美術館にアートを贈る会

アートが大好きな私たちは、
市民と美術館の新しい関係の構築をめざしています。

トークセッション『20年の活動、ぜんぶ見せます』10月19日のご案内

2024-09-20 10:51:59 | Weblog

トークセッション『20年の活動、ぜんぶ見せます』

美術館にアートを贈る会は、200410月に発足し、今年で20年を迎えます。
寄贈プロジェクトを中心に、それに付随したさまざまな活動を実施してきました。
現在、20年ヒストリーとして、WEB上にデジタル冊子としてまとめようとしています。
トークセッションでは、これまでの20年の活動をパワーポイント資料で追いながら、立ち上げの一人である八木光惠が、副理事長の加藤義夫のナビゲーションのもと、参加者とともに20年の活動を振り返り、デジタル冊子の編集作業の一環として開催いたします。

サポート会員、美術館関係者、一般美術愛好者はもちろん、初めての方も大歓迎です。
幅広い方々にご参加いただき、忌憚のない意見交換を行い、次の展開への道筋を見つけたいと考えています。

ぜひご参加くださいますようお願い申し上げます。


日時:20241019日(土)15:0017:00(開場 14:55

内容:『20年の活動、ぜんぶ見せます』
     スピーカー:八木光惠(当会発起人、アートコートギャラリー代表)
     ナビゲーター:加藤義夫(当会副理事長、宝塚市立文化芸術センター館長)

会場:ナレッジサロン プロジェクトルームCD
    530-0011大阪市北区大深町31 グランフロント大阪 北館7
    *北3エレベータで7階にお越しください。 
     アクセス  https://kc-i.jp/access/guide-04/
    *ナレッジサロン受付でお名前をお伝えください。
     事前にお名前を登録しますので事務局まで事前申込をよろしくお願いします。

参加費:無料 
定員:24名(定員厳守になっています)
参加申込:1015日までに事務局メールアドレスにお申し込みください。

美術館にアートを贈る会 事務局 
info@art-okuru.org

*後期予定
総会・講演会・懇親会 1130日(土)17時以降
大山崎ツアー(準備中)
美術館訪問(準備中)


寄贈作品《深韻ー水の系譜<霧雨>五》(児玉靖枝)が兵庫県立美術館で展示されています

2024-08-22 09:47:54 | Weblog

2017年に当会より兵庫県立美術館に寄贈した作品の1点が、下記展覧会で展示されています。

2024コレクション展Ⅱ
わたしのいる場所ーコレクションから「女性」特集!
@兵庫県立美術館
2024年8月20日〜12月8日

https://www.artm.pref.hyogo.jp/exhibition/j_2408/index.html

テーマは6つに分かれていて、その中の「風景」のコーナーに展示されています。
児玉靖枝作品《深韻ー水の系譜<霧雨>五》。

彼女の勤務先である京都の大学近くの雑木林が描かれています。

「冬の雨の日、あたり一面がみるみるうちに深い霧に覆われて、重なる枝枝が溶けてゆき、視界が閉ざされてしまったのですが、雨や霧によって空間が満たされて、身体が世界から孤立する感覚と同時に世界に包み込まれる感覚に心地よさを覚えました。」(児玉靖枝「水語り」より)

 

久しぶりに美術館空間で作品を拝見し、その雑木林体験を共有するかのように風景に吸い込まれました。
コレクション展は無料の日もあるのでそれを活用していくのもいいですね。ぜひご覧ください。
こうして寄贈した作品が多くの人に見てもらえるのは光栄で嬉しいです。


大阪市立東洋陶磁美術館訪問(2024.6.30) 記録(要旨)

2024-07-27 11:30:29 | Weblog

日時:2024年6月30日(日)13:00〜14:15
会場:大阪市立東洋陶磁美術館 地下講堂
講師:大阪市立東洋陶磁美術館 学芸課長代理 小林 仁氏
参加者: 13名

 

 “美術館にアートを贈る会”では、美術館をより身近に引き寄せる活動の一環として、定期的に美術館を訪問し関係者にお話を伺っています。

 今回は、2年間の改修工事を経て、2024年4月13日にリニューアルオープンした大阪市立東洋陶磁美術館を訪問し、リニューアルのポイントを中心に、中国陶磁史の研究をされている同館の学芸課長代理の小林仁さんにお話を伺いました。
 1924年(大正12)の古地図から話は始まり、同美術館の成り立ちやリニューアルのポイント、そして館として何を大事にされているのかをエピソードも交えながらわかりやすくお話いただきました。
(ポイントのみ記録させていただきます)

<東洋陶磁美術館について>

コレクション

 大阪市立東洋陶磁美術館は、1982年(昭和57)11月に開館した美術館で、現在、所蔵品は約6000 件弱で国宝2件と重要文化財13件を含んでいる。
 安宅産業が収集したコレクション、中国陶磁144件と韓国陶磁793件、計約1000件のコレクションが中心になっている。その収集を推し進めたのが、会長であった安宅英一(1901〜1994)氏であり、安宅英一氏の美意識と徹底した眼により形成されたコレクションである。

 1977年(昭和52)に安宅産業の経営破綻によってコレクションが散逸しないように、安宅コレクションのメインバンクであった住友銀行をはじめ、当時21社あった住友グループが安宅コレクションを大阪市に寄贈して、そのための施設として建てられたのがこの東洋陶磁美術館である。

