美術館にアートを贈る会

アートが大好きな私たちは、
市民と美術館の新しい関係の構築をめざしています。

トークセッション『20年の活動、ぜんぶ見せます』10月19日のご案内

2024-09-20 10:51:59 | Weblog

トークセッション『20年の活動、ぜんぶ見せます』

美術館にアートを贈る会は、200410月に発足し、今年で20年を迎えます。
寄贈プロジェクトを中心に、それに付随したさまざまな活動を実施してきました。
現在、20年ヒストリーとして、WEB上にデジタル冊子としてまとめようとしています。
トークセッションでは、これまでの20年の活動をパワーポイント資料で追いながら、立ち上げの一人である八木光惠が、副理事長の加藤義夫のナビゲーションのもと、参加者とともに20年の活動を振り返り、デジタル冊子の編集作業の一環として開催いたします。

サポート会員、美術館関係者、一般美術愛好者はもちろん、初めての方も大歓迎です。
幅広い方々にご参加いただき、忌憚のない意見交換を行い、次の展開への道筋を見つけたいと考えています。

ぜひご参加くださいますようお願い申し上げます。


日時:20241019日(土)15:0017:00(開場 14:55

内容:『20年の活動、ぜんぶ見せます』
     スピーカー:八木光惠(当会発起人、アートコートギャラリー代表)
     ナビゲーター:加藤義夫(当会副理事長、宝塚市立文化芸術センター館長)

会場:ナレッジサロン プロジェクトルームCD
    530-0011大阪市北区大深町31 グランフロント大阪 北館7
    *北3エレベータで7階にお越しください。 
     アクセス  https://kc-i.jp/access/guide-04/
    *ナレッジサロン受付でお名前をお伝えください。
     事前にお名前を登録しますので事務局まで事前申込をよろしくお願いします。

参加費:無料 
定員:24名(定員厳守になっています)
参加申込:1015日までに事務局メールアドレスにお申し込みください。

美術館にアートを贈る会 事務局 
info@art-okuru.org

*後期予定
総会・講演会・懇親会 1130日(土)17時以降
大山崎ツアー(準備中)
美術館訪問(準備中)


寄贈作品《深韻ー水の系譜<霧雨>五》(児玉靖枝)が兵庫県立美術館で展示されています

2024-08-22 09:47:54 | Weblog

2017年に当会より兵庫県立美術館に寄贈した作品の1点が、下記展覧会で展示されています。

2024コレクション展Ⅱ
わたしのいる場所ーコレクションから「女性」特集!
@兵庫県立美術館
2024年8月20日〜12月8日

https://www.artm.pref.hyogo.jp/exhibition/j_2408/index.html

テーマは6つに分かれていて、その中の「風景」のコーナーに展示されています。
児玉靖枝作品《深韻ー水の系譜<霧雨>五》。

彼女の勤務先である京都の大学近くの雑木林が描かれています。

「冬の雨の日、あたり一面がみるみるうちに深い霧に覆われて、重なる枝枝が溶けてゆき、視界が閉ざされてしまったのですが、雨や霧によって空間が満たされて、身体が世界から孤立する感覚と同時に世界に包み込まれる感覚に心地よさを覚えました。」(児玉靖枝「水語り」より)

 

久しぶりに美術館空間で作品を拝見し、その雑木林体験を共有するかのように風景に吸い込まれました。
コレクション展は無料の日もあるのでそれを活用していくのもいいですね。ぜひご覧ください。
こうして寄贈した作品が多くの人に見てもらえるのは光栄で嬉しいです。


大阪市立東洋陶磁美術館訪問(2024.6.30) 記録(要旨)

2024-07-27 11:30:29 | Weblog

日時:2024年6月30日(日)13:00〜14:15
会場:大阪市立東洋陶磁美術館 地下講堂
講師:大阪市立東洋陶磁美術館 学芸課長代理 小林 仁氏
参加者: 13名

 

 “美術館にアートを贈る会”では、美術館をより身近に引き寄せる活動の一環として、定期的に美術館を訪問し関係者にお話を伺っています。

 今回は、2年間の改修工事を経て、2024年4月13日にリニューアルオープンした大阪市立東洋陶磁美術館を訪問し、リニューアルのポイントを中心に、中国陶磁史の研究をされている同館の学芸課長代理の小林仁さんにお話を伺いました。
 1924年(大正12)の古地図から話は始まり、同美術館の成り立ちやリニューアルのポイント、そして館として何を大事にされているのかをエピソードも交えながらわかりやすくお話いただきました。
(ポイントのみ記録させていただきます)

