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米国の要望書は命令書に非ず

2007-10-02 12:34:42 | Weblog
 日本郵政公社の民営化が昨日、始まった。

 民営化を記念しての式典に参加した小泉元総理の誇らしげな笑顔がなんとも空々しい。それに比べて、浮かぬ表情の福田首相を見ていると、郵政事業の将来が心配になってくる。

 相変わらず日本のマスコミは、民営化の事実を報ずるのみ。その問題点を取り上げるものの、事の真相を深く掘り下げようとはしない。

 郵政民営化の私の視点は、2年前に発表した「小泉マジックの種明かし」(http://blog.goo.ne.jp/asaikuniomi_graffiti/e/0c2ba58598c9934f5990afbfa4ff5ae9)に詳しいが、今一度皆さんにお読みいただき、郵政民営化の裏側を知って頂きたいと思う。

 郵政民営化については、上述の評論にも登場するが、米国の日本への改革要望書、正式には「日米規制改革および競争政策イニシアティブに基づく日本国政府への米国政府要望書」と言うのだが、この毎年米政府から送られてくる要望が、大きく影響している。この要望書の中身をお読み頂ければ(在日米大使館のホーム・ペイジに掲載されている)、これが「今のニッポン」を作っていると言っても過言でないことに気付かされる。

 この文書は、1993年、当時の首相、宮澤喜一氏がクリントン大統領に「日米関係を良くする為にお互いに要望を出しましょう」と提案(事実上の押し付け)されて認めてしまったもので、その後毎年、両国は相手国政府に対して改善希望を出してきた。

 これに対して日本政府は、「要望書」を命令書とでも勘違いしたのか、郵政民営化だけでなく、法務、流通(大規模店舗の規制緩和など)、情報技術などの分野における大幅な改革要求を鵜呑みにしてきた。ビッグ・バンに始まり、IT、イノベーションと横文字が、首相の所信表明演説に乱用されてきたことにもそれは現れている。

 郵政民営化をもう一度考える意味でも、また、他の愚策を今後許さぬためにも是非皆さんも米国政府の改革要望書に目を通しておいて頂きたい。

 ちなみに、日本政府の米国に対する改革要望書はどんなものかと先ほど外務省の北米2課に訊ねたところ、電話に出た職員は米国から日本に対して出されている要望書の存在すらも知らず、「あなたそれで外務省の正式職員?」と言ってしまった。