ありゃりゃサンポ

近現代の建築と一日八千歩の散歩の忘備録。美味しいご飯と音楽と。
東京都全域を徒歩で塗り潰す計画進行中。

群馬建築散歩=舘林編

2024年03月02日 | たびたび旅
上毛かるたの「鶴舞うかたちの群馬県」という札は群馬県民でなくとも聞いたことが多いと思います。
今回はその鶴の頭の部分である館林市と、鶴の首の付け根になる太田市の有名建築を一人で巡って来ました。まずは初日の行程から。

久喜から東武伊勢崎線で利根川を越えれば群馬県。この辺り(羽生市上川俣)で会の川を締め切るところから利根川東遷工事が始まりました。

下車したのは群馬県に入って2つ目の茂林寺前駅。タヌキの置物がお出迎えしてくれるのはここが民話の「文福茶釜」の舞台となった茂林寺の最寄り駅だからです。

駅から茂林寺までは歩いて10分足らず。文福茶釜のストーリーが15枚のイラストが数十メートルおきに掲示されていて楽しく読みながら目的地に向かえます。

参道から総門を抜けると中門前の両側に21体のタヌキ像がお出迎え。

応仁の乱の翌年(1468年)に建立され江戸の享保年間に改修されて現在に至る、と公式サイトには記されています。

境内には至る所に信楽焼のタヌキが。偶然ですが来月、信楽に行く予定です。

茂林寺にはもうひとつ、日本遺産の構成要素になった舘林の里沼のひとつ、「茂林寺沼及び低地湿原」があります。

湿原には木道が整備されていて30分ほどで回って来られるのですが、この日は8mを超える強風、瞬間最大風速25mということで奥まで行くのは諦めました。
そもそも予定では伊勢崎線で館林駅で降りて、そこでレンタサイクルを借りて少し離れた茂林寺と舘林美術館を回るという計画でした。
しかし、この風の中、自転車は無理と判断して東武線を活用することにして予定を組み替えたのでした。

ということで舘林の一つ手前の茂林寺駅から、館林駅のひとつ先の多々良駅へ。1日の乗降者数500人。伊勢崎線の駅で2番目に少ない数値です。
このクラスの駅になると「駅前に何もない」と言えば誇張でも何でもなく本当に何もありません。駅の目の前に太陽光発電パネルが広がっていたりします。

しかし多々良駅から田んぼの中を20分歩いて行くとそこには群馬県立舘林美術館があるのでした。

それまで高崎の近代美術館しか県立の美術館がなかった群馬県が多々良沼の畔の田園地帯の中に2001年にオープンした新しい美術館。
設計は第一工房。こちらは写真も多いので後で記事にまとめます。

舘林美術館からはローカルな循環バスで館林駅に戻る予定でしたが間に合わずタクシーで館林駅に。風がなければ自転車で移動する程度(4km)の距離です。
知らなかったけど舘林はカルピスと日清製粉の街でした。

舘林のお目当て2つ目は菊竹清訓の旧舘林市役所。2023年度に16件追加されたDOCOMOMO「日本におけるモダン・ムーブメントの建築」のひとつ。

現在は館林市民センターとしてお年寄りの集会場として使われています。入り口は中二階にあってそこから渡り廊下で1階と2階に。ここも別記事に。

江戸以前から度々の繁栄を迎えた舘林市街地。1.2km離れた館林駅と舘林城址の間には有名無名いろいろ面白い建物が見られます。

松の湯は2015年に廃業した銭湯ですが、建物自体は手入れが行き届いていてとてもきれい。玄関前の飾り松も営業時の写真と変わりありません。

舘林城跡へ。かつては城沼を堀とた広大な縄張りでしたが明治後期に上毛モスリンに土地が売却された後は繊維工場用地としてほぼ全ての遺構が消滅してしまいました。
ここはかすかに残る本丸土塁の裏手。吹き飛ばされる噴水の水でこの日の強風を想像してみてください。

縄張りだったところは館林市役所、県立舘林女子高など県関係の施設になりました。こちらの向井千秋記念こども科学館もさきほどの本丸土塁のすぐ横です。

1991年桂設計。建てられた3年後に舘林出身の向井千秋さんが宇宙に行ったことでその名を冠するようになりました。

現在の舘林市役所。1982年。こちらも桂設計。なかなかよくできた庁舎ですが舘林市役所で検索しても菊竹清訓の旧庁舎ばかりがヒットします。

館林市第二資料館としてこちらの旧上毛モスリン事務所の洋館と田山花袋旧居が移築保存されています。

ちょっと足を伸ばして城沼。南側がつつじヶ丘公園として憩いの場所となっています。

かつて館山城の堀であった運河もわずかに残っています。

館林市立図書館。日建設計(1974)

舘林文化会館。日建設計(1974) 主だった市の施設が城跡にあり、1km離れた鉄道の駅周辺に別の繁華街があるという地方都市あるあるの街でした。

館林市内の移動マップ。全部で20kmほどの行程でした。茂林寺駅から多々良駅を伊勢崎線、舘林美術館から舘林駅がタクシーです。手段としては正解だったかな。

宿泊は城跡近くの舘林グランドホテル。渋い昭和感満載。一人旅ならこういう部屋が一番落ち着きます。布団ラブ。ビジネスホテルの草臥れたベッドが一番苦手です。
素泊まり4,500円。大浴場は男性用しかありません。さすが昭和の不適切。
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