アンダンテのだんだんと日記

ごたごたした生活の中から、ひとつずつ「いいこと」を探して、だんだんと優雅な生活を目指す日記

「テクニックの元は耳にあり」

2010年02月10日 | ピアノ
今日のタイトルは、「練習しないで上達する 導入期のピアノ指導」(呉 暁)からとった。

この言葉の趣旨は、
・「こういう音を出したい」という意欲があり、
・自分が出している音をよく聴く耳を持っていること

がテクニックを育てる条件だということ。無味乾燥なハノンやツェルニーを、頭カラッポにして決められた時間どおり体育会系に取り組むことが大事なのではない、ということだ。

この本の内容はとても共感できるものが多く、またろうのピアノにも通じる部分があるが、この本で奨める指導法の大半はむしろまたろうピアノとは違う。

導入期にはリズム遊びその他、子どもが飽きないような短く区切ったゲーム感覚の練習でつなぎ、ソルフェージュを重視して、子どもが自主的に練習しない限り家での練習を求めない。週一度、レッスン30分の範囲内で練習して弾ける程度の短くシンプルなものをどんどんやって、完璧でなくてもどんどん○して進めてしまう。

子どもが小学生になり、徐々に進んできても、本人が練習してつまらないようなエチュード類は与えず、「曲だけでもテクニックはつく」という考え方のもとで、「ピュイグ=ロジェピアノ教本」「ミクロコスモス」やバッハを活用していく。併行して、本人がどうしても弾きたいと思うような、ちょっと難しい曲にも取り組んでいく。

すると、長らく練習なしにレッスンだけ通っていた子どもたち、その後もツェルニーのひとつもやったこともない子どもたちが、中学生・高校生になるとバッハ・ショパン・ラベル・ドビュッシーなどなど、音楽的に弾けるように次々育っていくというのである。

古典的(?)な教材系統と練習方法しか見たことのない人がこの本をいきなり読んでも、いまいちぴんとこないかもしれない。でも、私はこの本を読んですんなりと、「そうだろうな」と思った。またろうたちを教えているピアノの先生の発表会に行くと、わりとこんな感じだからだ。

中学生、高校生、もうレッスンには来てないけど発表会のときだけ現れる大学生。男の子率が妙に高いのも特徴だ。つまんないエチュード類を一切拒否って大きくなった子たちが、説得力のある演奏を次々披露してくれる。いまどきの曲も、クラシックも、両方こなす。

またろうの場合、この本が提唱する指導体系の中で、幼児期から小学校低学年に身につけるべき基礎(主にソルフェージュによって培われた読譜力)がすっぽり抜け落ちているのだから話にならない。本人が興味を示さないこととも相まって、今後もクラシックが弾けるようになることはないだろう。

しかしこの本の中でこんな一節もある。
---
もちろん楽譜が読めないと自分で新しい曲を弾くことができないので、読めたほうがいいにきまっています。しかしその一方で、耳だけで知っているメロディーを探り弾きして伴奏づけをして楽しむという弾き方もあるのです。極端な話ですが、楽譜が読めなければ、鍵盤に向かってそういう遊びだけをやらせてピアノを弾けるようにする道もあるわけです。
---(太字はアンダンテによる)
…またろうだよ(-_-;;

この著者もそうだけど、またろうたちを教えているピアノの先生も、とことん柔軟な人だと思う。レッスンはこうあるべき、子どもはこうあるべき、既存の路線だけでレッスンができたらどんなに先生は楽だろうか。またろうの先生は、子どもがどうしようもなくそこからはみ出したときに、目の前の子どもの状態のほうを重視して、どんどんあの手この手で別の方法を工夫してくる。

現在、またろうのピアノについては何の心配もしていない。このまま、自分の必要に応じて、ピアノと仲良く暮らしていくであろう。こじろうは、中学に入ってピアノをやめてしまったし、はなひめは相変わらずレッスンのときしか練習しないピアノを続けているけど、これまた別に私は心配していない。何かのきっかけで自分がその気になったら、ピアノまたはピアノ以外で音楽を楽しむことはできるはず。その材料(と環境)はもう渡した。