 その後、李秉昌(イ・ビョンチャン)博士から韓国陶磁301件と中国陶磁50件、計約351件のコレクションを寄贈いただいた。李秉昌博士は外交官として来日し、その後経済学博士号を取得し、さらに事業を起こされたりしているなかで、母国の陶磁器に出会い収集を始めた。作品だけでなく、韓国陶磁研究の振興のための原資として、東京の元麻布の土地・家屋も寄付された。


<リニューアルについて>

  • リニューアル期間

 2022年(令和4)2月から改修工事のために2年間の休館に入った。この年は当館40周年の年でもあり、休館中を利用して、泉屋博古館東京での特別展「大阪市立東洋陶磁美術館・安宅コレクション名品選101 」、九州国立博物館での特別展「憧れの東洋陶磁—大阪市立東洋陶磁美術館の至宝」で、館外でのコレクション展を開催した。さらに姉妹館である台北の國立故宮博物院では「閑情四事―挿花・焚香・掛画・喫茶」展で国宝・重要文化財など21件を展示した。

  • 自然採光展示室

 当館の展示の特色は、陶磁器(以下修正してます)を歴史資料として見せるのではなく、あくまで陶磁器を美術品として理想的な状態で鑑賞していただく美術館としてのスタンスを取っている。

 展示の仕方についてはさかのぼれば安宅英一氏に行き着く。作品の選定から、置き方、間隔、向き、非常に細かく1ミリ単位でのディスプレイ、並べ方に心を配っている。それはすべて作品ひとつひとつをいかにより良く緊張感をもった状態で見せることができるか、ということにある。

 開館時、見所になったのが自然採光展示室。陶磁器全般がそうだが、とりわけ青磁は光の影響を受けやすい。

理想とされるのは、「秋の晴れた日の午前10時ごろ、北向きの部屋で、障子一枚隔てたほどの柔らかい陽の光」、これを実現したのが、自然採光展示室だった。

  • 免震装置

 陶磁器の展示で一番怖いのは、地震。阪神淡路大震災のあとに導入したのが、当館オリジナル仕様の免震装置だ。制振性能や耐震性能だけではなく、鑑賞面での配慮も兼ね備え、作品を展示する天板の厚さをできるだけ薄く、そして板とベースの板の隙間をできれるだけ狭くしてほしいというオーダーを出して、技術者がつくりあげた。

  • リニューアルの主なポイント

1)正面玄関〜エントランス空間

 もともとはタイル張りの堅固な印象の建物で、階段によるアプローチから入口に吸い込まれるような作りになっていたが、今回整備された中之島公園との一体感や開放感を考えてガラス張りのエントランスホールとなった。青銅製の館名板のある外壁の一部がホール内に取り込む形で、また所蔵品の文様モチーフをあしらったオリジナルの外灯も残し、新旧が良い形で融合している。

柱を使わず、その代わりに中央にある曲面の壁が構造体になっている。

エントランス北側にある椅子は陶芸作家・橋本知成の作品。陶磁器の美術館ということで、展示空間ではないエントランスに何か陶磁器を体感できるものをということで考え、座っても大丈夫という許可を得て、「椅子」として購入した。まずは陶磁器を体感してもらう、この体感ということが今回のひとつのキーワードである。実際には展示室では作品には触れないが、触った感じを想像しながら鑑賞をして欲しいという願いでもある。

2)照明を一新

 陶磁器の鑑賞において光の質はきわめて重要で、本来の色や質感がどれだけきちんと見えるかが大事である。そこで、美術品の鑑賞に一番ふさわしい最新の高演色紫色励起LEDを取り入れることにした。自然光(太陽光)の特性に最も近く、青磁や白磁など陶磁器の色合いや肌の質感をクリアかつリアルに味わえるようになった。

 国宝の油滴天目茶碗では、ケースの天井の中央に茶碗の内面だけを当てるライトのある専用の独立ケースを導入した。こちらにも紫色励起LEDを採用し、油滴天目茶碗が本来持つ、豊富な色のバリエーションや質感を理想的な環境で味わえるようになった。

 

3)13の展示室の意味

 陶磁器の釉薬の色にちなんだ13色の色分けをし、それぞれの部屋のカラーが決まった。また13の部屋には4文字熟語風にタイトルをつけ、それぞれの部屋がどういう意味合いをもつ部屋なのかをこの言葉に込めた。

 

4)国宝を触る模擬体験

 国宝の油滴天目茶碗を体感できる新たな仕掛けをつくった。アルミニウムでできた3D プリントの茶碗を実際に触ると、これがコントローラーになって目の前のモニターに写った油滴天目茶碗の高精細映像が連動して動き、国宝を実際に手で触っているかのような模擬体験ができるようになっている。

 

5)写真OK高精彩なデータをオープンデータ化

 当館ではコレクションにより親しんでもらうため、早くから館内の作品撮影をOKにしており、また高精細オープンデータ化にも取り組んでいる。

 

<これから>

 現代の作家と共働、共創した展覧会もこれまで開催している。すぐれた古美術(古陶磁)は今見てもどれも斬新で新鮮である。現代の作家との関わりによって、古いものの新たな魅力や面白さを発見し、その価値を高めていくことが、次世代に作品を継承していくことになるのではないかと考えている。