<東洋陶磁美術館について>

コレクション

 大阪市立東洋陶磁美術館は、1982年(昭和57)11月に開館した美術館で、現在、所蔵品は約6000 件弱で国宝2件と重要文化財13件を含んでいる。
 安宅産業が収集したコレクション、中国陶磁144件と韓国陶磁793件、計約1000件のコレクションが中心になっている。その収集を推し進めたのが、会長であった安宅英一(1901〜1994)氏であり、安宅英一氏の美意識と徹底した眼により形成されたコレクションである。

 1977年(昭和52)に安宅産業の経営破綻によってコレクションが散逸しないように、安宅コレクションのメインバンクであった住友銀行をはじめ、当時21社あった住友グループが安宅コレクションを大阪市に寄贈して、そのための施設として建てられたのがこの東洋陶磁美術館である。

 その後、李秉昌(イ・ビョンチャン)博士から韓国陶磁301件と中国陶磁50件、計約351件のコレクションを寄贈いただいた。李秉昌博士は外交官として来日し、その後経済学博士号を取得し、さらに事業を起こされたりしているなかで、母国の陶磁器に出会い収集を始めた。作品だけでなく、韓国陶磁研究の振興のための原資として、東京の元麻布の土地・家屋も寄付された。


<リニューアルについて>

  • リニューアル期間

 2022年(令和4)2月から改修工事のために2年間の休館に入った。この年は当館40周年の年でもあり、休館中を利用して、泉屋博古館東京での特別展「大阪市立東洋陶磁美術館・安宅コレクション名品選101 」、九州国立博物館での特別展「憧れの東洋陶磁—大阪市立東洋陶磁美術館の至宝」で、館外でのコレクション展を開催した。さらに姉妹館である台北の國立故宮博物院では「閑情四事―挿花・焚香・掛画・喫茶」展で国宝・重要文化財など21件を展示した。

  • 自然採光展示室

 当館の展示の特色は、陶磁器(以下修正してます)を歴史資料として見せるのではなく、あくまで陶磁器を美術品として理想的な状態で鑑賞していただく美術館としてのスタンスを取っている。

 展示の仕方についてはさかのぼれば安宅英一氏に行き着く。作品の選定から、置き方、間隔、向き、非常に細かく1ミリ単位でのディスプレイ、並べ方に心を配っている。それはすべて作品ひとつひとつをいかにより良く緊張感をもった状態で見せることができるか、ということにある。

 開館時、見所になったのが自然採光展示室。陶磁器全般がそうだが、とりわけ青磁は光の影響を受けやすい。

理想とされるのは、「秋の晴れた日の午前10時ごろ、北向きの部屋で、障子一枚隔てたほどの柔らかい陽の光」、これを実現したのが、自然採光展示室だった。

  • 免震装置

 陶磁器の展示で一番怖いのは、地震。阪神淡路大震災のあとに導入したのが、当館オリジナル仕様の免震装置だ。制振性能や耐震性能だけではなく、鑑賞面での配慮も兼ね備え、作品を展示する天板の厚さをできるだけ薄く、そして板とベースの板の隙間をできれるだけ狭くしてほしいというオーダーを出して、技術者がつくりあげた。

  • リニューアルの主なポイント

1)正面玄関〜エントランス空間

 もともとはタイル張りの堅固な印象の建物で、階段によるアプローチから入口に吸い込まれるような作りになっていたが、今回整備された中之島公園との一体感や開放感を考えてガラス張りのエントランスホールとなった。青銅製の館名板のある外壁の一部がホール内に取り込む形で、また所蔵品の文様モチーフをあしらったオリジナルの外灯も残し、新旧が良い形で融合している。

柱を使わず、その代わりに中央にある曲面の壁が構造体になっている。

エントランス北側にある椅子は陶芸作家・橋本知成の作品。陶磁器の美術館ということで、展示空間ではないエントランスに何か陶磁器を体感できるものをということで考え、座っても大丈夫という許可を得て、「椅子」として購入した。まずは陶磁器を体感してもらう、この体感ということが今回のひとつのキーワードである。実際には展示室では作品には触れないが、触った感じを想像しながら鑑賞をして欲しいという願いでもある。

