有田芳生の『酔醒漫録』

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「幕末維新」ー謎の集合写真

2007-05-13 10:35:36 | 随感

 5月12日(土)レンタカーを借りて長男の運転で「あしかがフラワーパーク」へ。鹿児島の「みどり旅館」の朝食は藤棚下のテーブルだった。その色は紫だ。ところがフラワーパークはうす紅、白藤などなどさまざま。とくに80メートルもの白藤トンネルは圧巻だ。その近くを歩いていたら長男が「あのひとGさんに似ていない?」という。すぐ近くのひとはまったく違うので、そう言うと、長男が指摘する人物とは違っていた。その方向を見れば向こうもこちらを見つめている。やはりGさんだった。先日、六本木ヒルズで長男を交えて会食したテレビ朝日のディレクターだ。こういう偶然があることに驚かされた。ソフトクリームを食べていたら長女から電話。同室のマリッサが実家に戻ったので、部屋の模様替えをしているという。あと1日の授業で前期が終わると聞き、こちらもホッとする。午後2時過ぎに那須塩原温泉へと向かう。途中で渡良瀬川を通った。これが松浦亜弥の歌っていた川かというよりも、わたしにとっては都はるみさんの好んでいた歌かと思うのだった。ここまで書いて「あれっ」と疑問がわいてきた。「渡良瀬橋」という曲は、はたして渡良瀬川に架かる橋を歌っているのだろうか。それとも想い出をテーマとする一般的な作品を「渡良瀬橋」という名詞に託したのだろうか。すると作詞者と渡良瀬川に何らかのつながりがあるということになるのだが。あるいは栃木県ではなく、どこかに「渡良瀬橋」があるのかもしれない……。足利あたりの気温は27度、ここでは21度ほど。硫黄の匂いの漂ってくる部屋で読書。温泉の湯船から外を見れば、山桜が咲いていた。

070512_13090001_1  加治将一さんの『幕末維新の暗号』(祥伝社)が抜群に面白い。これまでときどき眼にした写真の謎が小説スタイルで解かれていく。その写真とは幕末維新の志士たちーー坂本龍馬、西郷隆盛、高杉晋作、岩倉具視、大久保利通、中岡慎太郎、伊藤博文などなど総勢46人ーーが映っている。その中心には外国人のフルベッキと幼い息子がいる。これは「幕末英雄写真」などと名付けられて、観光地で売られてもいる。撮影者は写真家として有名な上野彦馬だという。本当にこんな群像写真があったのだろうか。わたしはどこかで最初にこの写真を見たとき、「どうせ偽物だ」と判断した。その根拠は並び方にあった。撮影者の方を向いている者もいれば、まったくあらぬ方向を見つめている者もいる。記念集合写真の構図としてはどうも不自然なのだ。そこから後世の誰かが偽造したものだと思った。だいいち坂本龍馬だとされる人物も、これまで広く知られている顔つきとはどうも違って見える。西郷隆盛も本当の肖像は存在しないなどと言われているから、この「いかつい」男が本人かどうかもわからない。そんな予断をこの本はどう解いていくのだろうか。坂本龍馬の「最後の手紙」には暗号があるという。どんな結論に向かうのだろうか。読書の楽しみを久々に味わう。


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5 コメント

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「渡良瀬橋」は足利市にありますよ。 (足利出身者)
2007-05-13 19:41:55
「渡良瀬橋」は足利市にありますよ。
作詞者の森高千里は九州出身ですが、ツアーか何かで渡良瀬橋を通ったときの印象を元に作詞したそうです。

つい先日、渡良瀬橋のそばに森高さんの歌碑も作られたそうです。
すでにご存知のことかも知れませんが、この写真に... (yasuda kiyohito)
2007-05-14 23:24:29
すでにご存知のことかも知れませんが、この写真については複数の研究者のかたがニセモノであるとの研究を発表しております。代表的なところでは、安田克廣編『幕末維新 写真が語る』(明石書店)に掲載された上野一郎(彦馬の弟の孫)「明治2年フルベッキと佐賀藩の若い侍たちの撮った写真」という論考。松浦玲『横井小楠』(朝日選書)。松浦玲・村瀬寿代訳編『日本のフルベッキ』(洋楽堂書店)。村瀬寿代「フルベッキの背景」(『桃山学院大学キリスト教論集』)といったところでしょうか。これらより少し古いものでは、高知県立歴史民俗史料館で幕末維新期の古写真をテーマとする特別展を開いた際の展示図録にも、この写真の来歴についての考察が披露されています。
加治将一氏の『幕末維新の暗号』に関しては、慶応... (サムライ)
2007-05-17 13:49:46
加治将一氏の『幕末維新の暗号』に関しては、慶応大学の高橋信一助教授と私サムライとで以下のブログに批評を載せています。一読頂ければ幸いです。
http://pro.cocolog-tcom.com/edu/cat4229856/
サムライさんのブログに加治氏の批判を書いている... (高橋信一)
2007-05-19 22:08:40
サムライさんのブログに加治氏の批判を書いているものです。幕末維新当時は、カメラを直接見ると魂を抜かれるといわれて目線をカメラに向けない人はかなりいました。写真自体はフェイクでなく、実際にちゃんと撮影されたものですが、そこに写っている人物に意味も無く、勝手な当て嵌めをし、それを疑いもなく認める人たちがいます。そうした風土が問題だと思います。明治天皇とか西郷隆盛とか有名人が出てくれば話題が取れると考える輩の浅はかな欲望に踊らされてはいけません。
加治将一さんの『幕末維新の暗号』(祥伝社)は余... (森重和雄)
2009-10-01 15:51:56
加治将一さんの『幕末維新の暗号』(祥伝社)は余りに内容がひどすぎますね。
トンデモ本の類で、理解に苦しみます。

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