 今回の特別展は、「シン・東洋陶磁」という名前にしたが、「シン」には三つの意味を込めた。新しいという意味の「新」。真なる美の「真」、心を動かすの「心」。
 今回のリニューアルは単に外見を新しくするだけなく、原点というものを再認識して、伝統を引き継ぎながら、さらに時代に応じた変革もしていく、それが素晴らしい作品を守り、伝えていく我々の使命ではないかと思う。
 展示している作品は変わらないが、それらの見え方が少しでも新しくなり、また開館当初の展示の工夫に対して再発見していただき、少しでも心にささるものがあれば、それもリニューアル効果だと思う。
 一人でも多くの人が陶磁器の魅力を感じ、ファンになっていただければと願っている。

<事務局から>

 作品を鑑賞する理想的な空間への徹底したこだわりにびっくりしました。美術館での鑑賞に照明は欠かせないとは知っていましたが、ここまで追求されておられるのかと感心し、作品への深い愛情も感じました。美への追求執念は受け継がれているのですね。お話を伺ったあとで、展覧会を拝見すると、これまで何度も見てきた作品がぐっと近くなって違うように見えました。
 新しくできたカフェは、明るいガラス窓から公会堂や公園が見渡せて鑑賞前後の楽しみが増えました。
 貴重なお話をありがとうございました。  
                            (文責:美術館にアートを贈る会事務局)


6/30 東洋陶磁美術館訪問のご案内

2024-05-26 17:10:04 | Weblog

美術館にアートを贈る会では、美術館を多角的に深く学び、身近に引き寄せる活動の一環として、定期的に美術館を訪問し、お話を伺っています。
今回の美術館訪問は、2年間の改修工事を終え、2024年4月にリニューアルオープンした大阪市立東洋陶磁美術館です。

現在は、リニューアルオープン記念特別展「シン・東洋陶磁ーMOCOコレクション」が開催中で、東洋陶磁美術館のコレクションの真髄を鑑賞できる満足感たっぷりの展覧会です。
https://www.moco.or.jp/exhibition/current/?e=596

訪問のハイライト、当日特別にお話しくださいますのは、中国陶磁史の研究家で曜変天目にもたいへん詳しい同館の小林仁さんです。

エントランスホールの増改築をはじめ、展示ケースの改修やLED照明の更新など展示環境の整備、そして国宝「油滴天目茶碗」専用の独立ケースの導入など、リニューアルで生まれ変わったところも注目です。
展覧会の見どころやリニューアルのポイントをはじめ、当会の活動主旨でもある同時代作家との関わりについてもお話いただきます。当会の美術館訪問でしか聞けない話が満載です。

ご参加申込みをお待ちしています。よろしくお願い申し上げます。



■日時   2024年月6月30日(日) 12時50分 1階エントランス北側で集合
     (先に展示をご覧になる方は各自チケットを購入し、
      再入館を事前に受付にお知らせのうえ、ご入館ください。地下講堂へは展示室を通るためです。)

■訪問先  大阪市立東洋陶磁美術館 
      〒530-0005 大阪市北区中之島1-1-26(大阪市中央公会堂東側)
      https://www.moco.or.jp/guide/access/

■予定   13時〜14時 お話@地下講堂 学芸課長代理 小林 仁氏     
      ・今回のリニューアルのポイント
      ・東洋陶磁美術館の成り立ちと歴史
      ・特別展の出品作品の見どころ
      ・同時代作家との取り組みのこれまでとこれから

      ※11時と14時に、展示会場では定例のボランティアによるガイドツアーがあります。
       これは自由にご参加いただけます。     
      
■参加費  美術館入館料(各自ご購入ください)
      一般1,600(1,400)円、高校生・大学生800(700)円
      ※( )内は20名以上の団体料金
      ※中学生以下、障がい者手帳などをお持ちの方(介護者1名を含む)、
       大阪市内在住の65歳以上の方(要証明)は無料

■参加申込 6月23日までに事務局のメールアドレスにお申し込みください。
      info@art-okuru.org (美術館にアートを贈る会事務局 )


5/24 Super Studio Kitakagaya(SSK)訪問のご案内

2024-04-27 17:36:04 | Weblog

新年度最初のサポート会員特別プログラのご案内を差し上げます。

(今回のスタジオ訪問はサポート会員対象ですが、この機会にサポート会員にお申し込みいただけます。ぜひご参加ください。)

今回は新進気鋭の若手から中堅のアーティストの共同スタジオSuper Studio Kitakagaya(SSK)を訪問します。共同スタジオの概要説明を受けたあと作家スタジオ訪問を行います。

SSKは北加賀屋を中心にアートによる地区開発を進めておられる千島土地株式会社を母体とする一般財団法人おおさか創造千島財団が運営する共同スタジオです。

「アート」という言葉が一般的なものになっている一方でアーティストやクリエイターの制作環境は、個人に大きく依存しているのが現状です。展覧会など成果発表の機会への支援はあるものの、クリエイションが生まれる場づくりへの支援は手薄です。SSKでは、アーティストやクリエイターがよりよいものを生み出していくために「つくりつづけることができる」環境が提供され、創造活動が多面的にサポートされています。

現在、16名の作家が在籍されています。今回の訪問時に在室予定の作家さんは下記の通りです。全員のお話を聞くことは難しいと思いますが、作家の制作現場で作品制作の実情を聞くことができる貴重な機会となります。奮ってご参加ください。