2)照明を一新

 陶磁器の鑑賞において光の質はきわめて重要で、本来の色や質感がどれだけきちんと見えるかが大事である。そこで、美術品の鑑賞に一番ふさわしい最新の高演色紫色励起LEDを取り入れることにした。自然光(太陽光)の特性に最も近く、青磁や白磁など陶磁器の色合いや肌の質感をクリアかつリアルに味わえるようになった。

 国宝の油滴天目茶碗では、ケースの天井の中央に茶碗の内面だけを当てるライトのある専用の独立ケースを導入した。こちらにも紫色励起LEDを採用し、油滴天目茶碗が本来持つ、豊富な色のバリエーションや質感を理想的な環境で味わえるようになった。

 

3)13の展示室の意味

 陶磁器の釉薬の色にちなんだ13色の色分けをし、それぞれの部屋のカラーが決まった。また13の部屋には4文字熟語風にタイトルをつけ、それぞれの部屋がどういう意味合いをもつ部屋なのかをこの言葉に込めた。

 

4)国宝を触る模擬体験

 国宝の油滴天目茶碗を体感できる新たな仕掛けをつくった。アルミニウムでできた3D プリントの茶碗を実際に触ると、これがコントローラーになって目の前のモニターに写った油滴天目茶碗の高精細映像が連動して動き、国宝を実際に手で触っているかのような模擬体験ができるようになっている。

 

5)写真OK高精彩なデータをオープンデータ化

 当館ではコレクションにより親しんでもらうため、早くから館内の作品撮影をOKにしており、また高精細オープンデータ化にも取り組んでいる。

 

<これから>

 現代の作家と共働、共創した展覧会もこれまで開催している。すぐれた古美術(古陶磁)は今見てもどれも斬新で新鮮である。現代の作家との関わりによって、古いものの新たな魅力や面白さを発見し、その価値を高めていくことが、次世代に作品を継承していくことになるのではないかと考えている。

 今回の特別展は、「シン・東洋陶磁」という名前にしたが、「シン」には三つの意味を込めた。新しいという意味の「新」。真なる美の「真」、心を動かすの「心」。
 今回のリニューアルは単に外見を新しくするだけなく、原点というものを再認識して、伝統を引き継ぎながら、さらに時代に応じた変革もしていく、それが素晴らしい作品を守り、伝えていく我々の使命ではないかと思う。
 展示している作品は変わらないが、それらの見え方が少しでも新しくなり、また開館当初の展示の工夫に対して再発見していただき、少しでも心にささるものがあれば、それもリニューアル効果だと思う。
 一人でも多くの人が陶磁器の魅力を感じ、ファンになっていただければと願っている。

<事務局から>

 作品を鑑賞する理想的な空間への徹底したこだわりにびっくりしました。美術館での鑑賞に照明は欠かせないとは知っていましたが、ここまで追求されておられるのかと感心し、作品への深い愛情も感じました。美への追求執念は受け継がれているのですね。お話を伺ったあとで、展覧会を拝見すると、これまで何度も見てきた作品がぐっと近くなって違うように見えました。
 新しくできたカフェは、明るいガラス窓から公会堂や公園が見渡せて鑑賞前後の楽しみが増えました。
 貴重なお話をありがとうございました。  
                            (文責:美術館にアートを贈る会事務局)


6/30 東洋陶磁美術館訪問のご案内

2024-05-26 17:10:04 | Weblog

美術館にアートを贈る会では、美術館を多角的に深く学び、身近に引き寄せる活動の一環として、定期的に美術館を訪問し、お話を伺っています。
今回の美術館訪問は、2年間の改修工事を終え、2024年4月にリニューアルオープンした大阪市立東洋陶磁美術館です。

現在は、リニューアルオープン記念特別展「シン・東洋陶磁ーMOCOコレクション」が開催中で、東洋陶磁美術館のコレクションの真髄を鑑賞できる満足感たっぷりの展覧会です。
https://www.moco.or.jp/exhibition/current/?e=596

訪問のハイライト、当日特別にお話しくださいますのは、中国陶磁史の研究家で曜変天目にもたいへん詳しい同館の小林仁さんです。

エントランスホールの増改築をはじめ、展示ケースの改修やLED照明の更新など展示環境の整備、そして国宝「油滴天目茶碗」専用の独立ケースの導入など、リニューアルで生まれ変わったところも注目です。
展覧会の見どころやリニューアルのポイントをはじめ、当会の活動主旨でもある同時代作家との関わりについてもお話いただきます。当会の美術館訪問でしか聞けない話が満載です。

