香港レジェンド・シネマ・フェスティバル #2


 



唐朝エロティック・ストーリー

原題:唐朝豪放女  An Amorous Woman Of Tang Dynasty
1984年・香港・日本未公開

監督:エディ・フォン
出演:パット・ハー、アレックス・マン、チャン・クォチュー

これこそ、見て良かった~と思った作品のひとつでした。
映画の冒頭から、映像がきれいで様式美たっぷりで、
日本映画を思わせるシーンが続きます。
この作品、香台三級電影80年代の名作と言われているそうですが
時代は香港ニューシネマ最盛期であったためか
《レスリー・チャン嵐の青春(烈火青春)》とも通じるイメージがいくつかありました。
日本の時代劇や能などを取り入れたような美術なのですが。
スタッフロールを見損なったので、美術や衣装は誰だったのか?
と思って調べてみました。
以前ブログでも紹介した(こちら
 香港電影美術1979-2001 繁花盛放 にありました。

美術指導は李景文でした。
繁花盛放にはやはり日本と西域(西南アジアあたり)の影響が強い、とあります。
また舞台劇の要素や、当時のショウブラの古装片とまったく違う現代的な感覚を、セリフや脚本やキャラクター、美術に取り入れて
同時代の観客のの共感が得られるような作品にしたかったようです。

パット・ハー演じる唐代の女道士「魚玄機」の激しい生きざま、
当時の女性の置かれた立場に異を唱え、
男に従属しない生き方を選ぼうとしている「魚玄機」
しかしアレックス・マン扮する「崔博侯」をひとたび愛してしまうと
そのためには身を滅ぼしても、愛を貫こうという行動に出てしまう。

「魚玄機」とは唐代の実在の人物で花街の出ながら
才能ある女流詩人でもあった、といわれています。
森鴎外が「魚玄機」をモデルに短編小説を書いているそうなので
探してみようと思っています。

張震パパの張國柱が二人に剣を依頼される刀工「欧陽鑄劍」を演じていますが
これが、見た目、かなりすてきです。
DVD出たら買おうかな、と思ってます。



空とぶギロチン

原題:血滴子 The Flying Guillotine
1975年・香港・日本未公開

監督:ホウ・メンホア
出演:チェン・クアンタイ、ク―・フェン

1976年に制作された《片腕カンフー対空とぶギロチン》に出てきた
殺人兵器「血滴子」の元ネタとなった伝説の時代劇アクション。
(映画祭プログラムより)

当日券で入場。《唐朝エロティック・ストーリー》もそうでしたが
この作品も思ったより女性の観客が多かったです。
タイトルからも容易に想像されますが首を切られる人続出で
そういうのが苦手な方は引いてしまうかも。
管理人もリアルな血は見たくないですが、この作品は1976年の作品なので
まあ何とか観ることができました。
そういえば《楚留香》にもちょっときわどいシーンがありましたね。
下向いてましたが(笑)



ファイヤーライン

原題:十萬火急 Lifeline
1997年・香港・日本未公開

監督:ジョ二ー・トー
出演:ラウ・チンワン、アレックス・フォン

この作品、当日券があるとは思っていなかったので、朝いちで当日券を購入。
間にギロチンを見た、ということでした。

《裸足のクンフーファイター》が都合つかなくて見られなかったので
それ以外のぜひ見たかった作品はこれで見ることができました。

消防士もの(制服もの)で「バックドラフト」と似た作品、と以前何かで
読んでいましたが、見たのは初めて。
もう少し大きなスクリーンで見られたらもっと迫力があったかとは思いますが
それでも十分本物の火がリアルな映像を作り出していました。

ヤウチーフ役のラウ・チンワン(劉青雲)も
新しく赴任したチョン署長役のアレックス・フォン(方中信)も
若くてスリムでかっこいいです。

慈雲山消防署(実際にあるらしい)は何かにつけて注目を浴びている消防署。
新しく赴任した厳格なチョン署長(方中信)と
チーフのヤウ(劉青雲)や署員たちは何かにつけて対立していた。
エレベーター事故や自殺騒ぎ、
ハイウェイでの交通事故など毎日の救助活動に従事しつつ、
それぞれの登場人物の抱える個人的な問題も絡めながら大規模なビル火災現場へと
ストーリーはクライマックスを迎えます。
他の消防署のチームと助け合いながら慈雲山署のチームは
ビル内に残る人たちの捜索のためにビルの中に入っていきます。

これからがハラハラドキドキの連続で、ビルの暗がりの中、
私たち観客も同じ暗がりにいるような感覚に襲われながら映画に集中していきます。

名作です。大変面白くて最後はホッとしました。
途中、ラム・シュ(林雪)登場シーンは爆笑でした。
あ、それとチョン署長の私服すがたは苦笑しました。体鍛えていますね~

最近はロケ地探索が気になり、この作品でも慈雲山消防署ってどこ?と思って
さっそく調べてみましたら、黄大仙の先にあるんですね。
あの消防署の作りは、昔うろうろした旺角の消防署と似てるな~と思いました。
また道路標識に「青山公路」の文字も読み取れました。
探索探索(笑)


映画祭は終了しましたが
上映作品の解説と画像が公式サイトのこちらに
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