黄紙に注意! 鳶ブログ

サッカーに魅せられて全国行脚。
奥山監督率いるアルビレックス新潟レディースを応援しています。

プレナスなでしこリーグ 第16節 TASAKIペルーレ戦 「熟練チームに勝ち逃げを許す」

2008-10-19 21:08:09 | アルビレディース
2008プレナスなでしこリーグ 第16節 2008年10月19日(日)13:00K.O 胎内市総合グラウンド陸上競技場 鮎貝志保主審

アルビレックス新潟レディース 0-3(0-1、0-2) TASAKIペルーレFC

得点 33分失点、76分失点、82分失点


地域密着というクラブコンセプトを持つアルビレックス新潟にとって、新潟県内各地での試合開催は積極的に進めていかなければならないが、現状、男子チームが担うのは様々なハードルが立ちはだかる。
アルビレックス新潟レディースが地方開催を担うことで、クラブとして押し進めなければならない地域へのサッカー文化の啓蒙を果たしている。

胎内市、特に中条はスポーツが元々盛んで(自前で競技場を持っていること自体驚きではあるが)、サッカー人口も多い。
アルビが積極的にサッカーを振興することで、さらに盛んになるのは自明の理だ。
できたら、もっともっと盛んになって、単独の女子チームが数多くできたらアルビにとっても、新潟にとっても有意義だろう。


胎内開催は、本当に地元の人々が歓迎してくれて、選手もサポーターも競技場にいくことで楽しさを感じる。


もちろん「食」については群を抜いていて、地ビールに地元の食材を使った食品は絶品だった。
大量生産できないとのことで、ここでしか味わえないものを楽しんでもらいたいとお店の人も熱く(実際、肉を焼いているので暑いようだったが)語っていた。






胎内黒豚で作ったフランクフルトがとてもジューシーで美味しかった。
豚汁は具沢山で肉ときのこと里芋など全てが地元産とのこと。ビールも3種類あって、味比べをしてみた。
ソフトクリームも濃い濃いで絶品。大人も子供も列をなしていた。


記念撮影に追われる大人気のアルビくんとスワンちゃん。


今回も登場の人権まもる君。自己紹介などのおしゃべりをする。
女子サッカー自体、つい最近まで差別の対象であったので、なでしこリーグとタイアップするのは良いかもしれない。


風は強かったものの、良い天気だった胎内市。
青空の下、地元のマーチングバンドが演奏してくれた。


アップ場が超間近。間近過ぎて写真を撮ると誰が誰だか分かってしまうのでスケッチで。
なでしこリーグさん、どこまで許してくれるんだろう?




本日のご挨拶は、「東山真依子選手」。
マイクに粗相があり、あまりよく会場に声が流れなかった。
今回用にスピーカーやらアンプやらを仮設したのに、残念。
だけど、意気込みは伝わった。





さて、先日、事実上の今シーズン限りの廃部が発表されたTASAKIぺレールであるが、そうは言っても強豪であることに変わりは無い。
今まで一度も勝ったことが無いアルビが、ちょっとやそっとでは勝たせてくれないだろう。
引退発言をしている池田など現役は今シーズン限りとなる選手もいるため、さながら引退記念興行の側面もある。


TASAKIペルーレ

      齋田
甲斐 池田 下小鶴 佐野
    阪口 白鳥
 山本  阪口  大谷
      大石

SUB:佐々木、清原、澤田、田頭、坂井
監督:仲井昇

予想通りの顔ぶれ。中岡の姿はない。
U-19日本代表候補の田中明日菜はすっかりスタメンの一角を占めている。
清原・田頭・坂井といった攻撃力の高い選手を交代カードとして持っているのはさすがである。
TASAKIというチームはスター選手を取ってくるのではなく、高卒新人をコツコツとたたき上げながら強くなってきた実業団チームだ。




アルビレックス新潟レディース

    塩谷
      牧野
與山 上尾野辺 江橋 中島
     
山本 川村 東山 井上
     大友

SUB:諏訪、中村、大堀、野村、斎藤
監督:奥山達之

前回の浦和戦をベースにCBを詫間選手から川村選手に、右SBを井上選手に代えてきた。
前回のTASAKIとの対戦では、菅澤・川村といった10代の選手が得点を挙げたが、今回は菅澤選手は全日本女子選手権東北大会出場の為お休み、川村選手もCBに入る。
CFWに塩谷選手、控えに斎藤選手が入っているので、若いパワーを発揮したい。
アルビはTASAKIとは対照的に大学で活躍していた選手のさながらオールスターといったところ。
最近になってU-20日本代表候補が加わってきて、チームが活性化したような気がする。





メインスタンドが大勢の観客で埋まり、快晴だが暑くもなく強い秋風が山から海の方向へ流れていく、そんな胎内の地に鮎貝志保主審の笛が鳴り、12:00、定刻にK.O。






コイントスで勝ったアルビの主将江橋桂選手は、迷わず風上を取る。
前半の風上の内に先制点を挙げ、リードを保って後半凌ぐ作戦であろう。

アルビのデータ上で明らかなように、失点は前半開始15分と前半終了までの15分に集中している。
逆にこの時間を凌げれば、試合の主導権を握れるので勝利の確率はぐっと高くなる。