ご参加のほど、よろしくお願いいたします。

<Super Studio Kitakagaya 訪問詳細>
1)日時:2024年5月24日(金)14:00-16:00 (現地集合)
2)場所:Super Studio Kitakagaya(SSK)
   〒559-0011 大阪市住之江区北加賀屋5-4-64
3)アクセス:Osaka Metro四つ橋線/北加賀屋駅4号出口より徒歩10分
         https://ssk-chishima.info/access/
4)参加費:無料
5)在室予定作家リスト
  大崎のぶゆき(https://ssk-chishima.info/whos_in/nobuyukiosaki/)
  葭村太一(https://ssk-chishima.info/whos_in/taichiyoshimura/)
  大槻智央(https://ssk-chishima.info/whos_in/chihirootsuki/)
  冬木遼太郎(https://ssk-chishima.info/whos_in/ryotarofuyuki/)
  品川美香(https://ssk-chishima.info/whos_in/mikashinagawa/)
  谷原菜摘子(https://ssk-chishima.info/whos_in/natsukotanihara/)

6)参加申込:美術館にアートを贈る会事務局(info@art-okuru.org)まで、5月17日(金)までにお申し込みください。なお、サポート会員とスタジオ訪問参加申込を同時にお申し込みいただくことも可能です。



新年度スタート。サポート会員募集中です。

2024-04-22 11:49:19 | Weblog

4月より新年度をスタートさせました。

当会は2004年に発足し、今年で20年目を迎えます。
そこで、本年度のテーマを『20年の活動を検証し、次に向かう』とし、年間プログラムを準備しています。
当会の副理事長、加藤義夫さん(宝塚市立文化芸術センター・館長)と一緒に、当会発起人をはじめ、これまでの活動に関わった学芸員、作家とのトークセッション3回を開催し、20年の活動を振り返り、記録史作成につなげ、次のプロジェクトに展開します。

これまで6回の寄贈プロジェクトを柱に、美術館訪問や作家のアトリエ訪問も実施しています。
美術館のコレクションに市民が関わることによって公立美術館をより近づける活動を中心に、美術を深く楽しく理解し愛する活動を続けています。

サポート会員特別プログラムも下記の通り、計画しております。
これからも皆さまと一緒に活動に取り組んでまいりますので、サポート会員へのご入会をぜひご検討くださいますようお願い申し上げます。

2024年度活動プラン
*サポート会員特別プログラム
1)Super Studio Kitakagaya 訪問
   (5月後半を予定。近日中に詳細をご案内します)
    https://ssk-chishima.info
2)作家スタジオ訪問(準備中・近日中に詳細発表)

*全会員プログラム
1)トークセッション with 加藤義夫さん『20 年の活動を検証し、次に向かう』Vol.1発起人、Vol.2学芸員、Vol.3作家)
2)美術館訪問 
3)総会・講演会

 

[ サポート会員について ]

●特典
1. 会員限定の特別プログラムへご招待
2. 当会主催の交流会(パーティ)へご招待
3. プログラムの優先参加あるいは会員価格による参加
4. プロジェクトの詳細と進捗状況のお知らせ
5. メールによるプログラム案内の送付
6. 活動支援団体(個人)として印刷物などに掲載

●期間
毎年4月1日~次年3月31日(途中退会の場合も会費の返金は致しません)

●会費
個人会員:一口 10,000円
法人会員:一口 50,000円

●入会方法
お手数ですが、下記の内容をinfo@art-okuru.orgまで送信し、年会費を下記口座までご入金ください。

件名:サポート会員に申し込みます。
以下、本文内容です。

個人・法人の口数:
お名前:
郵便番号:
ご住所:
電話番号:

ご送金は下記までお願い致します。
振込口座:三菱UFJ銀行 出町支店 普通 0873184
名義:美術館にアートを贈る会

万一、入金後、1週間以上、入会受付済みメールが届かなかった場合は、お手数ですが、再度、問い合わせのメールを送ってください。
ご記入されました情報は、美術館にアートを贈る会の活動のご案内を差し上げるときにのみ使用いたします。
尚、書面による請求書等が必要な場合は、事務局までご連絡ください。

●会費について
サポート会員の会費は、会の維持として基礎的活動(作家・作品のリサーチ、 美術館のリサーチ、講演会・見学会開催のための準備など) のための重要な財源となっております。
寄贈プロジェクトの募金はすべて寄贈のために使われることから、 このサポート会費が会の維持に欠かせません。
本年度も皆さまと一緒に活動に取り組んでまいりますので、 ぜひ活動を支えてくださいますよう、何卒よろしくお願い申し上げます。

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市立伊丹ミュージアム訪問(2024.2.11) レポート

2024-02-21 17:24:36 | Weblog

美術館にアートを贈る会
市立伊丹ミュージアム訪問 レポート

日時:2024年2月11日(日)11:00〜12:00(ランチは別会場で12:15〜13:15)
会場:市立伊丹ミュージアム 展示室
参加者:12名

“美術館にアートを贈る会”では、美術館や美術を楽しむ活動の一環として、定期的に美術館を訪問し、館長や学芸員、作家のお話を伺っています。
今回は、牡丹靖佳「月にのぼり、地にもぐる」展が開催中の市立伊丹ミュージアムを訪問し、美術館では初個展の作家・牡丹靖佳さんご自身に展示会場をご案内いただきました。


高校卒業後19歳で渡米し、ニューヨークで絵画を学び9年後に日本に戻ったときに衝撃を受け、いままで当たり前に思っていた日本美術の面白さに目覚めたとのこと。その最初の作品が《フウア=シュシュ》。上下の絵に西洋と東洋が入りまじります。ここから第1章「はじまりの旅」展示が始まりました。

絵本『たまのりひめ』『おうさまのおひっこし』『たびする木馬』の原画も展示され、筆致や色合いが印刷とはひとあじ違う絵画の世界を楽しみました。牡丹さんの物語には不思議な世界が広がっているので、大人も楽しめる内容です。
第2章「森をさまよう」第3章「移ろいゆくもの」、そして地下の第4章「色と形の物語」へと続きます。

