アマチュア相手の駒落ち対局の上手を持ったら、一番強いプロは誰でしょう。まぁ横一線で比べるイベントとかはないわけなのではっきりはしませんが…
←盤をはさんで人と人。
おそらく、羽生とかではなく。と、私も思います。
先崎学によれば神吉宏充だという。(「フフフの歩」(講談社文庫)より)
神吉さんは、しゃべりがうまく笑いのオーラがある棋士で、将棋の時間で対局が早く終わるとやってた解説コーナーとか、大逆転将棋の司会とかの印象が強い。漫才界で一番将棋が強い男とも言われるほど(^^;; それで将棋はそんなに勝てず、早めに引退してしまったけれど。
駒落ちを指すとき、「おけいこ」という感じでうまく負けるように指す棋士もいるかもしれないけれど、先崎は、緩めたりわざと負けたりはしないそうです。ただ、本気というのとも違っていて「テニスでいえば、いきなりスマッシュは打たずに、しばらくは、相手の打ち易いところに打ち、思い切り打ってもらって拾うスタイルをとる。」ということで、つまりは、勉強してきたことをまずは出させて、様子を見るわけですね。でも、悪手をわざと指して負けるようなことはしない。
ところが、神吉先生は、先崎が何の手心もなしに指して二枚落ちでいい勝負というようなアマ相手に、六枚落ちでもほとんど負けないそうだ。さらに「喋りありならば絶対といっていいほど負けない」というが(笑)
何が違うのか、先崎は神吉に聞いてみた。すると
「自分はアマチュアのときが長かった。だからアマチュアの心理がわかるんや」
「自分の立場で考えたら駄目やな。上手の立場で手を読んでも弱い場所だらけで、いちいち気にしとったらきりがないやんか、だからな、下手の立場に立って、何を指されたら嫌かだけ考えるんや。普通のプロは、小さいころに強くなっとるから、それが出来へん、ワシは出来るんや」
確かに。週刊将棋の誌上対局の二枚落ちで私に負けてくださった、故・板谷八段は、別に「緩めた」つもりでもないんだろうけど、いきなりスマッシュは打たずに、きれいなラリーで様子を見て…それで、定跡どおり組み上がりまで行ってしまったから、そこから本気出してもどうにもならなかったわけだ。
かなりの人数のプロ・アマ両方に二枚落ちで指してもらったことがあるけれど、圧倒的に勝ちづらいのは強いアマ。一番強かった上手は、当時新宿の三桂クラブで席主をしていた宮崎国夫さんだった。二ケタ回数は指してもらったけれどどうにもこうにも歯が立たず、100回やってもまったく勝てる気がしない。
あとから知ったけれど、宮崎氏は「小池重明実戦集」なんて本も出してるらしい。先崎は、小池将棋をまとめて並べてみたそうだけど、序盤は弱くても終盤は鬼強なのかと思えばそうでもないというのである。ただし、小池が悪手を指すと、なぜだか相手も魅入られたように悪手を指してしまう。棋譜だけ見ると、そんなに強くなさそうなんだけど、「盤を前にしないとわからない強さ」で、プロもなんだかコロコロと負けてしまう。
神吉先生の勝負術にあるように、自分の王様に詰みがあることを知りながら、それを受けずに、下手の嫌がる手を指すなんてのは、そりゃ将棋の神様(すべてを見通している)からいえば「悪手」に違いないんだけれど、実際にそれで勝ち易くなる。
小池将棋の奇妙な強さの場合、相手が弱いわけでもないから話はもっと複雑なんだけれど、それでも小池が悪手を指すことで、相手のリズムが狂い、さらに大きな悪手を呼んでしまう。悪手の応酬なら、そりゃ後から悪手を出したほうの負けだろう。
悪手を操って自分の勝ちに導ける人は、要するに、ふっと相手の心と自分の心をシンクロさせるというか、チャネリングすることができる人なのかなと思う。今は、コンピュータ将棋相手にプロが苦戦している時代だけれど、いくら小池流勝負術に通じた人でも、コンピュータ相手じゃ役に立たないだろうね。
というか、プロの将棋研究にコンピュータ将棋が本格的に入り込んでいく時代を待たずに、今のプロ棋界はすでにそういう勝負術が通用しないような技術レベルに到達しているようにも見える。つまり、小池が若いころとかと今を比べると、序盤研究とかもしっかり進んで、「心理」で付け入っていくスキが少ないんじゃないかと思う。破天荒なキャラで不思議に勝っていく勝負師タイプとか、今はいないものね。それってなんか、つまんなくない??
