本日、快晴。

映画中心雑記。後ろ向きなポジティブが売りです。

さよなら歌舞伎町【映画】

2015年03月02日 | 【映画】



@テアトル新宿

初日くらいに観たのに、順調に更新が滞っております。。。

廣木監督の印象として、率直に言うと、
"作風がブレる"というイメージでした。

自分が本当に撮りたくて撮った映画と、
お金やらスポンサーやらの希望によって起用されて撮った映画で、
ものすごく、力の入れ方が変わる、みたいな。
まあ、どの作品がどっち、というのは控えますが。

実際見ていない作品も多いので、出来については何とも言えませんが、
後者の方は、観たくもならない作品が多い、というのが私の正直なイメージです。

・・・まあ、映画監督として長く手腕を振るうには、必要なのだと思います。


毒吐きからスタートしましたが、
「さよなら歌舞伎町」は、私としては前者だと思ったので、
非常に興味を持ち、見に行きました。

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一流ホテル勤めと周囲に偽りラブホテルの店長をしている徹(染谷将太)は、
ミュージシャンを夢見る同居中の恋人・沙耶(前田敦子)との関係が
倦怠期になりかけていた。
歌舞伎町にあるラブホテルに出勤し多忙な1日が始まるが、
ホテルでは家出少女(我妻三輪子)と来店した風俗スカウトマン(忍成修吾)、
時効を間近に控え男(松重豊)と
潜伏生活を送るホテルの清掃人(南果歩)など、
年齢も職業もさまざまな男女の人生が交錯し……。
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歌舞伎町を舞台に繰り広げられる群像劇、という
そのままの展開ですが、
きれいにまとめられてはいます。

色々と予想がつくことが多いので、
結末や、各エピソードのつながり自体に意外感はないのですが、
それでも、場面場面で交わされる会話や言葉の使い方は
上手いしきれいだと思います。

私が特に気に入ったのは、ラブホ店長と韓国デリヘル嬢のロビーでの会話。
直接的なつながりはなくても、顔を合わせていればこその世間話が、
すごく自然で、いい感じの距離感を感じました。

エピソードとしては、キャッチと家出女子高生の話と、
南果歩・松重豊の話は、結構好きでした。
王道なんだけど、救いが分かりやすかったし、
短くしっかりとまとめられているのも良かった。


しかしながら。

前述していますが、描写が分かりやす過ぎるところも多々あり、
予想がつくエピソードが多いのが少し残念。
ちょっと薄い、という意味では、陳腐なロードムービーと近い
人間ドラマを描く上で、描写はもう少しずつ小出しにしても良かったかなとか、
予想外展開がもうちょっとあってもいいかなと。フィクションなんだし。

・・・まあ、この辺はあくまでも個人的な好みですが。
好きなジャンルゆえ、ちょっと物足りなかったなあと思います。


俳優陣については、韓国の女優さんが上手だったなあという印象です。
あとは、妹や家出女子を演じた若い女優さん達も、結構体当たりで良かったです。
染谷将太は、ああいう飄々とした役は得意だと思うのでいつも通りなのだけど、
前田敦子は、ちょっと気合いが足りなかったかなあ。

個人的には「苦役列車」と「もらとりあむタマ子」で彼女の頑張りを観てきたので、
彼女に対しては好意的なのですが、本作はもう少しがんばりましょう、という印象。
悪くはないんだけど、"そこにいるだけ"で、
キーマンとしての役割や存在感がまるで無いんです。
まあ、R指定作品であの程度じゃあ、仕方ないのかな。

話が逸れますが。
女優は脱げばいいとは思ってませんが、
事務所の圧力だろうが何だろうが、"女優が脱げない"という空気が、
観客に伝わったら、ダメだと思うんですよ。
旬な女優さんであればある程、そういうのが顕著で残念な気持ちになるんです。

今回は、ちょっと見え隠れしてしまったかな。
次回作では頑張ってね、とは思います。



作品自体は、可もなく不可もなく、という印象なので、
印象の地味さと出来の地味さに、大きな乖離はありません。
それでも、駄作というわけでは決してないので、
この空気感が好きな方には、ハマるかも。

・・・ただ歌舞伎町って、
こんなにやわらかい雰囲気の街ではないと思うのだけどね。

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