アンダンテのだんだんと日記

ごたごたした生活の中から、ひとつずつ「いいこと」を探して、だんだんと優雅な生活を目指す日記

鳥やクジラは絶対音感

2018年06月20日 | ピアノ
今日、電車内で読んでいた本は「つながりの進化生物学」という、タイトルには音楽の「お」の字もない本ですが、「絶対音感」「相対音感」という言葉が出てきました。

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曰く、人類は元々「絶対音感」を持っていたのだけど、進化して(絶対音感を捨てて)「相対音感」を育ててきたと…

つまり、鳥でもクジラでもいいのですが、人間以外でも「歌」をうたえる動物ってけっこういますよね。でも彼らはその「歌」をある決まった高さでうたい、その意味するところ(求愛など)が他の個体に伝わるのであって、移調して歌ったりはしない。あるいは、「歌」のさらに元となった「鳴き声」とかも、たとえば声の絶対的な高さで対象の大きさを伝えていたりする。

しかし、「歌」から発展したであろう「言語」を使うようになると、その絶対的な音の高さという情報は捨て去られ…要するに絶対的な声の高さというものは捨象され、しゃべっている人が大人でも子供でも、男性でも女性でも、「あ」は「あ」で「い」は「い」である、というところが意味があるものになった。

「あーー」とか
「いーー」とか
母音というのは安定してその音を伸ばせるので、そうやって発音してもらってそれを周波数分析すると、

特徴的な周波数というのが出てきて、その一つ目、二つ目に注目してグラフにすると、「あ」「い」「う」「え」「お」のそれぞれが、どういう人(大人/子供、男性/女性)がしゃべっても区別できるような特徴を持っていることがわかる。
(参考: 「音声学と音声認識・合成」の24ページ「母音とフォルマント周波数」)

特徴的な周波数の絶対的な高さではなくて、一つ目と二つ目の相対的な高さが分別の鍵。
言語を操る我々は、音の絶対的な高さを無視して相対的な高さを感知する訓練を徹底的に行っているわけです。

ところで、ジュウシマツは鳥の中でも音声コミュニケーションに優れた鳥で、
・「地鳴き」…「敵が来た」とか「一緒に飛んで行こう」くらいの、状況に付随して発せられる合図のような音声
・「さえずり」…求愛する、縄張りを守るなどの歌
の二つを使います。

特に、歌はたいへん複雑なもので、いくつかのフレーズやメロディのかたまりがあって、少しずつ変奏されており、一羽一羽違うのです。

では、「地鳴き」が「言語」のようなもの、「さえずり」が「音楽」のようなものといってもいいのでしょうか? 似ているような気も、やっぱり違うような気もしますが、いったい、人間の言語は他の動物の鳴き声や歌と違うどのような特徴を持っているのでしょうか。

・単語の数が圧倒的に多い
・文法を用いて無限の多様性を持つ文を作れる
・「今、ここ」を離れた表現ができる
・無駄話ができる(笑)

上に書いたような「あ」「い」「う」「え」「お」のような短い単位で聞き分けができる要素(発音)がかなりの数(数十とか)あって、それを組み合わせることで数千から数万におよぶ単語ができる。さらにそれを文法で組み合わせればいくらでも違う文ができちゃう。その「言語のインフラ」を支えているのが相対音感なわけですね。

そういうことを考えると、実は人間の「音楽(とりあえず、私たちがピアノで弾くようなクラシック西洋音楽を想定して)」がジュウシマツあたりのさえずりとどう違うのかというのも、この言語の特徴に似ています。

音の高さというのは連続的で、そこに何か区切りがあったわけではないのですが、音階というのを作りドとかレとかラベリングをして扱い、その中でどこから始めても、「一音上がる」「半音下がる」といったことが捉えられるようにしてあります。時間の方向についても元々は連続的なものですが、単位を作って数えられるようにして(結局伸び縮みはするんだけど)、そういうふうにして分けたあとはまとまり(フレーズや和音)を作り音楽的文法にのっとって組み合わせ、無限の多様性が作れるようになっています。

同じモチーフが違う音程から始めても認識できたり、調性システムが出来上がっているということも相対的な高さを元にしています。

音楽というのは、情動とシチュエーションが結びついて発せられる「鳴き声」や原始の「歌」というものよりも、ずっと人間の「言語」に寄った仕組みであるといえます。音の高さの相対化すごい。

(この記事は本のまとめというわけではなくて、あらかた個人的な感想です)


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