地下の展示室には、ミュージアム所蔵のエミール=アントワーヌ・ブールデルの彫像《剣を持つ兵士》が常時展示されていてそれを見た牡丹さんはなぜか可愛く見えたそうで、剣を花束に変えて二枚の物語が生み出されています。

最後の部屋には、新作の《兎月夜》。幅約6メートル、高さ約2.5メートルの大作です。表に見える世界と奥の世界が行ったり来たりして、見れば見るほど発見があって時間を忘れそうになります。

《兎月夜》

鑑賞後は牡丹靖佳さんを囲んだランチ会を開催。ニューヨークでの怖かったエピソードやペルーでのお話などで盛り上がり、参加者の皆さんと和やかな時間を過ごすことができました。
時間構成が少し駆け足になりましたが、牡丹さんの気取らない優しいトークで作品世界との共鳴が感じられ、作品理解が進みました。ありがとうございました。

 

(補足:地下の展示室へ降りる階段室には、2013年に当会が寄贈した今村源《シダとなる・イタミ2013》が常設展示されていて皆さんに鑑賞していただくことができました。)

《シダとなる・イタミ2013》


姫路市立美術館訪問(2023.11.12) 記録(要旨)

2024-02-04 12:02:43 | Weblog

美術館訪問シリーズ

日時:2023年11月12日(日)10:30〜12:30
場所:姫路市立美術館 講義室、展示室
参加者:10名

 

*講演「姫路市立美術館はいま」

 講師:館長 不動美里氏  学芸員 二宮洋輔氏

姫路市立美術館は2023年(令和5年)は開館40周年を迎え、また姫路城も世界文化遺産に登録されて10周年という二つの周年が重なる年である。
今日は、姫路市立美術館がいまどういう課題に向き合って何をしようとしているのかについてお話したい。

ーコレクションについてー

現在、約5000点の作品を所蔵している。

収集方針

 1)郷土ゆかりの美術家の優れた作品および郷土の歴史・風物などに関する美術作品 
 2)日本の近現代美術
 3)ベルギーなどの海外の近現代美術。

日本の美術館は、90年代からバブル崩壊以降受難の時代を迎えていて、コレクションの購入予算が多くの館で削られたり、あるいは凍結された状況があり、苦しい時代をなんとか生き抜いていこうという各館の取り組みが現在もさまざまな形で行われている。
当館も、10年前に着任した際にはコレクション購入予算の凍結があり、それをなんとか打開して購入を再開するのが、私の最大のミッションだった。美術館は市民の宝物で、いまだけのことではなくて、未来永劫にこの美術館の存在が市民の暮らしにお役に立つことをどうすれば実感していただけるのか、と考え地道に努力を重ねた結果、着任の翌年には購入を再開しても良しとなった。

—美術館の歴史—

さらに、より良い美術館に発展させ、さまざまな課題を乗り切るためにまず考えたのは、美術館の歴史だった。

この美術館は世界遺産の敷地の中にあり、この建物自体が国の登録有形文化財。さらにここは日本陸軍の武器庫だった。そういういわゆる負の歴史も美術にとっての非常に需要な歴史の糧であり、そのことを自覚した美術館でなくてはいけない、と考えた、つまり、美術館の歴史は、40年ではなくて1905年(明治38年)に武器庫が建ったときから100年以上の歴史がある。市役所の時代もあり、そして美術館として残そうという選択をしてきた中での美術館。これこそ美術館にとっての大きな宝物と考えた。国の歴史的景観に寄与する建物であり、姫路城と一体として評価された文化財であるのがこの美術館、という自覚を美術館が持つことにした。

—美術館の基本理念—

多くの市民のみなさんの願いに応じて1983年(昭和58年)にできた美術館の基本理念をいまの私たちの視点で確認するという作業をした。

4つのポイントが示されている。

 1 多くの名品を所蔵して、常時展示する
 2 国内外の優れた作品による美術展を企画し開催する
 3 上記の実現のための地道な調査研究活動を行う
 4 新しい美術動向を先取りし、今後の展開を図る

4番目のポイントが40年前にすでに謳われていたことは大きな勇気を与えてくれた。着任当時、姫路では現代美術は難しいとされ、実際にコレクションの中でも、コンテンポラリー、同時代の作品については数が少なかった。それをどうやって取り込んでいったらいいかと考えた結果、「オールひめじ・アーツ&ライフ・プロジェクト」に結実した。

—法制面の変化—

その前提となる、我々の置かれている状況を法制面から、簡単に説明する。

従来、文化行政は「保存と活用」という二つの取り組みがあった。保存とは、一定の温度湿度を保つ、光を当てない、衝撃を与えないなど、ものとしての美術作品をいかに後世に継承していくかというための取り組みである。一方で、活用は実際に展示をして見てもらう。それに付随して、いろいろなリスクが出てくる。空間に移動するだけで物理的な衝撃のリスクもあるし、見るための光を当てることによるダメージなどがある。

保存と活用は相反するような面もあって、これまでいかにバランスをとるか、またどちらかというと、保存の方に比重が置かれた取り組みがこれまで主流であった。ただ近年、それでは人々にその価値がアピールできない、共有されないまま行われる保存というのが、本当に社会に周知されない状態で持続可能なのか、というような問題意識が出てきた。それに応じて、ここ数年法律の制度改正などが重ねられてきている。