前半早々から、アルビが積極的にTASAKIサイドへプレスを掛け、ボールを奪い、再三のシュートチャンスを得る。
たぶんこの展開はTASAKIは予想していなかっただろう。
連続コーナーキックなどで、ゴール前、もうちょっとのところまで攻め込むものの最後のところで、ボールが入らない。
上尾野辺選手の直接放たれたCKをGk齋田がハイキャッチした時にボールインという風に見えたのだが、副審が戻れず、判断はセーフ。

20分あたりから、TASAKIベンチがいろいろと修正の指示を出す。
あれだけ攻め込まれているんだから当然だろう。

風上の有利さを存分に利用していたアルビだが、一瞬の隙を突かれカウンターに。

右サイド甲斐と大谷がパス交換して甲斐からボランチ田中明日菜へ。
さらに田中明日菜が起点になって大谷に戻してさらに甲斐へ。
この3人で一気にゴール前に運ばれ、最後は後方から詰めていた田中明日菜が甲斐のアシストを合わせて先制。

田中明日菜、さすがはU-20日本代表のボランチだな。常盤木学園高校の時よりさらに鋭くなっている。今、サッカーを辞めさせるには惜しい人材。

結局、これが決勝点となる。時間は33分。アルビはいつもの時間にまたしても失点。

こうなるとアルビは攻めるしかなくなる。プランはこの時点で変更。

TASAKIは何となく開始から身体が重そうだった。国体の影響かな。
が、このチームはそういう時もなんとか修正してしまうのがすごいところ。

日テレ・浦和・INACといったチームはアルビと同様に激しいプレスを掛けてくるが、TASAKIは決して自分からプレスを掛けるようなことはしない、プレスをかわす術を尊ぶ。
そして、高いラインを保ったままでのラインコントール。

野球のピッチャーで例えるならば、軟投派。変化球を巧みに駆使して、ブンブン振り回す打者を丁寧に内野ゴロに仕留めるタイプ。
アルビは剛速球の投手には対応できるようになったが、変化球主体の投手はまだまだ苦手。

試合中ず~っと「観客席から前へ蹴れ、前へ出せ」って大声を出していた人がいるけれど、たぶんその通りに単純に前へ蹴ったら確実にオフサイドトラップの餌食になるだろう。なでしこリーグだけでなくJリーグも含めてサッカーにはオフサイドというルールがあるので、新潟の人もそろそろその辺の駆け引きも楽しんだ方が良いと思う。
アルビの選手は、完璧に張られたDFラインを崩そうとして、左右に振ったり、前後でパス交換して少しでも相手選手を釣り出そうしている。それを邪魔してはいけない。

前半中に結局同点に追いつけず、0-1で前半終了。これはきつい。サポーターがハーフタイムにできることは、風の向きが変わってくれることを祈るしかない。






一人でいいからTASAKIの守備陣に突撃して抜ける選手がいれば、くねくねとまるで漁師の網のようなオフサイドトラップ網が突破できるのだが。
抜ければ、広大なエリアにはGKの齋田しかいないのだから、一気に1対1なんだけどなぁ。

両チーム共にハーフタイムでの選手交代は無し。
後半、風の向きは変わらず、アルビは強い向かい風。

押され気味のアルビがまず最初に交代カードを切る。
後半10分、ポストプレーをしていた塩谷選手に代わり野村選手がそのままFWに入る。
野村選手交代後、しばし、アルビが押し返す。

が、次第にTASAKIのペースに。
後半23分、TASAKIも1トップの大石に代えて清原を投入。
これでTASAKIの前への推進力が増す。
完全にTASAKIの流れになったがこの時点でアルビは交代の動き無し。
その交代入場の清原にダメを押される。
31分、下小鶴・池田の最終ラインでボールを回されボランチの田中明日菜にボールを預ける。今度は田中・白鳥の中盤でボールを運ばれ、どんどんアルビ陣地内へ侵入。
アルビもプレスに行きたいのだが、ぎりぎりのところでかわされる。
で、またしても右サイドを甲斐がオーバーラップしてきて、ラインギリギリまで侵入。これにはアルビの選手は誰もついていけず、教科書のようなマイナスのクロスを入れられ、最後ゴール前に詰めていた清原にズドーン。

この1点は不用意だったと思う。誰かがどこかで相手選手の動きを止められれば、誰かがプレスに行けていれば。
残念なプレーだった。

この前に江橋選手の惜しいミドルシュートとかあったりして、勝ち点を奪える可能性があっただけに。


こうなるとアルビの守備はバタバタ。用意してきたものを全て出し切ったしまったアルビとまだ引き出しにしまっているTASAKIの差が最後の15分間に出てしまう。

失点直後にTASAKIはボランチ白鳥を坂井に交代。守備固め。
アルビも疲れの見えていた中島に代わり久々登場の斎藤友里選手を投入。
できれば失点前に見たかった。
個人で打開しようとするものの弾き返される。相手も体力的にはきつそうだったので、もっとわがままにゴリゴリやってもやってもよかったかな。