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おそらく、羽生とかではなく。と、私も思います。
先崎学によれば神吉宏充だという。(「フフフの歩」(講談社文庫)より)
神吉さんは、しゃべりがうまく笑いのオーラがある棋士で、将棋の時間で対局が早く終わるとやってた解説コーナーとか、大逆転将棋の司会とかの印象が強い。漫才界で一番将棋が強い男とも言われるほど(^^;; それで将棋はそんなに勝てず、早めに引退してしまったけれど。
駒落ちを指すとき、「おけいこ」という感じでうまく負けるように指す棋士もいるかもしれないけれど、先崎は、緩めたりわざと負けたりはしないそうです。ただ、本気というのとも違っていて「テニスでいえば、いきなりスマッシュは打たずに、しばらくは、相手の打ち易いところに打ち、思い切り打ってもらって拾うスタイルをとる。」ということで、つまりは、勉強してきたことをまずは出させて、様子を見るわけですね。でも、悪手をわざと指して負けるようなことはしない。
ところが、神吉先生は、先崎が何の手心もなしに指して二枚落ちでいい勝負というようなアマ相手に、六枚落ちでもほとんど負けないそうだ。さらに「喋りありならば絶対といっていいほど負けない」というが(笑)
何が違うのか、先崎は神吉に聞いてみた。すると
「自分はアマチュアのときが長かった。だからアマチュアの心理がわかるんや」
「自分の立場で考えたら駄目やな。上手の立場で手を読んでも弱い場所だらけで、いちいち気にしとったらきりがないやんか、だからな、下手の立場に立って、何を指されたら嫌かだけ考えるんや。普通のプロは、小さいころに強くなっとるから、それが出来へん、ワシは出来るんや」
確かに。週刊将棋の誌上対局の二枚落ちで私に負けてくださった、故・板谷八段は、別に「緩めた」つもりでもないんだろうけど、いきなりスマッシュは打たずに、きれいなラリーで様子を見て…それで、定跡どおり組み上がりまで行ってしまったから、そこから本気出してもどうにもならなかったわけだ。
かなりの人数のプロ・アマ両方に二枚落ちで指してもらったことがあるけれど、圧倒的に勝ちづらいのは強いアマ。一番強かった上手は、当時新宿の三桂クラブで席主をしていた宮崎国夫さんだった。二ケタ回数は指してもらったけれどどうにもこうにも歯が立たず、100回やってもまったく勝てる気がしない。
あとから知ったけれど、宮崎氏は「小池重明実戦集」なんて本も出してるらしい。先崎は、小池将棋をまとめて並べてみたそうだけど、序盤は弱くても終盤は鬼強なのかと思えばそうでもないというのである。ただし、小池が悪手を指すと、なぜだか相手も魅入られたように悪手を指してしまう。棋譜だけ見ると、そんなに強くなさそうなんだけど、「盤を前にしないとわからない強さ」で、プロもなんだかコロコロと負けてしまう。
神吉先生の勝負術にあるように、自分の王様に詰みがあることを知りながら、それを受けずに、下手の嫌がる手を指すなんてのは、そりゃ将棋の神様(すべてを見通している)からいえば「悪手」に違いないんだけれど、実際にそれで勝ち易くなる。
小池将棋の奇妙な強さの場合、相手が弱いわけでもないから話はもっと複雑なんだけれど、それでも小池が悪手を指すことで、相手のリズムが狂い、さらに大きな悪手を呼んでしまう。悪手の応酬なら、そりゃ後から悪手を出したほうの負けだろう。
悪手を操って自分の勝ちに導ける人は、要するに、ふっと相手の心と自分の心をシンクロさせるというか、チャネリングすることができる人なのかなと思う。今は、コンピュータ将棋相手にプロが苦戦している時代だけれど、いくら小池流勝負術に通じた人でも、コンピュータ相手じゃ役に立たないだろうね。
というか、プロの将棋研究にコンピュータ将棋が本格的に入り込んでいく時代を待たずに、今のプロ棋界はすでにそういう勝負術が通用しないような技術レベルに到達しているようにも見える。つまり、小池が若いころとかと今を比べると、序盤研究とかもしっかり進んで、「心理」で付け入っていくスキが少ないんじゃないかと思う。破天荒なキャラで不思議に勝っていく勝負師タイプとか、今はいないものね。それってなんか、つまんなくない??
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