2001年(平成13年)にできた「文化芸術振興基本法」は、2017年(平成29年)に、「文化芸術基本法」に改正施行された。このポイントは、改めて文化芸術の価値「本質的価値、社会的価値、経済的価値」というものが定義された点である。

本質的価値は文化芸術そのものがもつ本来的な価値である。社会的価値というのは、例えば、多様な価値を文化芸術が示すということで、ある種社会的包摂的な役割を果たす。異なる価値観を受け入れ合える社会の形成に寄与することがアートの可能性というところに関わってくるところである。経済的価値は、文化芸術が利益を生むものとして、社会の要請に応じつつ、観光をはじめとしたさまざまな分野と連携して相互的に文化芸術政策は展開されなければならない。
この三つの価値を発揮していくべしと法律で定められた。

これに続いて、2018年(平成30年)には文化財保護法が改正された。

保存と活用が単純な二項対立ではない。保存と活用はともに次世代に継承という目的を達成するために必要である。適切な保存のもとで行われる活用によって、文化財の大切さを多くの人々に伝えて理解をしてもらう、そのことが保存につながる。保存と活用がセットになって、保護になると整理されている。

この一連の大きな流れを受けて、2020年(令和2年)に施行された法律が、文化観光推進法である。文化観光が、文化についての理解を深めることを目的とする観光と定義されていて、文化芸術を観光の分野で活用して、本質的価値を伝えるとともに、社会的、経済的価値を生んでいく。そのための法律である。

この文化観光推進法に基づいて、当館の方で計画認定を受けたものが、「姫路市立美術館を中核とした文化観光推進拠点計画」である。
この文化観光推進法にもとづく計画としては、博物館施設単独で策定することはできず、必ず観光関係の事業者と連携をして、ともに取り組む計画でなければならない。当館の計画においては、書写山圓教寺、姫路城、これを姫路の二大文化拠点と位置付けて、その二大文化拠点をアートでつなぐハブ施設として姫路市立美術館が役割を果たすことにした。この二大拠点以外にも、さまざまな建築や歴史的な史料も市内には多数あり、それらをつなぐバスや路線で移動の利便性も高めながら、人々を実際に動かして経済を動かす。そのために神姫バス、神姫観光、山陽電鉄、姫路観光コンベンションビューローと連携をとっている。

美術館単独で、美術作品、美術家といった美術の専門とされる領域にだけ向き合っているだけでは美術館が持続可能な状況ではなくなって来た。美術本来の力、アーティストがもっている生きる力そのものを創出していくような、あらゆる万人にとって大切なそういう要素を、いかに美術館が守り育て発信していけるか、ということがますます重要になってくる。観光が先か、経済が先か、文化が先か、ではなくて、全部が相乗効果をもつような関係をもつので、美術館が文化の力と美術の力そのもののパワーを、みなさんに伝えていくことがなおさらいままで以上に重要になってくる。

—5人の招聘作家—

姫路がもっている歴史と伝統と自然環境、そしてさまざまな独自の地域文化、それらの文化的な糧と接点のもてる、それに関心をもってくれるアーティストを選び抜いて、5人のアーティストにお声がけした。

2021年(令和3)年から4年間という期間という中で、毎年、一人のアーティストが姫路に向き合い、美術館と書写山園教寺を拠点に、そこで作家のスタイルに応じて、その歴史ある文化財を現代のアーティストの視点で掘り起こして、新たな価値を掘り起こしていく、そういう創造活動をしていただく。美術館という館内での個展、そして外では美術館の中ではできない活動、二つの中心をもって、姫路全体にその影響が浸透するような、そういう活動を積み重ねていこう、それが「オールひめじ・アーツ&ライフ・プロジェクト」である。

初年度が日比野克彦さん、二年目が杉本博司さん、今年がチームラボ、来年が隈研吾さん。中谷芙二子さんは、屋外の庭園というステージで3カ年をかけて三部作をつくっていただく。

—特色—

特色はフォーラムを年一回行うことである。1年目の日比野さんも、2年目の杉本さんも、展示が終わったアーティストではなくて、このプロジェクトの4年の間、姫路と縁のあるコアアーティストとして、姫路のことをいつも気にかけてくださいとお願いした。姫路で生み出された作家の作品や創作のムーブメントはずっと続いていくものだという考え方から、4年間毎年姫路に集まっていただいて(オンラインもあり)、いまその作家が大切に考えていること、いま一番姫路の市民に伝えたいことを発表していただくアーティストステイトメントを発信していただく、そういうことを年1回お願いする、というのがプロジェクトの特色である。

—日比野克彦さんとの出会いー

私がこの美術館に来た10年前は、現代美術は難しい、という先入観が根強い中で、その突破口を考えあぐねていたときに、新しく来た私に友の会さんが「誰か呼んで美術講座をしたい」と声をかけてくださった。それなら「日比野さんを呼びませんか」と推薦したら、日比野さんもふたつ返事でいいよと来てくださった。

2013年(平成25年)に「アートの種まき」と題して2時間の講演とワークショップをしてもらった。それが、日比野さんが2003年(平成15年)からライフワークでされている「明後日朝顔プロジェクト」だった。心をこめて収穫し育てた朝顔の種を、他の地域でも育て、種の交換や地域同士のつながりそのものをアートプロジェクトにしている。世の中の価値観を変えていく草の根運動のようなアートプロジェクトである。そこに参加していた小学校の先生が感動して、授業でそれに取り組み始め、それが姫路で根付いて浸透していたからこそ、このプロジェクトのトップバッターとして日比野克彦さんを迎えることができた。