守備の修正ができないアルビは、一番要注意の阪口がドリブルでゴール前に突破されて、ゴール正面の位置でファール。
そのままFKを決められる。

阪口のプレーを初めて見たのは彼女がまだ高校生の時だったけど、その当時から前への推進力が凄くて、鋭い出足でドリブルで突破していくからそのままミドルシュートを撃つのかなと思っていると、よく周りが見えているものだから、上辻(現東京電力)らにひょいっとパスしてしまうような選手だった。
もちろんパスを受けた選手はノーマークでシュートを撃つことになる。
高校生相手にはほとんど反則のような選手だった。
今回ももしファールを受けなかったら、サイドへパスを出していただろう。シュートは無かったと思う。そして待ちかまえていた山本あたりにノーマークでシュートを撃たれたに違いない。その方がゴールになる確率が高いから。
ちなみに前回の神戸ではそうやってゴールを奪われた。
そういう意味では、たとえファールでもボールを止めることには意義があるが、それにしても位置が悪い。
あの位置でゴール隅に蹴られたら、いくら何でも大友選手の反射神経でも届かない。

ロスタイム、TASAKIは山本を交代で時間を消費。
アルビもコーナーキックの状況で與山このみ選手を中村早樹選手に交代。
走る距離が全く無いので、当然中村早樹選手、攻撃の機能発揮できず。
最後はTASAKIの選手がキープのお時間で試合終了。

後半の状況だとおそらく東山選手・川村選手・大友選手の守備力がなかったら、もっと失点を許していたと思う。川村選手をもっと前で使いたいのだろうけど、ゴール前の守備を考えるとCBは致し方ないかな。本来は東山選手も川村選手もサイドがもっと前目で使いたいところなんだろうけど。



アルビとして準備できることはやったんだろうけど、やはりTASAKIという最終形に完成されたチームとやるには、まだまだ引き出しの中身が少なかった。
もうリーグ戦では対戦することはないが、パワフルなJリーグ傘下のチームには無いテクニカルなチームとの対戦経験を今後に活かせればいいなと思う。

大谷なんてサッカー選手としては超ベテランの部類に入るんだが、未だに元気だよね。引退する可能性が極めて高いのだけど、差し迫った個人的な事情がなければどこかで続けて欲しいな。

湘南学院高校のOGもTASAKIには山本1人になってしまった。アルビも吉本選手が千葉に移籍して、今回のピッチ上は江橋と山本選手だけになっちゃたね。大堀選手もベンチだったけど。神奈川の実家に戻ると現役引退になっちゃうな。まだ十分にやれると思うけど、お年頃だし、どうするんだろう。

GKの斎田、上手くなったなぁ。武蔵丘短大の時より数段安定感が出てきた。神村学園高校卒のGKはやはり伸びる。

TASAKIは典型的な女工さんがスポーツをする実業団だったんで、まあ時代の流れには沿えなかったんだけど、選手の大半は20歳前後。まだまだサッカーをやり続けたいだろうな。


とは言え、アルビレックス新潟レディースも来年の新潟国体が終了後、存続できるかどうか分からないので他人事ではない。秋田のようになるのが一般的だ。
そのためにも地域の人々に応援されるチームになるような試合をしていかなければならない。






今回も試合終了後には、サッカークリニックが開始される。大盛況だった。
胎内は芝生のグラウンドもあり、環境がとても恵まれている。(雪は新潟市に降る分まで追加して降るらしいが。)
静岡や埼玉みたいにサッカーが文化という言われるくらいに盛んにならないかな。
是非、小中高へのコーチ派遣や幼稚園の先生への講習をこう言った地域では積極的に進めてほしいな。そして、受け皿をもっともっと増やして欲しいな。




試合終了後、ベンチ入りできなかった選手を中心に、ゴール前での崩し方のおさらい練習。鉄は熱いうちに打て、だね。小川コーチの檄が飛んでいた。
とにかく一人でもいいからゴールを決めてくれる選手が出てきてくれることを望む。
これで4試合ノーゴール。特にFW陣にとっては試合出場のチャンスではないだろうか?





奥山達之監督とTASAKI河村優コーチ。
今回も上手い采配でひねられてしまった。
近年のTASAKIの実質的な指導者はこのヨーロッパ帰りのコーチだろう。
選手もこの先大変だが、この才能豊かなコーチの今後も気になるところ。
当然アルビ(クラブ全体としてね)には欲しい人材なのであるが、関西のクラブがそうそう手放すわけはないよな。
もし女子サッカーをこのまま見続けてくれるなら、たぶん将来のJFA女子スタッフの中心になると思う。