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長井さんの葬儀に出なかった理由

2007-10-09 21:02:57 | Weblog
 昨日、大々的に報道されていたからご存知の方も多かろうが、ミャンマーで非業の死を遂げた映像ジャーナリストの長井健司さんの告別式が、東京青山で行なわれた。

 葬儀に参列しようと、前から入っていたスケジュールを変更したが、当日になると、どうしても行く気になれず、ニュース番組の現場からの実況中継に映し出される葬儀場に掲げられた長井さんの遺影にひとり自宅で手を合わせた。

 気が重くなった原因は、長井さんが所属していたAPF通信の山路代表への不信感だ。私はかつて、山路氏に対してジャーナリストとして、人間として彼のやり方に疑問を持ち、あるTV局の責任者を間に入れて対峙した事がある。長井さんに、その点に触れて「なんであなたのような人がAPFにいるの?」と聞いたことがある。すると、長い沈黙の後、長井さんは、離れられない事情を、苦渋に満ちた表情で真情を吐露してくれた。

 だから余計に、TV画面で聞く山路氏の言葉が私の心に沁み込んでこないのだ。

 今、マスコミは競って「長井さんモノ」を取り上げている。普通に考えれば、長井さんが撮って来た映像がかなりの利益を生み出しているはずだ。余計なお節介だが、長井さんは生前、故郷に住む年老いたご両親のことを気にしていた。だから、長井さんの生み出した利益がきちんと長井さんのご遺族のもとに届けられることを願うばかりだ。

 「浅井さん、そんなことはもういいですよ」

 祭壇に飾られた長井さんの遺影はそう言っている様にも見える。また、銃弾に斃れてもカメラを放さなかった、長井さんの雄姿を捉えた一枚の写真は、そんなどろどろした人間関係を超えた崇高さをもって見る者の心を打つ。だが、私のような心の狭い人間は、“つまらん”ことが気になって仕方がない。

 “戦友”として私に何ができるか。何をしなければならないか。今考え中だ。