ご参加申込みをお待ちしています。よろしくお願い申し上げます。



■日時   2024年月6月30日(日) 12時50分 1階エントランス北側で集合
     (先に展示をご覧になる方は各自チケットを購入し、
      再入館を事前に受付にお知らせのうえ、ご入館ください。地下講堂へは展示室を通るためです。)

■訪問先  大阪市立東洋陶磁美術館 
      〒530-0005 大阪市北区中之島1-1-26(大阪市中央公会堂東側)
      https://www.moco.or.jp/guide/access/

■予定   13時〜14時 お話@地下講堂 学芸課長代理 小林 仁氏     
      ・今回のリニューアルのポイント
      ・東洋陶磁美術館の成り立ちと歴史
      ・特別展の出品作品の見どころ
      ・同時代作家との取り組みのこれまでとこれから

      ※11時と14時に、展示会場では定例のボランティアによるガイドツアーがあります。
       これは自由にご参加いただけます。     
      
■参加費  美術館入館料(各自ご購入ください)
      一般1,600(1,400)円、高校生・大学生800(700)円
      ※( )内は20名以上の団体料金
      ※中学生以下、障がい者手帳などをお持ちの方(介護者1名を含む)、
       大阪市内在住の65歳以上の方(要証明)は無料

■参加申込 6月23日までに事務局のメールアドレスにお申し込みください。
      info@art-okuru.org (美術館にアートを贈る会事務局 )


5/24 Super Studio Kitakagaya(SSK)訪問のご案内

2024-04-27 17:36:04 | Weblog

新年度最初のサポート会員特別プログラのご案内を差し上げます。

(今回のスタジオ訪問はサポート会員対象ですが、この機会にサポート会員にお申し込みいただけます。ぜひご参加ください。)

今回は新進気鋭の若手から中堅のアーティストの共同スタジオSuper Studio Kitakagaya(SSK)を訪問します。共同スタジオの概要説明を受けたあと作家スタジオ訪問を行います。

SSKは北加賀屋を中心にアートによる地区開発を進めておられる千島土地株式会社を母体とする一般財団法人おおさか創造千島財団が運営する共同スタジオです。

「アート」という言葉が一般的なものになっている一方でアーティストやクリエイターの制作環境は、個人に大きく依存しているのが現状です。展覧会など成果発表の機会への支援はあるものの、クリエイションが生まれる場づくりへの支援は手薄です。SSKでは、アーティストやクリエイターがよりよいものを生み出していくために「つくりつづけることができる」環境が提供され、創造活動が多面的にサポートされています。

現在、16名の作家が在籍されています。今回の訪問時に在室予定の作家さんは下記の通りです。全員のお話を聞くことは難しいと思いますが、作家の制作現場で作品制作の実情を聞くことができる貴重な機会となります。奮ってご参加ください。

ご参加のほど、よろしくお願いいたします。

<Super Studio Kitakagaya 訪問詳細>
1)日時:2024年5月24日(金)14:00-16:00 (現地集合)
2)場所:Super Studio Kitakagaya(SSK)
   〒559-0011 大阪市住之江区北加賀屋5-4-64
3)アクセス:Osaka Metro四つ橋線/北加賀屋駅4号出口より徒歩10分
         https://ssk-chishima.info/access/
4)参加費:無料
5)在室予定作家リスト
  大崎のぶゆき(https://ssk-chishima.info/whos_in/nobuyukiosaki/)
  葭村太一(https://ssk-chishima.info/whos_in/taichiyoshimura/)
  大槻智央(https://ssk-chishima.info/whos_in/chihirootsuki/)
  冬木遼太郎(https://ssk-chishima.info/whos_in/ryotarofuyuki/)
  品川美香(https://ssk-chishima.info/whos_in/mikashinagawa/)
  谷原菜摘子(https://ssk-chishima.info/whos_in/natsukotanihara/)

6)参加申込:美術館にアートを贈る会事務局(info@art-okuru.org)まで、5月17日(金)までにお申し込みください。なお、サポート会員とスタジオ訪問参加申込を同時にお申し込みいただくことも可能です。