美術館にアートを贈る会

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サポート会員特別プログラム『藤本由紀夫さんのアトリエ訪問』(5/8) 報告

2022-05-13 06:41:13 | Weblog

サポート会員限定特別プログラム
『サウンドアーティスト 藤本由紀夫さんのアトリエ訪問』(要旨)

日時:2022年5月8日(日)13:00〜15:00
場所:藤本由紀夫アトリエ
参加者:13名(事務局関係者含めて)

藤本由紀夫さん(以下、藤本さん)が2008年から入居されている高砂ビル(神戸市)のアトリエを訪ねました。4階にあるアトリエに入ると、何やら音があちこちから聞こえてきて別空間に迷い込んだようです。

ビルは神戸の旧居留地に位置しています。周りの建物は1995年の阪神淡路大震災で大きく被災したので新しいビルばかりですが、このビルは軽微な被災で済み、ほぼそのまま残った貴重なビルです。
1949年に建設されたこのビルはオーナービルで、現在のオーナーは3代目でジャズプレイヤーとのこと。音楽スタジオやダンススタジオ、ギャラリーも擁する芸術支援ビルになっています。

また映画「アウトレイジ」(北野武監督)の撮影場所にもなり、いまもその部屋が一般公開されているので案内してくださいました。部屋の正面には神棚が鎮座し、リアルに撮影現場を想像することができました。

 

さて、アトリエの部屋に戻って、まずは椅子のお話から始まりました。
リートフェルトの「ステルトマン・チェア」は、公開されている図面を見てご自分で制作されたとのこと。実際に座ってみると、背中が痛くもなく、座ったまま90度動けるのがとても楽な椅子でした。

このほかにも、ジオ・ポンティの「スーパーレジェーラ」は女性でも小指一本で持ち上げられるという軽さを体験しました。他にもたくさん椅子があり、実際に座って、座り心地を体感し「もう立ち上がりたくない」「腰が痛くない」といった声があがりました。何事も見ただけではわからない、実際に触れてみて、作って使ってみての気づきの大切さを改めて感じました。

部屋の壁にかかっていたのは、マルセル・デュシャンの「泉」を模した、紙で作られた作品です。これは、2017年に京都国立近代美術館で開催された「百年の《泉》—便器が芸術になるとき」展に出品したときのもの。小便器の後ろ側から見た形が仏像に見えたことから新たな魅力を発見し、便器を合わせ鏡で写した写真作品も発表されました。


 

オルゴールのゼンマイ動力を生かして、ガラスのチューブがゆっくりと周り、その中にあるものが動くと音が出る作品もたくさんありました。ゆっくりと回るので、中のものがどう動くかによって微細な音がこぼれ出します。
紙袋がクニュクニュ動く作品も面白いものでした。赤い袋の中に、オルゴールを巻いて入れると、中で勝手に動くので、まるで紙袋の中に何かがいるように見えます。

ユニオンという会社からの依頼で制作したカレンダーがユニークでした。数字がまったく書かれていなくて、枠のみしかありません。これは全国カレンダー展で審査員特別賞を受賞されたそうです。

藤本さんから「今日は皆さんにお願いがあります。お誕生日を1人ずつ好きな色で塗ってください」と言われ、皆、自分の誕生日を嬉々として塗り始めました。同じ日の場合は上に塗り重ねていいそうです。楽しい参加体験ができました。一年後の完成発表が楽しみです。

 

 藤本さんは音のアーティストという括りでは収まらない美術家ですね。貴重なお話をたくさんありがとうございました。

 今回は初めてのサポート会員限定特別プログラムです。アートだけでなく、建築にも造詣が深い会員もおられて、会をいったん締めたあとも熱心に話し込んでおられました。やはり対面での交流は大事ですね。次回のプログラムもお楽しみに。

以上


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