—明後日朝顔プロジェクト-

明後日朝顔プロジェクトのメインの舞台となったのは書写山圓教寺の摩尼殿。二階からロープを100本たらして、下のプランターに朝顔の種を植えて育てるプロジェクトである。市内100団体ほどに配った種から自分たちで育てた苗を持ってきてみなで植え、さらに全国10カ所以上から集結した全国の明後日の種も一緒に植えた。
明後日朝顔プロジェクト以外にも、日比野さんは複数のプロジェクトを実施し、そのひとつが「TANeFUNe」。朝顔の種がまるで人の思いを運ぶ船のようだと日比野さんが着想して、種の形をした船をつくった。日比野さんのプロジェクトでは、アートが敷居が高いと思っているような人たちにも楽しんでもらえるようなプログラムを実施した。

日比野さんに限らず、アートプロジェクトは、そのときの一イベントに過ぎないと思われがちだが、実はそうではなくて、アートプロジェクトそのものがアートそのもの作品である。それをどのように、保存活用するかも美術館の大きな課題であり、チャレンジでもある。
今後どうなるのか担い手は市民なので、担い手次第である。そのようにこれを展開して、どのような形に終結していくのか、その記憶やそのコンセプトをどのように美術館として守り、またコレクション化していくのか、アーティストとともに、作品とともに、市民とともに育っていく、そういう性格をもっている。

美術館の中では日比野さんの個展を開催した。國富奎三コレクション室にあるマティスのジャズとコラボレーションして巨大な原初の洞窟をイメージしたインスタレーションを展示室内で作った。こうして日比野さんの新作が誕生。その主だった作品を昨年収蔵することができた。オールひめじ・アーツ&ライフ・プロジェクトの初年度の作家の成果として初めてコンテンポラリーの作家、しかも美術館で市民とともに生まれた誕生した作品がコレクションになった、という記念すべき作品である。

—杉本博司展 本歌取りー

2年目は杉本博司さんの年で、杉本さんは古美術にたいへん造形が深く、自身が大コレクター。杉本さんは、書写山円教寺の常行堂で作品を展開した。ここは普段は公開されていない、年に二回だけ公開される修行僧の修行の場である。このインスタレーションを行う際に、阿弥陀如来像はもともと壁にくっついていて、その背後にある壁画を誰も見ることができなかった。この杉本さんとのコラボレーション展覧会の機会に、この像を台座の中心に動かすという大事業も文化庁の許可を得て行うことができた。
展示室の中では、書写山圓教寺を開かれた性空上人像を山から下ろしてきて、美術館としては初めて展示した。この性空上人像の肖像写真を杉本さんが撮影して、それをその像の横に軸装された写真を展示。杉本さんの撮り下ろしの性空上人の肖像写真が誕生した。
渋谷の松濤美術館で開催中の「杉本博司、本歌取り東下り」では姫路で誕生した杉本さんのこれまでの杉本世界を結集する展覧会として、本歌取りという和歌の考え方を美術に取り入れ、姫路初のコンセプトが東京でさらにその続編が生まれている。

—チームラボ展—

当館では2019年度にチームラボ展を実施していて、それから4年経っての開催になる。展示の大きなポイントとしては、美術館がチームラボを扱うということは、チームラボをエンターテイメントやアトラクションでなく、一貫したコンセプトをもつアートとしてしっかりと見せることである。

チームラボのキーワードは二つある。
ひとつは超主観空間。超主観空間は身体性に対するチームラボの信念から生まれたもの。猪子さんの言葉にこうある。「人間とは、身体的に世界を認識している」。森を知るためには森について本を読むのでは不十分で、実際に中に入って森の音を聞いたり、匂いをかいだりというような五感を通じて初めて森が体の中に入ってくる。世の中はすべて身体を通すということが大事だ、という考え方である。
チームラボの作品は空間の中に周りを囲むように作品があって、その中を自由に歩いて作品を見てもらうようになっている。動いても、その作品の世界が一貫した秩序で感じ取られるようなものにならなければならない。そのためには、西洋的な遠近法は技法として採用できないことになる。
そこで彼らが注目したのが、東アジアの近代以前の空間。西洋的な空間とは違う空間の作り方である。たとえば絵巻物。こちらの視点は固定されているかもしれないが、巻いていくことで場面が展開する。時間も経過する。屏風は折れ曲がっていて綺麗な平面ではない。平面に対する視点が複数想定されている。
近代以前の東アジアの作品においては、奥行き感を作る上で、斜め上から俯瞰したような視点で見る。奥にあるものと手前にあるものが、遠近法では奥が小さくなるが、同じ大きさで描かれている。それにもかかわらず、そこに空間があるかのように感じている。
視点が移動しても作品が折れ曲がっていても手前と奥が同じ大きさでも、あたかもそこに空間があるかのように見える。まったく別の空間表現に着目して、そこに自分たちの独自の論理構造を組み入れたプロブラムによって、3次元でつくったデータを、プロジェクタやモニターで、平面に映す。これが超主観空間と呼んでいるものである。

もうひとつのキーワードはボーダレス。境界がないということで、世界のあらゆるものは連続して存在している。世界というのは自分とつながっている。これは展示室で体験してもらいたい。

*展示室「チームラボ 無限の連続の中の存在(後期)へ移動。

後期展示では持ち帰ることができる作品が二つある。

ひとつは《憑依する炎》。QR コードからアプリをダウンロードすると、展示している作品をスマホに持ち込むことができる。持ち帰ることもできて、その炎は他の人のスマホに移すことができる。