この本の中で、著者は大人のピアノについても触れている。猛烈に忙しい生活の中で、少しでもピアノが弾きたくて、でもまずはハノン(チェルニー)を弾かなくちゃ、とやっているとそれだけで弾ける時間が終わってしまう。
---
これでは悲しすぎます。一番大切なことは、どんな曲が好きで、何のためにピアノを弾いているかということです。指が動くかどうかは、二の次なのです。ピアノ科を出た人には「反復練習」「指の訓練」といったイメージを捨てるのが難しいでしょうが、指が動かないにしても、一番弾きたい曲を最初に弾きましょう。そのようにして30分弾く日が続くと、自然に指が動くようになるのです。
---

これは、私が、ばっかいず世話係さんや、るんちゃんママさんに口をすっぱくして説得してきたことと同じだ。「10分しかないのにハノンから弾いてたら終わっちゃうよ!!」…まず弾きたい曲を弾く。時間があったらハノンもやっていいけど(でもあとでね)。ばっかいず世話係さんや、るんちゃんママさん、ゆかりしょう5ままさんたちなんか、私よりはるかに確かなピアノの基礎をお持ちなのに、それをただ眠らせていたらもったいない。

最近は、子どもを出すだけじゃなくてちゃんと自分でもホームコンサートで演奏してくれるようになって…ふふふ、布教活動成功!!(^-^)v まだまだいきまっせ!!
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14 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (mifomifo)
2010-02-10 09:05:17
いつも私のブログにコメントありがとうございます。

日ごろ、私も同じような事を考えています。
高2のときピアノをやめたのは、ツェルニーがつまらなかったからです。ツェルニーはソナタなどと違って、練習して弾けるようになってもあまり達成感がなく、やる気のなくなる原因でした(こんな事言ったら先生に怒られちゃいそうですね)。

社会人になって再開してからお世話になっている先生達は、弾きたい曲を弾かせてくれるし、「テクニックは好きな練習を練習しながらつければいい」と考えられています。
おかげで今は、レッスン時間を好きな曲のみに費やしているので、充実感があります。

今後もハノンやツェルニーに費やすべき?時間を、曲の練習に充てたいと思います。
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Unknown (ゴン)
2010-02-10 12:45:09
同じくですね!楽しんでなんぼ。

もちろん、楽譜を読めるようになるのも、ハノンやツェルニーも大事やとは思いますが(いちお音楽が仕事なのでそう書いておきます)、本人が望めばやればええ事で、おもろない事でやめてしまう方がもったいない、と思ってます。

というゴンさんは、必要に駆られてめっちゃ練習しましたが(笑)、それは受験であり仕事であったりなので。

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> mifomifoさんへ (アンダンテ)
2010-02-10 21:01:49
> 高2のときピアノをやめたのは、ツェルニーがつまらなかったからです。
けっこう、みなさん嫌々ながら長年まじめにハノンとツェルニーに取り組んでいたりして、それがトラウマになってたりすることもあるのよね。私は幸い(?)嫌々練習した記憶ってないんですけど(ハノンとツェルニーをほとんどやらないうちにやめた)。

せっかく若いころ、苦労して基礎トレもやったんだったらなおさら、今はモトとらないと(^^)
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> ゴンさんへ (アンダンテ)
2010-02-10 21:08:33
そう、ゴンさんはね…
そりゃ、「めっちゃ」練習しないといけなかったでしょうけど、一生趣味な場合と、専門にいく場合の都合は同じじゃないもの。

あいにく、ピアノの先生してる人は、専門コースのことしか知らなかったり(自分がそうだから)することありますよね。っていうかそれが当たり前か!?

