだった。俳優の渡部荘一郎さんにも彼の芝居を観に行くと約束した。昨夜の稽古場では、もっと、誰かと約束したような気がする。シャワーでも浴びて思い出そう。

ラストスパート

2008年03月20日 | Weblog
 今回の脚本は、出来あがってもいないのに、面白くて何度も読み返している。こんなことは始めてだ。おかげで、予定より数時間遅れている。そろそろラストスパートをかけたいが、息切れが恐い。マラソンで言えば、30キロ前後であろうか、迷う地点である。ブログで実況中継のようなことを書いているので、沢山の方に励ましを頂いている。応援はスポーツと同様、大変な励みになる。物書きもアスリートだ。体力が最後にはものを言う。

 2度ほど転びそうになったので、まだ油断は出来ない。パソコンの操作を間違えて消してしまったこともあった。「上書きして保存」を忘れたこともあった。気圧の変化に弱いので、雨が続けば良いのだが、どうやら明日は晴れそうな予感がする。何とか乗り切ろう。

 忘れるところだった。明日は18時に、16期生志望者の稽古場見学が入っている。爽やかに、とは行くまい。身体はボロボロ、思考は朦朧である。物語の森から抜け出せてはいないだろう。劇団員に頑張ってもらうしかない。