一番奥にある《Matter is Void》はNFTアートである。PCに誰でもダウンロードでき、言葉は書き換えることができ、所有されている作品がすべてその言葉に置き換わる。所有することの意味を問いかける作品である。

この他に《群蝶、儚い命》では、この空間に人がいないときには何も存在せず、人々が入ると群蝶が舞い、それに触れると消えていく。

《Dissipative Figures – 1000 Birds, Light in Dark》では、鳥の群れが世界に与えたエネルギーで、鳥の群れの存在を描いている。生命は生きていることでエネルギーを発散し、空気などの環境を動かしていく。生命という存在自体が、外の世界と明確に境界がない存在なのではないかという彼らの考えるボーダレスのひとつの到達点である。

*書写山円教寺

一部の参加者は円教寺へ移動。ロープウェイを降りてマイクロバスで大きく揺れながら摩尼殿へ到着。食堂には暗闇の中に二つの作品《質量のない太陽、歪んだ空間》《我々の中にある巨大火花》がある。瞑想に近い感覚があったと参加者の感想があった。

(文責・美術館にアートを贈る会事務局)

 

<事務局から>

公立美術館は市民とともにあることを、美術館の変遷や文化芸術を取り巻く変化のお話をお聞きしながら痛感しました。また美術館単体ではなく、特に姫路市立美術館の周辺には歴史ある文化施設が多数あることからそれらをつないで未来に伝えていく力強い「面の力」が必要な時代に入っていることも感じました。
芸術文化の保存と活用は、当会の活動主旨にもある美術館と市民をアート(アーティスト)でつなぎ引き寄せる活動とも相通じる部分があります。
2024年(令和6年)の隈研吾展も楽しみです。そして中谷芙二子さんの霧の彫刻の新作もまた体験したいです。貴重なお話と展示室での解説をありがとうございました。

以上

 


2/11 市立伊丹ミュージアム訪問「作家の牡丹靖佳さんといっしょに」

2024-01-17 10:39:41 | Weblog

松の内も明け、今年もよろしくお願い申し上げます。

2024年最初の美術館訪問は、作家の牡丹靖佳さんといっしょに見る牡丹展です。
牡丹靖佳展「月にのぼり、地にもぐる」が開催中の市立伊丹ミュージアム(兵庫)を訪問いたします。

市立伊丹ミュージアムは、柿衞文庫、市立美術館、市立工芸センター、市立伊丹郷町館の4つの施設に市立博物館の機能が移転し、2022年4月にリニューアルいたしました。
当会からは2014年に今村源《シダとなる・イタミ2013》を第4弾寄贈プロジェクトで寄贈しており、常設として作品を見ていただくことができます。

今回の美術館訪問では、美術館での初個展となる作家・牡丹靖佳さん自身にお話を伺いしながら、いっしょに作品鑑賞いたします。
その後、希望者のみ牡丹靖佳さんを囲んだランチ会を開催いたします。
ぜひご参加ください。参加お申し込みをお待ちしています。

■日時   
2024年2月11日(日•祝)11時 美術館チケット売り場前 集合

■訪問先
市立伊丹ミュージアム  
兵庫県伊丹市宮ノ前2-5-20
https://itami-im.jp

■予定   
11時 市立伊丹ミュージアム エントランス集合 
11時〜12時 牡丹靖佳展「月にのぼり、地にもぐる」を牡丹靖佳氏といっしょに鑑賞
https://itami-im.jp/exhibitions/%e7%89%a1%e4%b8%b9%e9%9d%96%e4%bd%b3%e5%b1%95/
       
その後、希望者はランチ会へ移動(ランチ会は限定10名まで)
12時15分〜(当初のご案内していた店から変更になりました。)
      創作洋風懐石 アンシャンテ
      https://c889400.gorp.jp   

■参加料 
 参加費:500円(サポート会員は無料)
 入館料:実費 (一般500円、大高生300円、中小生200円)
 ランチ:実費

■参加申込 
2月9日(金)までに、美術館ツアーのみ、もしくはランチ会までをご記入の上、事務局のメールアドレスにお申し込みください。
ランチ会もご参加希望の方は、予約の都合上、2月4日(日)までにお申込みください。

info@art-okuru.org (美術館にアートを贈る会事務局 )

 


年末のご挨拶

2023-12-28 17:10:01 | Weblog

今年も残り少なくなってまいりました。
日頃より当会の活動にご理解とご協力をいただき、ありがとうございます。

昨年4月にキックオフした第6弾寄贈プロジェクト「山村幸則さんの作品《芦屋体操第一・第二》を公立美術館に贈ろう!」は皆さまの力強いご支援のおかげで寄贈作品購入に必要な資金を揃えることができ、寄贈に向けて大きく一歩前進しました。引き続き応援を宜しくお願いいたします。

今年もいくつかの関西の美術館を訪問し、コレクションや企画展、美術動向などを館長や学芸員の方々からお話を伺うことができました。
活動記録はこのブログに掲載しております。
https://blog.goo.ne.jp/art-okuru

来年は当会は発足から20年を迎えます。
皆さまとともに、美術館と市民の新たな関係をアート(アーティスト)を通して提案する活動をさらに充実させてまいります。

皆さま、佳き新年をお迎えください。
来年もどうぞよろしくお願い申し上げます。

美術館にアートを贈る会
www.art-okuru.org