でも、ゴンさんは、ご自分は昔めっちゃ練習したにしても、練習すっとばして楽しめる連弾曲書いたり、なかなか気が利いてますよね~
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私も・・・ (ミケ子)
2010-02-10 22:38:21
あ~、やってました。私もハノンから練習。
最近は、さすがに練習時間が30分もとれない日が多くなり、
「曲(レッスンでやっている、メインの曲)またはバッハ」を始めに弾くように努めています。
でも、私ハノンやツェルニーは嫌いじゃないんですよね。
今まで汚かった音がキレイになったり、
指の動きが滑らかになって「コツ」が掴めたりとか、
そういう目に見える成果が確認できるのが嬉しいんですよね。
いや、でも結局は好きな曲を弾くのが最終目的の筈!!
と自分に言い聞かせて基礎練を我慢しています(笑)。
私のように、根暗で単純作業が好きな性格だと、
黙々と基礎練にはまり込んで本末転倒になる可能性もありますね、気をつけようっと。
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私、間違ってないわ~ (紫游)
2010-02-11 03:44:00
「練習せずに上達する」
なんて素敵な言葉なんでしょう~!
私、「努力」というものが超苦手でございます。

そうそう、10分しかないのに、ハノンで終わったら、面白くないですよね~。
って、1分も弾いてない私が言うなってね。
ハノン、チェルニー、復習しようかなって思ったけどね、やっぱりや~めた!って決めました。
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> ミケ子さんへ (アンダンテ)
2010-02-11 11:31:39
ミケ子さんは、こつこつ練習もできるタイプなんですね~。それはそれでお得というか、それで曲の練習時間はなくなっちゃうとか、つまんなくてイヤになっちゃうとかでなければ。基礎練習(ハノンなど)は、身に着けるべき内容のエッセンスではあって、効率よく習得できるという利点はあるはずですものね。
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> 紫游さんへ (アンダンテ)
2010-02-11 11:33:10
だってほら、大人がやる趣味の練習方法に間違いとかなんとかって、ないですよ。
自分が楽しくて、長続きしてなんぼです。曲をやるにしても、ハノンやるにしても、耳と頭を使うのがだいじで…それなら曲のほうができるわって感じです。
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Unknown (ばっかいず世話係)
2010-02-11 15:57:37
はい、布教されました~。おかげさまで、今では(ほぼ)毎日(ちょびっと)ピアノを練習。自費でピアノまで購入。ピアノが死ぬほどキライだった30年前には考えられなかったことです~。

ただね
>「10分しかないのにハノンから弾いてたら終わっちゃうよ!!」

 わかってるけど、それでも毎日ハノンを弾いてます。最初普通に弾いてリズム変奏を4つ、最後にテンポを速めておしまい。これを2曲分。大体10分かかりますね。
 だって、指が動かないと曲を弾いてても気分悪いんだもん。明らかに指が絡んでる、転んでるとアタマに来ます。これは幼児期の刷り込みに違いありません。恐ろしや。

>ミケ子様

私もハノンやツェルニーを根暗に練習するの、結構好きです。同好の士は少ないので嬉しいです~。

>黙々と基礎練にはまり込んで本末転倒になる可能性もありますね、気をつけようっと。

あ、そうですね。私もそこにはまりそうです。気をつけます。
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Unknown (サバイライフ)
2010-02-11 17:59:03
私もその本を読みたいです!
以前、友達が「アンチ・ツェルニー」(←正確な本のタイトルは忘れました・・・)とかいう本を読んでて、チラ見させてもらうまではモヤモヤしながらレッスンに通っていたのですが、その本は共感できる部分が多く、そしてピアノ再開組であせってブランクを取り戻そうとしている私には励みになる言葉のオンパレードで、おかげで吹っ切ることができました!
それ以来ツェルニーは一切やっていません!
私は、弾きたい曲の中でテクニックはいくらでも磨けると思っています。
一般的な考え方では、これは上達への遠回りだと思われるかもしれませんが、教本を何年もかけて順番通りにこなしていく方が私にしたら遠回りで時間の無駄に感じてしまいます。。。
一番大切なのは、「この曲を弾きたい!」と強く思うことと、その曲と真剣に取り組む姿勢かなぁ・・・なんて思ったりなんかしちゃってます。。。

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