「意外な人」の「意外な末路」が響く…「末路本」解説
07:30 日経ウーマンオンライン
宝くじで1億円当たった人がその後どんな人生を歩んでいるか、ご存知ですか? 気になる末路を描いた「宝くじで1億円当たった人の末路」(日経BP社)が、2018年4月にドラマ化されました。タイトルは、「○○な人の末路」(日本テレビ)。突然大金を手にしてしまった人や、事故物件に住んでしまった人、仕事に疲れて田舎に移住した人など、本の中で紹介されている人の末路が一層リアルに描かれています。
そこで今回はドラマ化を記念し、本の著者である鈴木信行さんと、ドラマに登場する女優の黒川智花さんの特別対談を行いました。「仕事に追われていてもちゃんと体を休ませたい」「ライフサイクルが違う友達に会えない」など、働く女性である黒川さんが抱える悩みに、あらゆる末路を知る鈴木さんはどんなアドバイスをするのでしょうか? 本の内容をピックアップしながら、全3回でお届けします。
(中略)
旧型の機械を使うクリーニング店の未来
――ペット以外にも多くの分野で機械化が進んでいますが、その逆を行くことで生き残りを図っている企業もあります。書籍では東京の小さなクリーニング店「クリンハウス」がその一例として紹介されていましたが、古い手法にこだわる企業は淘汰されてしまうのでしょうか?
鈴木:業種を問わず、昔ながらの手法を守り抜いている個人店の多くは苦戦を強いられています。しかし、果たして効率化は何よりも重視すべき項目なのでしょうか。「クリンハウス」は一度最新型の機械の導入に踏み切ったものの、1件のクレームをきっかけに既存のクリーニング方法に疑問を抱き、採算度外視で手のかかる旧式の機械に入れ替えたそうです。丁寧な仕上げにこだわるお店の姿勢に引かれ、長年通い続けている顧客も多いそうですよ。
黒川:私はドラマの中でクリーニング店の客として登場するんですが、Kis-My-Ft2の宮田俊哉さん演じる従業員の真野葉一に救われました。人一倍真面目で顧客思いな葉一のように、「クリンハウス」の方もきっと実直にお仕事をされているんでしょうね。
鈴木:私も一度宮田くんに会いましたが、取材で会ったクリーニング店の専務に雰囲気がそっくりでしたよ。顧客の気持ちをくみ、品質を重視する専務にぴったりだと感じました。
黒川:共演していて、宮田さんご自身もとても真面目な性格だと感じました。セリフを何度も確認したり、練習に付き合っていただいたり。
鈴木:クリーニングとドラマ、かけ離れたもののように思えますが、どちらも丁寧な姿勢がいいものを生み出すんでしょうね。この取材を通して、効率化ばかり追求すると日本は生きづらい国になってしまうのかもしれないと感じました。「クリンハウス」の専務は「生きているうちにもう1店舗出店できたら」と夢を語っていましたが、ドラマではどのような末路をたどるのでしょうか。今後の展開が楽しみです。
(第2回に続く)
聞き手・文/華井由利奈 写真/小野さやか