美術館にアートを贈る会・トークセッション
「20年の活動をせんぶ見せます」
(前半−2の続き)
後半は参加者も交えて、参加の感想や意見交換会になった。
時代背景の変化(八木)
- 経済がまた違う形で活発になってきている。最近では美術館は積極的に外からのお金を集めてくる手法が定着してきている。自分たちの予算以外に外からも集めてくる館もだんだん増えてきている。
- 私たちの活動も地道に地味に続けていく大事な活動だとは思っているが、寄付をうまくとりこむたくましさが増えてきていると思う。
- 大きな組織にしていたら、きっと続いていなかっただろう。よりより形があるのではないかと思いながらも、小さい地道な活動のままにしている。小さなお金とアートを応援しようという志がうまく合致すれば、それで美術館のコレクションをよりよくしていけるのではないかと考えた。
市民と美術館との交流の新しい場を提供した20年(加藤)
- 寄贈プロジェクトを通して、美術館に興味をもってもらったり、意識を高めてもらうことだと思う。継続は力なり。20年間続けてこられたのは、1口五千円という、いま財布に入っているお金で、美術館と関われたり、特に現代美術のアーティストと交流ができたり、アトリエまで行けたりとか、一生に一度も会わないかもしれない美術館の学芸員と会ったり、美術館の館長に講演してもらったりとか、美術館と市民が関わることができるメディアになっている。市民活動と芸術文化や美術館という日本の文化政策の中でのあり方を市民が理解して物申してもいいし、協力もできるという、いままでなかった交流の場を提供したのが20年かなと思う。
参加者からの意見や感想
- 第6弾寄贈プロジェクトで、自分が写真に登場したのは楽しかった。どういう姿勢をとればよいのかを作家さんが教えてくれたりして、そのプロセスが良い経験だった。
- 作家の創作の場は神秘的に思っていたが、アトリエ訪問で身近に感じることができた。
- 美術館には厚い壁があるが、館長や学芸員から美術館の裏側や悩みを直に聞けるのは価値がある。
- 収蔵庫が物理的にいっぱいになるとどうなるのか。
- 美術館には展覧会を見に行くものだと思っていたが、コレクションに関わるようになって美術館がもっと近くなった。
- 募金してそれで小さな美術館をスタートするのはどうか。古民家で小さな美術館を始める。作品を一点ずつ増やしていって、寄付者たち全員でつくっていくという達成感がある。
- 古民家は古民家の問題があって、クリアしないといけない問題はある。古くて魅力的な建物は、戦前のものが多い。建てられたときの記憶がつながっていっていない。古い建物の危機はそこにある。
- いま美術館がいちばん悩んでいる問題は修復。見せたいが見せられない、傷痛んでいてコンディションが悪いので、そのサポートを切実に感じている。新たに修復プロジェクトはどうだろうか。
- 第5弾寄贈プロジェクトの児玉靖枝さんの作品がいま兵庫県美のコレクション展で展示されている。友の会のメンバーはいつでも何回でも楽しめるのが嬉しい。今村源さんの作品も、伊丹ミュージアムでいつでも見られるのは嬉しい。
初めて参加の方からの感想
- 行政とのさまざまな折衝では、予算の取得、執行、その中でいろんな制約があるのを興味深く拝聴した。
- かなり難易度の高いプロジェクトを長年丁寧に続けられていることを知ることができ大変興味深く拝聴させて頂いた。
- みなさまの活動は市民とアートをつなぐオルタナティブな活動であることがよくわかった。
- 次のプロジェクトはどうやって始まるか?
(以上)